コーヒーわび病

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年02月03日 05時00分]
コーヒーにとって「さび」とは何であろうか?コーヒーを喫する者から見た「さび」は何物か?
 
脅威であろうか?孤絶であろうか?相性であろうか?有限であろうか?静穏であろうか?
   珈琲侘病 (1)
  「中米でコーヒーのさび病が拡大、3分の1が打撃」
   中米で、主要作物のコーヒーに寄生する菌が広がり…(略)原因は、高温や干ばつ
   などの気候変動と予防策の欠如にあると、専門家や政府高官、業界筋は述べてい
   る。(略)業界筋によると、ロヤはコーヒー作付面積95万8000ヘクタールの35%
   にまん延した。これは46キログラムのコーヒー豆の袋200万袋分の被害で、現在
   の価格1袋150ドルで換算すると、3億ドル(約270億円)の損失に相当する。
   (AFP/2013年1月21日)
 
驚異であろうか?古拙であろうか?哀傷であろうか?幽玄であろうか?清陰であろうか?
   珈琲侘病 (2)
  《…さびしおりのないということは、露骨であり我慢であり、認識不足であり、従って
   浅薄であり粗雑であるということである。》
   (寺田寅彦「俳諧の本質的概論」/『俳句講座』/1932年)
 
コーヒーにとっての「さび」は、錆びる病‘Coffee Leaf Rust’(CLR)を葉に起こした後に
木を枯らす、いわば寂滅の「寂」(さび)である。他方、茶にとっての「さび」は、錆びた心象
を‘茶の湯’(茶道)に起こした後に俳諧などを枯らした、いわば閑寂の「寂」(さび)である。
赤褐色のコーヒーには赤さび(第二酸化鉄/‘rust’)様の赤褐色の「寂」(さび)が付いて、
青緑色の茶には緑青(炭酸銅などの混合物/‘patina’)様の青緑色の「寂」(さび)が付く。
コーヒーに付く‘鉄さび’には対策として‘銅’を含む液が用いられ、‘銅さび’の気配を追う
茶の湯では‘鉄’でできた釜が用いられる、という対照も際立って興味深いところであろう。
 
中南米でアウトブレイクを報じられたCLRが、19世紀後末期の第1次「さび」パンデミック、
1970年代の第2次「さび」パンデミックに続く、第3次「さび」パンデミックとなるのか不詳、
また新種の「さび」によるものかも不明である。近く約150年間のコーヒー生産は、耐病性
のある栽培品種と農薬の開発と導入による「さび」との戦いの歴史である。耐病性品種の
栽培や農薬の使用を毛嫌いする‘似非(えせ)スペシャルティコーヒー信奉者’は、《露骨
であり我慢であり、認識不足であり、従って浅薄であり粗雑であるということである》のだ。
これら自らの脳が錆びている連中ほど、今般の「さび」報道に興奮して不安を煽っている。
彼らにこそ寂滅の「寂」(さび)を与えるべき、いや、その前に「侘」(わび)させるべきか?
今般、生産地ではコーヒーの「寂」(さび)がアウトブレイクしている、同時に、消費地では
コーヒーへの「侘」(わび)、すなわち‘コーヒーわび病’をアウトブレイクさせるべきである。
 
脅威であろうが、孤絶であろうが、古拙であろうが、哀傷であろうが…「侘」(わび)と「寂」
(さび)とが揃った‘数寄’(≒好き≒透き≒空き)のコーヒーさえあれば、恐るるに足らず。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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