雑誌に雑思

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2013 [2013年01月15日 01時00分]
◆『dancyu』2013年2月号(プレジデント社:刊)を雑に思う。
  雑誌雑思1
 
‘コーヒー カフェオレ エスプレッソ’と題して巻の前半分で特集。惹かれた記事毎に思う。
 
山谷で40年。「カフェ・バッハ」田口護 コーヒーをめぐる冒険
 《スペシャルティコーヒーのこと》を、《…同じような取り組みは、日本にも存在していた
 のです。ブルーマウンテンNo.1です》、《…ブルマンによって、日本にはスペシャルティ
 コーヒーが根付く土壌がつくられたわけです》と言い切ってしまうトコロが、田口さんだ
 よなぁ、SCAJ現会長なのに。あ、この記事にはその肩書が載っていない、ハハァン。
 《コーヒーは嗜好品です。もっと自由に楽しむ時代になっていいと思います》…んん?
 1987年5月24日の田口さんは、「コーヒーはお茶です。嗜好品であってはならない」
 と直で私に言っていたゾ?まぁそこについては、「店主が自家焙煎を始めたころ、まだ
 『よいコーヒー』は…普及啓蒙の最中でした」(HOT by Bach Kaffee)という疏明を
 呑むべきだろう。《もっと自由に楽しむ》…コーヒーをめぐる冒険も長旅だなぁ、畏友よ。
 
なぜ、この店のモカは人々を魅了するのか? 「珈琲美美」の仕事。
 『手の間』Vol.10が僅かに先行、森光さんワールド(?)を描くという趣旨が重なって
 いるため、深町泰司VS田中智子(手の間代表者)というライター2人の筆致比べだが、
 しかし甲乙付け難いか。要は、《モカ》と《50℃の湯》と《「ハッ」》と《団扇》と《湿った布》
 と《ブリキ缶》だなぁ。《途中で豆の色は見ませんね》…ふむ、そこは私も同じであるナ。
 
「OMOTESANDO KOFFEE」國友栄一さんに聞きました。 エスプレッソのおいしさとは?
 《通常よりさらに細かく挽くことで密度を高めた粉をホルダーに詰めたら、トントンと叩
 いてならすだけ》、ほほぅ、タンピングしないで淹れているとは知らなかった、面白いゾ。
 イマドキ流行りの《日本人好みのエスプレッソ》は好みの傾向ではないが、そこをワザ
 と本流外れにするのならば、このアバンギャルドな姿勢、ソレはソレで好いじゃないか。
 
オオヤコーヒのネルドリップBOOK
 《何回も反芻してほしいのは、適正な大きさに挽いた、たっぷりのコーヒー豆を、ぬる
 い湯でゆっくり落とすということ》、《要するに僕が言いたいのは、自分のアタマとベロ
 とアシを使って、おいしいコーヒーを探してくださいということ》…ハハァンやっぱり、オ
 オヤさんはセキグチさんだ。平成の、いや21世紀の関口一郎さん、というコトですナ。
 
その他
 他の記事は、ふーんまぁこんなところかぁ、だけれども、「体当たり! コーヒー実験室」
 でコーヒー豆の冷凍保存とインスタントコーヒーの都市伝説とを無効とボロクソ公表し
 たのは好ましいねぇ。加えて、「珈琲“モノ”語り」や「みんなのポット」で注ぎ口根太の
 ドリップポットを数的優勢に扱っているところも好いかナ。全体の記事構成もまぁ好い。
 
 
◆『料理通信』2013年2月号(料理通信社:刊)を雑に思う。
  雑誌雑思2
 
‘コーヒーとスイーツ’と題して巻の3分の2で特集。この特集、記事毎に分けて思えない。
 ココが、俗に「グルメ雑誌」のオピニオンリーダーとして‘食こそエンターテインメント’を
 掲げて1990年に創刊した『dancyu』と、後発『料理王国』(1994年創刊)を抜けた
 君島派が‘Eating with Creativity’を掲げて2006年に創刊した『料理通信』との
 仕立ての違い?『料理通信』編集人の偏執事情に関して、興は薄いが色はあるワケ。
 
企画意図も取材対象も文句無いが、‘手を取り合えば、もっと幸せ。’が取り合って無い。
 コーヒーとスイーツを対等に絡ませようという意図、キレイな菓子は視覚的にも魅かれ
 るので企画は好いけれど、実際には(他の号はともあれ)この巻は爪先立ちした様な
 妙な色気で紙面を割っているので、読みづらくて主旨が散ってしまっているのが残念。
 特に、‘共通テーマ’(注目エリア/コンテスト/女子の活躍)がバラバラでは不味いヨ。
 
果たして、《カップ・オブ・エクセレンスで、コーヒー豆の価値を上げる》と言っていいのか。
 訴える主意は『dancyu』の田口さん記事と同じだろうに、オークションのスケジュール
 を並べたりする意味がわからんなぁ、資料を何となくのマニアック気分で使うのはダメ。
 結局は期待するほどに《初心者向け実践講座!》と響かずに、それに乗るのは気が
 迷って知力も見通しも不足した偽プロ連中ばかりだろう、ソレは不味いんじゃないか?
 
 
菓子がくっついている分で甘くすれば、パッと見の派手さと中身の広さでは『料理通信』
にも酌むべきところはある、だが、趣意を自然に汲み取らせる腰の据わった仕立てでは
『dancyu』に分があるナ。まぁ、コレがコーヒー専門の雑誌やムックならばダメ出し100
連発だが、今般の2雑誌『dancyu』と『料理通信』、特集としてはマアマアと雑には思う…
 
コメント (12) /  トラックバック (0)

コメント

No title
じょにぃ URL [2013年01月15日 17時48分] [編集]

帰山人さん。
前回のコメント書き込みからまだ
dancyu全て読んでないんですけど
なんか好感が持てたんですよね。
『違う人が書くとこうなるんだなぁ』って
料理の人が書くとこうなるんですね。

ある意味しがらみが無いと言うか
凝り固まってないと言うか
視点が違うと言うか

料理通信も買って読んでみます。

編集者の事情も知っているなんて
流石帰山人さんですね。

ミルクインファーストのリンク。
新種の胞子やキノコみたいで
ちょっと気持ち悪かったです(^^;)

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2013年01月15日 23時04分]

うん、『dancyu』珈琲特集に関しては、料理云々というよりも、取材の談話を素直に聞き書きしました、って感じ。コレで新鮮味を感じるのだから、雑誌全般の質も落ちたものだと思いますナ^^; 私が21歳の時に出た『オレンジページ』を創刊から暫く愛読し続けましたが、アノ頃の料理雑誌(?)は輝いていましたヨ。

No title
ナカガワ URL [2013年01月17日 09時36分]

とある職人さんが個人でこつこつ作ってきたものが、実は別な国にも似た考えの職人さんたちがいて、誰が先かは置いといて、材料を提供する側も変化してきて、個人でこつこつやってきた作業を少し後押ししてくれるようになって、何百年の間おそらくはげしい利益追求しかなかった世界に、ちょっと「こんなんしてみましたけど、味どうですか」的なゆとりが生じて、45年の冒険のうちやっとこの後1/5くらいが求める材料を得られる可能性が大きくなって、それをはげしく獲るのでなく、出会えたことをよろこぶゆとりも少し出てき、ここは褒め時の季節ということで----気分がいいと大魔神が顔変えて追っかけてきても、ニコニコかしらねえ。87年は抜刀斎だったんですきっと----

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2013年01月17日 12時52分]

『dancyu』の解題は好いお話しでした。ところで先般訪ねた際に、「アンタも長らく頑張ってきたよな」「オマエもな」、などと傍で聞けば薄気味悪いやりとりを喫煙の合間に御大としました。来し方を互いに褒め殺してちゃあ、魔神も剣客もあったもんじゃないっス…もそっと斬りますか…

No title
山神親父 URL [2013年01月19日 07時30分]

ご無沙汰しております!
明日は都道府県駅伝です。
おかげさまで颯人は選手に選ばれ、明日まで無事であれば2区を走ることになります。
うまくいけばテレビにも映るかもしれません。
区間賞目指して頑張ってもらいたいものです。
私も今日の夜から会場の広島に向かいます!

to:山神親父さん
帰山人 URL [2013年01月19日 19時32分]

おぉ!お知らせありがとうございます。颯人くん走りますか!
八幡川橋を快調に駆け抜ける姿、楽しみにしますヨ♪

No title
teaR URL [2013年01月24日 10時24分] [編集]

こんにちは。dancyuは図書館にあったので15分くらいで速読。ちょっと毛色が違ってなかなか楽しめました。オオヤさんの記事なんて、らしくていいなと。

料理通信は読もうと思いつつ、まだ読んでいません。お菓子とコーヒー話は非常に興味があるんですが、そんなつっこんだ話ではなさそうですね。でも一応読んでみます。

to:teaRさん
帰山人 URL [2013年01月24日 19時17分]

『dancyu』評価を探ってみるとオモシロイ…元来の(グルメ雑誌としての)購読者からはダメ出しが、コーヒー愛好家からは称賛が、概ね真逆の反応が多い…各々の雑誌自体に、読者が予め期待するスタイルとかテイストがあるんでしょうなぁ(笑)
そういう意味では『料理通信』は限りなく『Brutus』っぽい臭いを追求していたら、高級な(?)『珈琲時間』みたいになっちゃった、ていうのが私の捉えた感じ(笑)

No title
teaR URL [2013年01月24日 23時28分] [編集]

料理通信さくっと立ち読みしてみました。僕はdancyuではなく料理通信にダメだししたい。

お菓子本としてはいいかもしれないけど、コーヒーとお菓子の本として考えると全然よくなかったですね。全然つながってない。

お菓子に合わせるコーヒーとか、各店なんとなく選んでいるとしか思えないですね。お菓子屋にはコーヒーを、コーヒー屋にはお菓子を軽く考えるな!って言いたいくらいです…。

to2:teaRさん
帰山人 URL [2013年01月25日 00時15分]

概して私の雑感に近いようですネ。『料理通信』の取材先は《なんとなく選んでいるとしか思えない》とも言えるし、逆に君島色でキメ打ちしているとも言える…まぁどちらにしても適性を欠いた選出が含まれて、バランスが悪い仕立てでした^^;;

teaR URL [2013年01月29日 00時39分] [編集]

こんばんは。この記事とは関係ない話ではありますが、ついに苑にいってきました。いやー、本当に非常にいいお店でしたね。

to3:teaRさん
帰山人 URL [2013年01月29日 15時42分]

おぉ、ついに!好いでしょ苑は…うぅ、私も行きたいっ!

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/532-f275e12a
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin