コーヒー潜流

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年11月27日 23時00分]
「コーヒー哲学序説」(『経済往来』第8巻第2号/1933年)の中で、寺田寅彦は語る。
  《宗教は往々人を酩酊させ官能と理性を麻痺させる点で酒に似ている。そうして、
   コーヒーの効果は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に
   似ているとも考えられる。酒や宗教で人を殺すものは多いがコーヒーや哲学に
   酔うて犯罪をあえてするものはまれである。前者は信仰的主観的であるが、後
   者は懐疑的客観的だからかもしれない。》
寺田寅彦は、「客観のコーヒー主観の新酒哉(かな)」、とも詠んでいる。季は晩秋…
岐阜県美濃加茂市にある蔵元も新酒を蔵出す頃、その御代櫻にも程近い、太田宿
の面影残る小松屋(旧:旅籠・商家)にて「コーヒー講座」が開催されると…行かねば!
 
  珈琲潜流 (1)  珈琲潜流 (2) 
2012年11月25日、演題『世界のコーヒー あなたの珈琲』、講師「珈琲工房ひぐち
の樋口精一氏。今般は、「大八文庫」が主催する「大八講座」の一環で開かれた由。
  《古い昔から日本民族に固有な、五と七との音数律による詩形の一系統がある。
   (略)その線の途中から枝分かれをして連歌が生じ、それからまた枝が出て俳
   諧連句が生じた。発句すなわち今の俳句はやはり連歌時代からこれらの枝の
   節々を飾る花実のごときものであった。後に俳諧から分岐した雑俳の枝頭には
   川柳が芽を吹いた。》(寺田寅彦「俳諧の本質的概論」/『俳句講座』/1932年)
東野大八(1914-2001/本名:古藤義男)は、特定の会派に属さずにいわば柳界
の御意見番として、俳句より低く見られてきた川柳の地位向上に努めた人物である。
 
  珈琲潜流 (3)  珈琲潜流 (4)
コーヒーを「語り出したら止まらない」(講演者本人談)、講演前半は樋口さん独擅場。
中休み、「パナマでもゲイシャじゃないけれど…」と言いながら、ベスト・オブ・パナマの
レリダ農園のコーヒーを全聴講者に振る舞う「ひぐち」、相変わらずの太っ腹ぶり(笑)。
再開後半は(事前の予告通り?)私も前へ招かれ、カフェの歴史やら質疑応答やら。
モーニング、フェアトレード、オーガニック…多岐な問いに2人で即興答酬、面白いナ。
「西田佐知子の歌『コーヒー・ルンバ』の‘カマタリ’って何?」には、「モカ・マタリ」解説
に「ザ・ピーナッツ」と「モリエンド・カフェ」も加え応答、川柳人の納得は無言の潜流?
 
講座後に喫茶店「モーガン」に移り、主催者(古藤愛子氏・黒野こうき氏)・樋口夫妻
等に混じり反省会(?)談議。さらに、会場(小松屋)の東140mにある「コクウ珈琲
に独り戻り(実は講座直前にも寄って美味いイルガチェフェを飲んでいた)、ケニアを
喫しながら店主・篠田康雄氏と延々コーヒー談議。川柳には疎く遠い珈琲潜流の話?
 
  《一般絵画に対する漫画の位置は、文学に対する落語、俳句に対する川柳のそ
   れと似たところがないでもない。本質の上からはおそらく同じようなものであり得
   ると思われる。ただ落語や川柳には低級なあるいは卑猥な分子が多いように
   思われており、また実際そうであるのは、これらのものの作者が従来精神的素
   養の乏しい階級に属していたためにそうなったので、それは必ずしも必然な本
   質的な理由あっての事ではないという事は、ほとんど自明的な事と思われる。
   そうでなかったらユーモアーというものが美学の対象などになりようはない。(略)
   ただ落語や川柳にも前述のごとき意味の科学的要素を中心として発展し得べ
   き領域のある事をこの機会に注意しておきたいと思うのである。》
   (藪柑子=寺田寅彦「漫画と科学」/『電気と文芸』/1921年)
 
大八講座『世界のコーヒー あなたの珈琲』聴講&出演(?)、川柳と同様に珈琲にも
《科学的要素を中心として発展し得べき領域のある事をこの機会に》示すことができ
たのであれば幸いか…可否はともあれ勝手に珈琲を潜流して楽しい日を過ごした。
 
  「可否(カヒ)知らず ただ語るもか(モカ) また利(マタリ)あり」 帰山人
 
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コメント

No title
じょにぃ URL [2012年11月28日 17時02分] [編集]

帰山人さん。
帰山人さんの活動を読ませて頂くたびに
面白そうだなぁ・参加したいなぁ
と羨ましく思います。
コクウ珈琲さんのサイト。
TOPとMAPだけなんですね。
なんという潔さ。
私も何か一句と考えましたが
私のちいさな”しょぼしょぼ”脳では
何も思い浮かびませんでした(笑)

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2012年11月28日 17時40分]

ども。か、活動…カツドウねぇ…そうとも言えるか(笑)
私ゃね、詩歌に関しての才や気は全く無いんですよ
(全く無いコトにだけ自信がありますw)。
駄ジャレしか思い浮かびませんでした(笑)

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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