褐色の白い恋人

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年09月24日 23時00分]
‘You're the cream in my coffee’…例えばミュージカル『ホールド・エヴリシング!』(Hold Everything!/1928年)で歌となったり、或いは映画『ラブ・オブ・ザ・ゲーム』(For Love of the Game/1999年)で台詞となったり…コーヒーにミルクやクリームが合うことは明白である…さてコーヒー屋は、‘You're the cream in my coffee’か?
 
 《コーヒーはあくまでも嗜好品ですから、自分で飲んでうまいと思う飲み方で
  飲めばよいのです。(略)ただし、ほんとにおいしいコーヒーならば、コーヒー
  そのものをタンノウするには、やはりミルクの邪魔が入らないブラックで飲
  むべきじゃないかと思います。少し誇張していえば、お客にミルクを入れら
  れるということは、商売人にとって恥をかいたことになるとさえいえるのです。
  (略)しかし、ブラックで飲むのが通だと思うのはやはり偏見ですし、まして
  他人に強いることはおやめなさいと、いいたいのです。》 (関口一郎「ブラッ
  クで飲むのが通だというのはナンセンスでありやめて下さい」/『コーヒー
  読本』 関口一郎:著/いなほ書房:刊 1990年)
 
コーヒーにミルクを入れて好いのか好くないのか、サッパリわからない…厭味と驕慢に満ちた関口節、老耄したブラックジョーク? これぞ、「ナンセンスでありやめて下さい」だ。日本の自家焙煎コーヒー屋の多くは「ミルクを入れるのを『嫌嫌ながら』容認する」(?)風潮、いつの日かミルクを入れる客ばかりで席を占めて店主らを憤死に追い込んでみたいものだ。さらに、純正のミルクや生クリームではなくて、「クリーミングパウダー」や「コーヒーフレッシュ」と呼ばれる白い液体を要求したならば、何と評するであろうか?
 
 
 褐色の白い恋人 (1) 褐色の白い恋人 (2) 褐色の白い恋人 (3)
俗称「コーヒーフレッシュ」系のコーヒークリーミング液は、ポーションタイプ(使い切り用小型パッケージ仕様)が開発されて普及が加速したが、その初源は混迷し不明である。メロディアン(旧名:日興乳業)は、《1977年、日本初ポーションタイプコーヒーフレッシュ「メロディアンミニ」発売》、と言う(メロディアンWebサイト)。しかし、めいらくグループ(名古屋製酪ほか)は、《1977年、箱入りポーション「スジャータP」発売》、と言う(スジャータWebサイト)。同じ1977年の前者が6月、後者が3月に発売とする不確かな情報もある。だが、1975年秋季に月刊喫茶店経営別冊として刊行された『たのしい珈琲 No.2』(柴田書店)には、明治乳業が《ベターハーフは日本に初めて登場した、まったく新しいクリーミングリキッドです》、と広告を掲載している。「コーヒーフレッシュ」ポーションタイプの日本初は、メロディアンミニなのかスジャータPなのかベターハーフなのか、サッパリわからない…コーヒーと同様の驕慢に満ちている、「ナンセンスでありやめて下さい」だ。
 
 
ネスレ日本は、2012年3月6日よりクリーミングパウダー「ネスレ ブライト」のモニターキャンペーンを総計1万人規模で進めたが、失敗したのか気をよくしたのか、同年9月20日より総計10万人規模に拡大して再び実施し始めた。期間中は「ネスレ ブライト」のWebサイトでスペシャルコンテンツ「ゆげメッセ」を公開し、コーヒーの湯気でくもった窓ガラスに文字やイラストを描いてメッセージを作ることができる。私も早速に試してみた。
 褐色の白い恋人 (4)
1953年に開発されて1961年に発売された森永乳業の「クリープ」、この先行商品の広告「クリープを入れないコーヒーなんて…」に倣い、1969年より発売されたネスレの「ブライト」に相応しいメッセージ「ブライトを入れたコーヒーなんて!」を作った…如何?
 
 
「褐色の恋人」スジャータ(テトラパック)が発売された1976年、同年に菓子という別種の‘コーヒーの恋人’ともいえる「白い恋人」が石屋製菓から発売された(もっとも、2007年8月に「白い恋人」賞味期限改竄問題が発覚、コーヒーを裏切ったことは忘れられない)。純正ミルクも生クリームもエバミルクもクリーミングパウダーもコーヒーフレッシュも、いわばコーヒー「褐色」の「白い恋人」、‘You're the cream in my coffee’なのかは謎である。
 
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コメント

最近はミルクよりももっぱら牛乳です。
じょにぃ URL [2012年09月26日 18時18分] [編集]

帰山人さん。

ミルクは私が買える種類の中では
メロディアンが今の所もっとも無難だと考えています。
クレマトップは入れるとキャラメルのような味になってしまうので
これは如何なものかと思いつつもそれを好きな人もいるわけで
結局『人それぞれ』に落ち着いてミルクの是非については
また闇の中なわけです。

メロディアン。
意外と売っていないんです
売れているのか
売っていないだけか
わかりません。

スジャータはこちらには売っていません。

関口さんの発言

ミルクはラーメン屋に例えると
コショウ・酢・ラー油・唐辛子・にんにく・紅ショウガ
などでしょうか

これをラーメン屋に置いていても店主が
『できれば入れてくれるな』
と言っていると言う事ですね。

一つ思うのが

ミルクを入れる入れないと言うよりも
お客のモラルによるものも大きいような気がします。

コーヒー本来の味を味わう前に
砂糖・ミルクどばどば~の人も
私の友人にも多々います。
『まずはブラック。そして砂糖・ミルクと・・』
と話をすると
『え~。めんどくさい』
と言われます。

ラーメンでも
私の上司は
一口も食べもせずに
ラー油・酢どばどば~です。

これじゃあ
作った人に失礼でしょう。

珈琲に敬意が無い事も原因の一つとして
あるような気がします。

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2012年09月26日 18時58分]

まぁ「メロディアン」と「スジャータ」のドミナントは各々関西圏と中京圏ですからね。地方によってブレがあるのは仕方がないでしょう^^;
『できれば入れてくれるな』かぁ…素直に受け止めると、『だったら置かなきゃいいし、いちいち聞くな』って思うワケですよ。ランブル関口さんは「ウチの客層は薄い(限られた少数派)」といいつつ「商売だから」とも言う…自家焙煎店におけるミルク・ナンセンスは、通(つう)V.S.商売のせめぎ合いを象徴する話でしょうナァ。
で、モラルとか敬意とかってのは、事前から強要して成立するものじゃないので、難しいところでしょう。どっちかと言えば、店側も客側もモラル(moral)というよりモラール(morale)によるものじゃあないかと…無論、商売とは無縁の立場である私の勝手な言いぐさでありますがネ^^;

じょにぃ URL [2012年09月26日 20時21分] [編集]

帰山人さん。

敬意も強要してはいけない。

確かにそうかもしれませんね。

敬意も価値観。
これまた人それぞれですね。


それでかと思ったのが
関口さんは
妥協策として
メニューに
ミルクOK又はNGを
明記したんでしょうね。

to2:じょにぃさん
帰山人 URL [2012年09月26日 21時56分]

え?ランブル、ミルクNGっていうメニューを出したの?知らなかった…ま、関口さんはまだイイんですよ、ブラン・エ・ノワールっていう素敵なミルクメニューだって作っているんだし…ロクに研究もしないで巨匠のウケウリで商売している輩のミルクNG論ほどフザケタものはありません。過去に、そういう店に何件も出くわしました^^;

じょにぃ URL [2012年09月26日 22時23分] [編集]

帰山人さん。

メニューをみると
詳しくは忘れましたが
(砂糖)
(砂糖・ミルク)
と書いてあって
店員さんも
『こちらはミルクが付きません』
見たいな感じで説明してましたね。
私が初めてランブルに行った四・五年前もミルクつかないと言われました。
最近なんですかね(^^;)

to3:じょにぃさん
帰山人 URL [2012年09月30日 13時00分]

あ~、メニュー表記が変わったのかどうか、私には定かでありません。まず、初訪からランブルでミルクや砂糖を入れようと思ったコトがないのでしっかり見ていない、そして、最近は訪ねてもいない…スイマセン、ミルク話をした割に、私、役立たずですナ^^;

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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