ドリップの奇怪

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年08月24日 23時00分]
晩夏のコーヒーイベントに連年4回目の参加。中部学院大学の各務原キャンパスにて「珈琲工房ひぐち」樋口精一氏が主導して開かれる催事、コーヒーの不思議を味わう。
 ドリップの奇怪 (1)
 
2012年8月22日
「第29回 コーヒーサロン ドリップの不思議」
 
 ドリップの奇怪 (2) ドリップの奇怪 (3)
今般の催事は、一昨年ぶりに東京大学東洋文化研究所池本研究室が主催している「コーヒーサロン」の特別出張講座の扱い。当然に池本幸生氏が開会の挨拶…ん? 《講師の方々が「各務原」を正しく発音できていないのがチョットだけ残念でした(笑)》という私の旧言に反応した内容…確かに発音が不統一ではあるが(イバラギ県に類して)反証としては浅薄…おっと、クワバラクワバラ…今般は予定通り静観しよう(笑)。
 
1.石脇智広氏の講演 「ドリップを科学する」
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石脇氏の名著『コーヒー「こつ」の科学』を自ら紹介するに、「値段が他のコーヒー本の2冊分くらいと高いので、図書館で読んでください」という慎ましい発言には内心で不承、「他のコーヒー本を叩き売ってでも、『コーヒー「こつ」の科学』を買って読むべし」が正。講演は表現を予想以上に‘シロウト向け’にしていたので、その「わかりやすい」発表の意図と手法にのみ学ぶ。それでも、(途中で質疑を代表した池本氏も含めて)聴者側には、苦味/酸味の抽出「成分」の話を、コーヒー液全体で苦い/酸っぱいの二極にすり替えて捉えてしまう浅い解釈が垣間みえる。石脇氏の(浸漬法に比して)「ドリップはややこしい」に加えて、抽象水準を揃えて捉えることが困難な人間の脳は奇怪か?
 
2.小林智也氏の講演 「巡るドリップ“Drip Style”」
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小林氏が鳴り物入りで事前に用意した動画は機器接続が巡らず不発、気の毒な限り。それでも、切れ切れに流されたペーパードリップの映像は度肝を抜くものであり、刮目するに値した。‘SIGHTGLASS’(サイトグラス)の抽出は湯溜まりだらけ、‘INTELLIGENTSIA’(インテリジェンシア)Venice Coffeebarの抽出も同様、加えて注湯しつつ攪拌する。標準化(?)された日本のメソッドに照らせば不完全抽出でも、‘Pour-Over’(プアオーバー)の意を汲めば衝撃の笑劇か?当にサードウェーブの舌バカぶり恐るべし! 日本国内のカフェも3店紹介、V60/コーノ/ドーナツに、細口なケトル(タカヒロやハリオ)/根太なポット(ユキワやペリカン)、注湯作業が困難になるモノを組み合わせる不思議。自由や多様を掲げても合理や確度の代替にはならない、スタイルの奇怪か?
 
3.川島良彰氏の講演 「コーヒーハンターが見た生産国の最新情報」
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ホセ川島の生産地報告、今般はハワイ(コナ)とルワンダ、相変わらず生生しく面白い。コナコーヒーには線虫・CBB・カウの台頭などで「観光農園でしか生き残れない」危機、ルワンダコーヒーにはポテト臭・ロジスティックなどの課題はあるが将来有望と…今般は浪漫に過ぎず講話の精度も高い。ホセ以外の生産地報告には期待できない奇怪?
 
今般のコーヒー催事では機器の不具合などで進行の不備もあったものの、軽く200人を超える聴者を得て活況を呈した。しかし、本来の‘ドリップ’話に加え‘生産事情’話、各個でも「コーヒーサロン」として成立するプログラムを詰め込みすぎたことで、総じて「大味」な印象に終わった。好くも悪くも奇怪な機会、無料の催事にて難は申し立てにくいものの、集うことのみで増長せず、討議を通して深化させる時間を設けるべきか。
 
主催者・講演者の面面に加え、百珈苑・旦部幸博さんと久方ぶりに顔を合わせ、コクウ珈琲・篠田康雄さんと予定通り会い、連年互いに参加しながら顔合わせなかった珈子さんと遇えたこと、いずれの方とも話足りなかったが当に好奇な仲間と出会えた好機。初に顔合わせしたAlphaT7M2氏とは、催事後の懇親会にも並んで参加して談話続き。「ドリップの不思議」はドップリ奇怪な機会でもあった…そう想いながら各務原を去った。
 
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コメント

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珈子 URL [2012年08月25日 10時44分] [編集]

今年はご挨拶をしようと思っていましたが、全くいいチャンスにお声掛け出来良かったです。(トレイルの写真をしっかり見てお顔を記憶しました・・笑)ただもっともっとお話を伺いたかったのですが浅い知識しかなくどうお話して良いものか戸惑いました。それに2次会の参加資格が無いようで誘ってもらえませんでした。残念!居残りしたかったです。もしコクウさんに行かれる時がありましたらお知らせください。馳せ参じます!

to:珈子さん
帰山人 URL [2012年08月25日 15時10分]

やぁ、やっとお会いできましたネ。懇親会には事前に誘われて初めて参加しましたが、人数枠以外に「資格」は無さそうですよ。まぁどのみち誰でも思い通りに話をする余裕は催事絡みではムズカシイですけどネ(笑)。
コクウ珈琲には気の向くままに行っているので近々の「お知らせ」は難しいかも…そうそう、コーヒー催事じゃないけれども、篠田さんが実行委員長している「きそがわ日和」の夏秋プログラム「川と町アートプロジェクト」(8/26~9/2)、勝手に宣伝しておきます(笑) http://kisogawa-biyori.com/

No title
じょにぃ URL [2012年08月27日 11時53分] [編集]

帰山人さん。

各務原(かかみがはら)
なんですね。
単純に読むと”かくむはら”
になっちゃいます。(笑)
こちらにも
平鹿(ひらか)
鹿角(かづの)
雄勝(おがち)
などなど。
って、珈琲の話じゃないですね(笑)

このような催事
参加してみたいです。

一つ質問があります。
ルワンダコーヒーにはポテト臭・ロジスティックなどの課題はあるが~

このポテト臭とはどのような臭いでしょうか?
ジャガイモ?サツマイモ?
生豆・焙煎豆どちらの段階でしょうか?

帰山人さんの解釈でも結構です。
ご存知でしたら教えて頂けないでしょうか。

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2012年08月27日 18時42分]

じょにぃさん、やっかいなトコロに反応されましたなぁ(って私がタネをまいてるんだけどネ:笑)
「各務原」の問題は難読じゃないんですよ。読み方が3つも4つもあることです。自治体としては「かかみがはら」に統一しようとしていますが、実態は全然ダメ。
http://kisanjin.blog73.fc2.com/blog-entry-461.html
ちなみに樋口さんは「かがみはら」と言っています。「各務原」は地名の由来がハッキリしていないんです。古代の鏡作部からきているというのが通説ですが、私は「かかorかが」(=芝や草の原っぱを示す語)も関連する可能性を捨てていません(例えば「加賀」という地名の由来は大半コレ)。しかし単純に「『かか』の原」と考えると地理学的に辻褄が合わない。…あ、当に珈琲の話じゃないですね(笑)
 
>ポテト臭とはどのような臭いでしょうか?ジャガイモ?サツマイモ?
ジャガイモです。
>生豆・焙煎豆どちらの段階でしょうか?
生豆の段階で‘ポテト’です。でも、焙煎しても(場合によっては強烈な)異臭を放ちます。
詳しくは…百珈苑・旦部さんに投げますw
http://d.hatena.ne.jp/coffee_tambe/20110817
今もって臭いの出る原因とプロセスは特定されていません。ドリップも相当に奇怪ですが、各務原も奇怪な地であり、‘ポテト’も奇怪なのであります…^^;

No title
チッチョ URL [2012年09月01日 21時40分] [編集]

>切れ切れに流された度肝を抜くペーパードリップの映像
スプーンで2回もまぜまぜする様子が目に焼き付いてしまい・・・それまでの講演をすっかり忘れてしまったほどw いやぁ、強烈でした。
味は?(見るからに不味そうでしたが)何故こんなことを?と思っていたら、ホセ川島さんが引き継ぎ時に話して下さって納得しました。痒いところに手が届く方ですw
帰山人さんほど通ではない私には充分楽しい講演でした。

to:チッチョさん
帰山人 URL [2012年09月02日 00時48分]

ええ、攪拌ドリップに関しては、石脇さんのコメントも川島さんのフォローも上手でしたねぇ。ただ、「何故攪拌するのか?」という疑問は私には解消しきれていない…「こうしている」だけじゃなくて「そうせねばならないと思い込む根拠」を知りたいのですがネ…「イロイロあって自由でよい」派(当の小林氏とか)の人は、発想の原点を暴いてはくれないようで…攪拌している人間の発想を追究しないで「これもスタイル」で済まされるコトが私は不満です^^;

No title
チッチョ URL [2012年09月02日 15時26分] [編集]

>「これもスタイル」で済まされるコトが私は不満です^^;
言わずもがなで「美味しくないし、変だって判るでしょ?大勢の前で非難はちょっとね〜、察して下さいよぉ!」ってw違うのかなぁ?
>「そうせねばならないと思い込む根拠」
「勘違い」では済まされませんよね、素人じゃないのだし。でも試飲してるだろうに、なぜ客に出せるのか? 不思議です。

to2:チッチョさん
帰山人 URL [2012年09月02日 16時08分]

いやね、アノ「攪拌ドリップ」が「美味くない」「マズイ」という前提では、「不思議」は解けませんよ。私個人としては、抽出方法の意義が無さそう、旨くもなさそう、と断じて「舌バカ」と言ってはいますが、客観的には(例えば)日本のネルドリップ至上主義の方がよっぽど気持ち悪い論なのかもしれません、目くそ鼻くその状態でしょう^^;…いずれにしても、攪拌ドリップ側の説明なり主張なりを聞いてみない限りは、謎は解けませんねぇ。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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