え?つぶれそうだ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年08月02日 23時00分]
これまでも相性が好いとは必ずしも言えないこと、耳を潰したのか? 飲料として普及も定着もしていない組み合わせ「コーヒーと炭酸」で懲りずに挑むとは…肝が潰れそうだ。
 
 え?潰れそうだ
 サントリー「エスプレッソーダ」新発売
  …今回は、新たな炭酸飲料の魅力を提案すべく、働く大人向けのコーヒー入り
  炭酸飲料「エスプレッソーダ」を発売するものです。新たに炭酸無菌充填ライン
  を自社工場に導入し、エスプレッソの深みのある味わいと炭酸が生み出すさわ
  やかな刺激の両立を実現しました。
  (サントリー ニュースリリース:2012年5月29日)
 
そもそも「コーヒー」と「炭酸水」は相性が悪いのか? 否、そうとも言い切れない。濃度の高いコーヒー抽出液に、炭酸水を別に添えることは汎世界的には珍しくないことである。ウィーンのカフェやイタリアのバールなどではシュバルツァーやエスプレッソメニューにプレーンソーダの入ったグラスが添えられること、至極当然の組み合わせとしてかなり古くより定着している。これらは、蒸留酒やアルコール度数の高いカクテルに付されるチェイサーと同様、口を清めたり直したりするための添え水としての役割を果している。
 
しかし、「コーヒー」と「炭酸水」が同じ器に入って一体の飲料として受け入れられ定着するには、想いの外に「壁」があるようだ。『コーヒードリンク246』(柄沢和雄:著/柴田書店:刊)の中から炭酸水或いは炭酸飲料が加えられるコーヒーメニューを抜き出してみよう。
 132番「オールドファッションド・コーヒー・ソーダ」(ソーダ水使用)
 155番「カフェ・トロピカーナ」(ソーダ水使用)
 170番「コーヒー・コーラ」(コーラ使用)
 171番「コーヒー・コーラ・ソーダ」(コーラ使用)
 191番「ヴィーナー・マザグラン」(ソーダ水を別添え)
 197番「ミント・コーヒー・ソーダ」(ソーダ水使用)
 237番「ターキッシュ・コーラ・フロート」(コーラ使用)
 244番「マザグラン・アメリカーノ」(ソーダ水使用)
 246番「ローヤル・コーヒー・パンチ」(シャンパン使用)
炭酸水を別に添える191番「ヴィーナー・マザグラン」は除外するとして、同じマザグラン(1940年代にアルジェリアやモロッコでフランス軍外人部隊が暑さ凌ぎに飲んだと伝承される、時にリキュール類を添加した冷却したコーヒー)系の244番「マザグラン・アメリカーノ」とパーティー用のカクテルメニューであろう246番「ローヤル・コーヒー・パンチ」、これ以外の6種のコーヒーメニューには共通した特徴が見られる。牛乳・生クリーム・ホイップクリーム・アイスクリームなどの乳成分が加えられていることである。いずれもUSAや中南米にみられるメニューであり、コーヒー抽出液とジュースや酒類を組み合わせるに炭酸水やコーラと並んで乳成分が構成要素になっていることは、実に興味深い。日本人には馴染み薄い味覚感性であろうが、「コーヒーと炭酸」の混合から発する苦味と発泡性の刺激(時に酸味と感じさせる味を含む)とを、乳成分が円やかに繋いでいるのであろう。逆に言えば、乳成分を抜きにしては、コーヒー抽出液の持つコクを炭酸水(や炭酸飲料)は打ち消して台無しにしてしまうのかもしれない。飲んでサッパリもしたいが、薄っぺらな味気無さも嫌だ…すると意外や「コーヒーと炭酸」には乳成分が必要か?
 
 え?潰れそうだ (1) え?潰れそうだ (2)
さて、RTD形態のコーヒー入り炭酸飲料に話を戻せば、「珈琲のクセに炭酸。シュワ~。」などと謳って2012年7月31日に発売されたサントリー「エスプレッソーダ」は、斬新なものでは全く無い。日本国内だけでも、鳥井飲料「コーヒーサイダー」(1954年発売)、アートコーヒー「コーヒースカッシュ」(1975年発売:2005年再発売)、ネスレ日本「コーヒースカッシュ」(1989年発売)、UCC上島珈琲「カフェ・ラ・シャワー」(2001年発売)などが過去にも発売され消えていった。その後にも、ネスレ日本は懲りずに「ネスカフェスパークリング・カフェ」(2006年)を市場へ投入したが結局に短期で製造を中止した。また、海外スパークリングコーヒー系の「Café Cino」や「Bibicaffé」や「Brasilena」、コーヒーコーラ系の「Pepsi Kona」・「Pepsi Kaffe」・「Pepsi Tarik」・「Pepsi Latte」・「Pepsi Cappuccino」やジョルト「Jolt espresso」やコカ・コーラ「Coca-Cola Blāk」なども海外製品として発売されていたが、いずれも大きな消費市場を形成並びに確保はできていない。尚、過去にはサントリー陣営自体でも「カフェアナ」(1984年)なる瓶入りのコーヒー入り炭酸飲料を世に出していたし、さらに「ザ・グレートカクテルズ」シリーズの一環として「カルーア ラムコーラ」(2001年)を発売したが、これはコーヒーリキュールをベースにしてラムとコーラを混合したコーヒー風味カクテルというべきもの、いずれにしろ定着した購買層の確保には至っていない。当に全ての陣営が不評の大失敗続きである。どう考えても企画段階で「え?潰れそうだ」と捉えるべき「エスプレッソーダ」、何故売る?
 
 え?潰れそうだ (3) え?潰れそうだ (4) え?潰れそうだ (5)
で、早速に「エスプレッソーダ」を試飲した。苦いような渋いような酸いような甘いような、味わいが虚ろでハッキリしないところは「ネスカフェ スパークリング・カフェ」など過去のコーヒー入り炭酸飲料と同じ。想像以上に炭酸が弱い液体で、発泡性の爽快感も薄い。駄菓子系のコーヒーガムやコーヒーチョコに感じるコーヒー香料の後味だけが強く残る。僅かに濁った液色だけが名称通りエスプレッソらしい? 他は名も謳いも偽称、不味い。今般のサントリー新製品「エスプレッソーダ」に関して、強いて評に値するべきと言えば、「大人のクセにはじけてる。」という謳い文句通りの男優3人を起用したCM映像くらい? 相方・当麻の「はちみつコーヒー」を嫌う存在でしかない瀬文役(「SPEC」)の「加瀬亮」、「コーヒー牛乳大好き」で麦茶練乳と飲み分けた(「OH!マチガエテーラ!」)「遠藤憲一」、少し前2008年に敵陣JT「Roots プライムエッジ微糖」CFに出演していた「六角精児」、「大人のクセにはじけてる。」連中頼りの「珈琲のクセに散散。ドヒャ~。」な商品である。どう考えても「エスプレッソーダ」は先行き「え?潰れそうだ」、コーヒー入り散散飲料だ。
 
コメント (6) /  トラックバック (1)

コメント

No title
ナカガワ URL [2012年08月03日 10時17分]

わたしもいただきました。お説全く同意します。コーヒーキャンディのような香料について、ざらざらする後味感について。もっと正攻法でいいのに。いっそ「サントリー」という名前だけ印刷した缶飲料を売りだしたらどうでしょう。完全ブラインド缶飲料にします。「大人のロシアンルーレットでこめかみを撃ち抜け」缶ということで。よければ各社完全ブラインド缶をだしてもらって。案外各社普通のブラック無糖やらミルクコーヒーを入れておけばバカ売れしたりするかも。「ディアハンター」のロシアンルーレットの顔を使ったデニーロ缶とウォーケン缶を作ってどちらか選んでもらうのもいいかも。特にコーヒーはカッピングが大切なんだそうですので。「サントリー・ロシアン・カッピング」とか「UCCパーフェクト・ブラインド」とか。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年08月03日 23時54分]

RTD本体をブラインド化するには、まずJAS法・食品衛生法・公正競争規約などを撃ち抜かないと…現状実在する「何が出てくるのかわからない『?』」自販機の大量普及から始めましょう。見本にデニーロ缶とウォーケン缶があっても隣にカザール缶があったらそっちのボタンを押しちゃう…実物はストリープ缶にすり替えて、リンダなら大当たり、サッチャーならハズレってことで…
それにしても最近のRTD、ロングセラーを狙える自信作があるとは思えない。開発者たちにはフル装弾でルーレットをやっていただきたい。

No title
ナカガワ URL [2012年08月04日 03時41分]

うーん、缶飲料で、当販売機は「シェフのおまかせコース」のみとなっております----というアナウンスの自販機をつくるか。またはモニターに珈琲博士が登場して「あなたの好みのコーヒーを当ててあげよう。これから250問のアンケートに答えなさい」みたいな自販機をつくり、好みを百発百中当てちゃう自販機でイグノーベル賞をねらうかな。

to2:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年08月04日 19時32分]

ダメダメ、珈琲博士を使って意愚脳減(イグノーベル)を狙うなんて役不足のコトしていては…桃色苦労婆(ももいろクローバー)に倣って自力でパフォーマンスする「琥珀色苦労爺・絶途」を結成し、爺さまのコーヒー蘊蓄話を半日以上聞いた人だけ缶コーヒーが買える自販機を世界中に普及させて、辻静雄食文化賞を狙うのです。

No title
株の初心者 URL [2012年08月16日 19時34分]

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

to:株の初心者さん
帰山人 URL [2012年08月16日 20時08分]

どうも…今後ともよろしくお願いします。
魅力的…ですか、そりゃ望外ですが、ヨカッタ!^^/

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え、つぶれそうだ?
sowacafe 真岡の自家焙煎珈琲専門店 Diary [2012年08月03日 09時02分]

むむむ、偶然のタイミング一致おそるべし、、、昨日思いつきで当Diaryにて言い放った「コーヒーサワー(お酒じゃないですよ、炭酸吹き込んだコーヒー)」ですが、帰山人氏にいきなり

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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