バグっぽい話

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2012年07月24日 23時00分]
’60年代はパロディな『宇宙兵ブルース』“Bill, the Galactic Hero”(ハリイ・ハリスン)、
’70年代は浦島太郎な『終わりなき戦い』“The Forever War”(ジョー・ホールドマン)、
’80年代はガキ使いな『エンダーのゲーム』“Ender's Game”(オースン・スコット・カード)、
’90年代は爺婆使いな『老人と宇宙(そら)』“Old Man's War”(ジョン・スコルジー)…
これら戦争SFは皆「アーサー・キューリー・キャンプ」で訓練を受けて巣立った作品である。
 
 《おれはいつだって降下の前になると、あの震えがやってくる。もちろん注射
  も予防催眠も受けてはいるが、そうかといって本当におれが恐怖をおぼえ
  なくてすむというわけではない。艦に乗っている精神病医は、おれが眠っ
  ているあいだに脳波をしらべ、馬鹿げた質問をし、そのあとで、それは恐
  怖でもなんでもない、ただ、はやりたった競馬馬が出走前に震えているみ
  たいなもんだと言う。》 (『宇宙の戦士』“Starship Troopers”/ロバート・
  A・ハインライン:著/矢野徹:訳)

『宇宙の戦士』の映画化…「いつになったら本物のパワードスーツがでてくるんだっ!?」
 バグっぽい  バグっぽい (1)
 
『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』(Starship Troopers: Invasion) 観賞後記
 
映画「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズの4作目でシリーズ誕生15周年記念作品とかいう触れ込みを除けて劇場公開「映画」として観れば…「エイリアン2」を焼き直したような子供ダマシのフルCGアニメじゃねぇか!描いた世界観自体を風刺していた1作目と異なり、時に暴力賛美と戦争肯定の作品と非難される『宇宙の戦士』の原作者ハインラインも真っ青の軍隊バンザイ映画だ。いかにも平和ボケした軍調オタクが集って作りそうな、話に深みも裏も何も無い、ハッキリ言って脳の軽い輩が喜ぶだけの低俗作品。そもそもコレを劇場で公開する意味がわからん、ビデオスルーで充分じゃあないのか? いや、生身の質感が薄い人造人間のような女の裸をこれ見よがしに映し出したり、敵の異星生物をムチャクチャに殺し続けたり、興奮の煽りはゲームソフト化が相応しい程度。
 
 バグっぽい (2)  バグっぽい (3)
映画「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズの4作目でシリーズ誕生15周年記念作品という触れ込みを呑んで「映像作品」として観れば…ううぅ、最初から(3作目に登場した、強化防護服=パワーアシスト機能スーツと言えない中途半端な「マローダー」で無しに)パワードスーツを装着している、それも原作の冒頭を模した独白を呟きながら…感涙!
 
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カルメンだ! 彼女が艦長を務める宇宙戦艦の名は「J・A・W号」だ、第一次湾岸戦争でUSA空軍戦略を構えたジョン・A・ウォーデン、あの‘悪魔のストラテジスト’を冠した名だ。カールだ! 超能力戦略担当大臣だと? そしてジョニー・リコだ! ついに将軍になった! 隻眼になってやがる。志願兵の同期コワッパども、皆歳を食ってエラくなったナ…感涙!
 
 バグっぽい (6)  バグっぽい (8)
そしてパワードスーツだ! 狸と蝙蝠による「スタジオぬえ」デザインのパワードスーツとは随分違うが、強化防護服=パワーアシスト機能スーツとしてはなかなか好いデザインだ。モーション・キャプチャーによるパワードスーツの仕種、この動きが見えるとは…感涙! 中身はマローダーで降下先は地球であるものの原作通りのカプセル降下シーンも好い。
 
 バグっぽい (7)
『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』はファンによるファンのための作品であり、贔屓の引き倒しにはならない…狭苦しい観点でしか好評できないバグっぽい話だから。それが証拠に、本作バグの鳴き声は「バグだから大和田獏(バク)」という酷い悪戯だ。戦争の昂揚を描いて何が悪い? さあ観ろ、モンキー野郎ども! 人間一度は死ぬもんだ。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2012年07月25日 23時55分]

自分のイメージだとどうしても「ぬえ」のデザインぐらいの無骨さがないと簡単に「戦車」を破壊し空を跳べないのではないかと思ってしまいます。
(まあオリジナルのパワ-ドスーツは酷いもんですが)
自分の中で一番の「宇宙の戦士」はかなり以前に国内で作くられたOVAですかねぇ~。
(オープニングは酷かったです)
話はともかく「ぬえ」のパワードスーツを使ってましたから

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2012年07月26日 16時27分]

うん、言わんとするところはわかります、私も当然に「ぬえ」世代ですから(笑)
しかし、(ご存知とは思いますが)「宇宙の戦士」イラスト版のパワードスーツは現実には生身の人間が実装できません(ってか入れない動かない曲がらない/加藤氏は今もって改良デザインをガンバっていますが)…「ぬえ」の世界は動かすならば画アニメまで、ってコトですね^^;今般の映画はモーションピクチャーなので、現実味をがんばってまぁこんなところかな?って感じでした。

No title
ちんきー URL [2012年07月28日 10時22分]

結局のところハインラインの「考案」した「パワードスーツ」というのは実現不可能と言うことで。

思うにハインラインの言う最強兵器としての人間の強化は人間そのモノの強化である「サイボーク化」か少し違うかもしれませんが「タチコマ」や「AT」の様な一人乗りの操縦タイプの兵器しかないのかも知れませんね。
(タチコマは殆どロボットですが)

to2:ちんきーさん
帰山人 URL [2012年07月28日 16時37分]

いや、ハインラインが創出した宇宙軍機動「歩兵」が装備する武装化した「強化防護服=パワーアシスト機能スーツ」そのものは実現可能だと思います。但し、それは「最強」ではないワケで…突撃兵という消耗を前提とした人間戦機でしかない、という原点を倫理的な願望が忘れさせるから、無骨で剛重なデザインを求めてしまうんですよ。「防護」は敵を殲滅する能力のためで自己保存は考慮されていない、そういう戦略上「正しい」原点から考えれば、パワードスーツなんかスグにできますって…間の抜けた平和主義(?)者からは袋叩きにあうだろうけど^^;

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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