駄作の崖っぷち

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2012年07月07日 23時00分]
《なぜ、ここに…? いま、起死回生のショータイムがはじまる》、怪しい惹句の映画、
どうも観ること自体がすでに「崖っぷち」に立たされたような気分だが、まぁイイか?
  駄作の崖っぷち
 
『崖っぷちの男』(Man on a Ledge) 観賞後記
 
物語の冒頭、主人公(サム・ワーシントン)がチェックインするのは、ニューヨークの
ルーズベルトホテル…ん?再びクビになっていなければ老けたマリサ(ジェニファー・
ロペス)がまだいるか?(笑)…『メイド・イン・マンハッタン』(2002年)には限らない、
『フレンチ・コネクション』(1971年)や『ウォール街』(1987年)でも登場したホテル
を選んで舞台にした映画、つまりは犯罪とカネが絡んだ話であって、結局のところ
娯楽を言い訳にした「ご都合主義」の展開と決着が予想される。その予想の通りに、
『交渉人』(1998年)と『オーシャンズ11』(2001年)を足して3で割ったような弱い
筋立てのホン(脚本)、おかげで最後までドキドキハラハラの「サスペンス」になって
いるのはスクリーンの中のみ。観客には、主人公「崖っぷちの男」が起こした騒ぎの
背景と仕掛けが早々に明かされバレバレ、何の外れもない予定調和が待っている。
  駄作の崖っぷち (1)
 
演者たちが醸し出している雰囲気バラバラ、その為に話が重くなったり軽くなったり、
熱くしたいのか冷ましたいのかわからないまま進んでいく。その混迷は「おいおい、
ココでこの会話かよ」とか、「都合もココ行き過ぎ」とか、ツッコミどころ満載である。
…と、ここまで駄作の要素が目一杯つまった『崖っぷちの男』、ところがどっこい意外
とイケる映画に仕上がっている。アスガー・レスとかいう監督によるものか、貧弱な
ホン(脚本)を強引な演出で突っ切り、ツッコミどころを吹き飛ばしてガンガン推す。
この演出が、弱点を埋めるための計算か、あるいは開き直りによるのか、それは
わからないが、結果オーライ、まぁ面白いから許してやろうかな、で観終わる爽快。
  駄作の崖っぷち (3)
 
もっとも、「蜘蛛男」だの「蝙蝠男」だのアメコミヒーロー活劇のリメイク作品ばかりが
ひしめきあう中での日本公開、古きハリウッド娯楽作の臭いがする『崖っぷちの男』、
時期にも相対に恵まれていたか?演出で突っ切っり抜いた本作をもう一層外側から
眺めれば、物語の材料も話の運びもキャスティングも極めてアメリカの新保守主義
の臭気が強烈に感じられる。そこを想ってのルーズベルトホテルならば見事である。
免じたくもない新保守主義の臭味は、エリザベス・バンクスとキーラ・セジウィックと
ジェネシス・ロドリゲス、演者3人女の色気で相殺できている(?)と偽って呑みこむ。
そこを想ってのジェネシス・ロドリゲスならば見事である、他に存在理由が無い(笑)。
  駄作の崖っぷち (2)
 
『崖っぷちの男』の見所、主人公が《なぜ、ここに…?》でも《起死回生…》でも無い、
《なぜ、これが…?》と思える《十死一生の演出》だ。駄作の「崖っぷち」作品である。
 
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コメント

No title
しらちゃん URL [2012年08月08日 00時01分] [編集]

blogのタイトルからしてえらく辛辣ですねえ。見る気はなかったのですが、DVDならいいかもと思始めました。同じような映画があったので私のblogにまとめました(紹介だけで論評ではありません)。

『スターシップ・トゥルーパーズ・インベイジョン』のblogも読みました。3作目までは見ているけれど、今回はパスします。我々ってなんか趣味が似ているところない? もしかして我々は変人? 悩みますね。

to:しらちゃん
帰山人 URL [2012年08月08日 16時18分]

しらちゃんblog拝読…『ザ・レッジ-12時の死刑台-』…なるほど、それで『崖っぷち…』では邦題に「レッジ」を使えなかったんだw 『ザ』は観ていないけれど、リヴ・タイラーでもっているのかな?どうも「崖っぷち」に立たされるのは男で、何とか観る価値を保つのは女、ってのも同様かもネ(笑)
>我々ってなんか趣味が似ているところない?
似ているところはあるでしょうナァ…弱気を露悪にすり替えてキザっぽく斜にモノを見るところ…常識ある変人を気どっている、ともいう、似合わないのにww…え?そこはオマエ(帰山人)だけだろうって?いやいや、今更違いますって言っても遅いよ、しらちゃん(笑)

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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