珈琲マチガエテーラ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年06月20日 23時00分]
「上島珈琲店」神田神保町店を私が初めて訪ねたのは2003年6月22日、この店が三省堂書店「自遊時間」に併設した1号店としてオープンしてから4日後のことである。日本コーヒー文化学会(JCS)第10回総会への参加を午後にひかえて、朝から神保町界隈の古書店巡りをしてから、昼食に「エチオピア」のカリーを摂る前のことだった。古書店と共に街のガイド本に登場する古くからの喫茶店や珈琲店、ケーキショップはそれまでの20年余であらかた訪ねつくしていたし、今さらそれらの店へ美味くもないコーヒーを飲みに行くのも能がない、しかも上京中の前日に「バッハ」と「大坊珈琲店」を訪ねたばかりで、やたらと増殖する「スターバックス」や「タリーズ」などに寄るのもばかばかしい、JCSの後には麻布の「マキネスティ」にでも行こう…そうした状況ではオープンしたばかりの「上島珈琲店」が放つ雰囲気、適度に落ち着いていてほど好く抜けた感じを存外快く思った。その「上島珈琲店」1号店も、店舗を構えた三井住友銀行神田ビルの老朽による解体計画を理由に、2008年10月31日に閉店したが…
 
  間違えてらぁ  間違えてらぁ (1)
 「上島珈琲店10周年感謝企画」を開始します
  UCCグループで外食事業を担当するユーシーシーフードサービスシステムズ
  株式会社のセルフサービスの主力業態である上島珈琲店は、(略)2003年
  6月18日東京・神田神保町に1号店をオープンして以来、古き良き時代の日
  本固有の喫茶文化を現代風にアレンジし、レトロモダンをコンセプトに出店を
  広げ、現在75店舗を展開しています。同業態の特長は、コーヒーのおいしさ
  を最大限に引き出す抽出方法として日本の喫茶店で古くから高く評価されて
  きた“ネルドリップコーヒー”の抽出技術を自動化した「ネルドリップマシン」(特
  許番号4004506)を独自開発し、その機能を更に進化させた「ダブルネルド
  リップ方式※」を全店舗に展開していることです。ネルドリップマシンで抽出し
  た「ブレンドコーヒー」と、ダブルネルドリップ方式で抽出したコーヒーがベース
  の「ミルク珈琲」を中核メニューに、多様なコーヒーメニューを展開し、本物志
  向のお客様のニーズにお応えしてきました。(略)
  ※ダブルネルドリップ方式 1度抽出したコーヒーを新たなコーヒー粉でさらに
    ろ過・抽出する、全く新しい方式です。2度目のろ過・抽出の際、コーヒー粉
    の粒子がフィルターと化し、コーヒー液の余分な雑味を吸着します。こうし
    てできた濃厚なネルドリップコーヒーは、クリアな味わいを実現しています。
  (2012年6月15日付:ユーシーシーフードサービスシステムズのプレスリリース)
 
今日はちょうどねぇ、ちょっといいコーヒーがはいったんですよ、皆さんに。今回ご用意したのは、“ネルドリップコーヒー”の抽出技術を自動化した「特許番号4004506」の「ネルドリップマシン」、ユーシーシーフードサービスシステムズ(UFS)が誇る技術の…おやぁ? この特許番号は…UFSが《自動で注湯した湯をコーヒー粉の全体に行き渡らせることができるコーヒーメーカー》として発明したもの(特願2003-169790/特開2005-539)ではなくて、UFSの別の発明《コーヒー抽出用布製フィルター、並びに、それの製作方法》(特願2005-6274/特開2006-192061)に付されたものじゃないですか! 自動注湯の工夫をネルフィルターの工夫と、間違えちゃってますよぉ~。オトナの皆さんには、この違い、当然わかりますよねぇ。……“Oh!マチガエテーラ!”
 
この「マチガエテーラ」には、憤悶せざるをえない。なぜなら法的手続きはどうであれ、「特許番号4004506」の発明の根幹は、《フィルター下部の最下端位置に突起部を形成》するという形状にある。要は、ネルフィルターの先っぽに突起を付けたのである。
  間違えてらぁ (2)  間違えてらぁ (3)
  《門脇が使っているネル袋の先っぽには乳首のような丸いぽっちが付いてい
   る。森光のアイデアなのだそうで、ネルの袋を女性のおっぱいに見立ててい
   る。「乳首があって初めておっぱいは完全なものとなる。乳首がなかったら、
   赤ん坊が、どこに吸いついていいかわからなくなっちゃうでしょ。だから、ネ
   ル袋にも乳首をつけてやったんです」というのが森光の理屈だが、そいうい
   われればなるほどそうだ、と妙に納得させられてしまう。》
   (嶋中労『コーヒーの鬼がゆく 吉祥寺「もか」遺聞』/中公文庫)
 
どう見ても、パクリじゃないか! 森光宗男氏や門脇祐希氏らは「コーヒーの鬼」標交紀氏(故人)の薫陶を受けて品性を重んずる(?)から軽挙妄動はされないのであろうが、仮に私が当事者であればUFS他2名の発明者を存分に罵倒した上で撲殺するだろう。加えて、このパクリ特許を別の発明「コーヒーメーカー」と間違え、《「ネルドリップマシン」(特許番号4004506)を独自開発し》などと抜け抜けと広報するUFS、否、この「自動注湯の工夫」を骨子とする別の発明に関して、現状では未審査扱いであることを鑑みれば、意図的にすり替えたとも疑いたくなる。コーヒー愛好家を愚弄する詐欺に等しい。さらに、UFSが都度に「特許出願中」などと称している「ダブルネルドリップ方式」に関しても、UCC上島珈琲が《コーヒー抽出液の製造方法》として発明したもの(特願2005-65498/特開2006-246745)を指すと思われ、決して実質の子会社であるUFS「上島珈琲店」の開発によるものではない。ここをうやむやに言うリリースも許し難い。パクリとすり替えを喧伝して恥じない「上島珈琲店」、10周年を機として万死に値する。
 
  間違えてらぁ (4)
「上島珈琲店」名古屋伏見店を私が久しぶりに訪ねたのは2012年6月20日、「10周年感謝企画」が発表されてから5日後のことである。他に待ち客もいない注文カウンターで「定番の黒糖ミルク珈琲か、それとも違うメニューか」と逡巡している私を虚ろな視線で冷ややかに眺め続けるだけで無言のままの無愛想な店員、セルフの水を入れようにも躊躇するほどにどれも白くよごれきったタンブラーグラス…約9年前に「上島珈琲店」の1号店で感じた「存外快く思った」雰囲気は幻だったのか……“Oh!マチガエテーラ!”
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2012年06月22日 19時37分]

いつも旗艦店にしか行っていないので、やはり旗艦は目が行き届いていますが、残念ですね。やはり世界の大巨人には、王道をいっていただきたい。
マンスリーコーヒーはホットとアイスを両方出せるようにしてほしいです。産地探訪シリーズの限定缶を店に置いたりしてもよいかもしれません。3種類くらいを夏だけ、よく冷やして、とか。そのときは1缶210円で予算組みましょう。
逸品珈房の豆売りは復活させてほしいです。ネットではなく、上島珈琲店店頭で復活させるのはどうでしょう。「コーヒーマイスターの逸品珈房」と変えても可です。
ええい、こうなったら、銀座の路面店で、1杯だてコーヒーと豆売りに特化した「カフェカーブ・クレイトン」なんていうのはだめかしら。名誉支配人は天海祐希と真矢みきになってもらいます。
ブレンドは4種用意します。もちろん、ミルクのあう深煎りのブレンド「雪」。心地よい苦味でお菓子にピッタリの「月」。香りのよさ強さに特化した中煎り「花」。持続可能性を追求した「宙」。
どうぞ、自分たちが毎日楽しみたいコーヒーを作る店、自分たちがコーヒー好きだったと気づかせてくれる店を作ってほしいです。「一日店長」が「一生店長」になるような店。コーヒーを愛し、コーヒーから愛される店を。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年06月22日 22時29分]

庇うわけじゃないけど、助産婦が悩む話じゃありません、9歳を頭に75人の子沢山に恵まれた母親自身にしっかり責任を持ってほしい。いっぴんやヅカの扱いは実現不可能じゃないと思います。貰い子の珈琲館にも別の工夫があって好いと思うし。「世界の」というよりも、私は「日本のチェーン店ココにあり」を求めたい。…まぁ、それもこれも満10周年を迎えるまでに改めて店員とDURALEXの垢を磨いてからですか。Facebookページ開設して踊っている場合じゃない…あんなものから珈琲の香りはしません。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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