六本木のカルちゃん

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年04月27日 05時00分]
2012年の今から約30年前、2月16日にサンフランシスコのセント・フランシスホテルで
アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が設立された。同1982年の6月21日には、
ザ・ナンバーワン・バンドが『もも』をリリース、「六本木のベンちゃん」が収録されていた。
 
  ♪UCCのネオンがやけに黄色っちゃって 涙のキャフェテラス
    店は店 たかだか店だけど 店という名の この人生 …
  ♪アマンドあったりへ おいかけた
    知ってはいたけど ひどいでないんでないの 僕は泣いチッチ …
   (「六本木のベンちゃん」/小林克也・ 嘉門雄三:作詞/嘉門雄三:作曲・編曲)
  六本木のカルちゃん
 
SCAAが後年ほどに腐れきらない産声をあげた頃、日本のコーヒー業界は傾き始めた
ものの、翌1983年に全日本コーヒー協会が「コーヒーの日」(毎年10月1日)を設定する
ほどに凋落していなかった。そこに、UCCのネオンがありアマンドがあり文化があった。
1982年頃までは、「六本木のベンちゃん」に並んで「六本木の珈琲カルちゃん」が居た?
 
  六本木のカルちゃん (1)
  「老舗喫茶店『アマンド』、キーコーヒーが買収 外食事業を強化」
   コーヒー大手のキーコーヒーは老舗喫茶店の「アマンド」を買収する方針を固めた。
   …コーヒー豆の高騰で経営環境が悪化する中、キーコーヒーは六本木など都心を
   中心に喫茶や洋菓子店を12店展開するアマンドを傘下に収め、外食事業を強化
   する。…買収額は数億円のもよう。「アマンド」は1946年に新橋に1号店を開業。
   六本木などでの待ち合わせ場所としても有名だが、景気低迷で経営が悪化して
   いた。買収後もアマンドの店名は残る。キーコーヒーはイタリアントマト(東京・品川)
   を2005年に傘下に収め、外食事業を育成している。アマンド買収で消費者への
   認知度を高める狙いもある。 (2012年1月12日:日本経済新聞)
 
  六本木のカルちゃん (2) 六本木のカルちゃん (3) 六本木のカルちゃん (4) 六本木のカルちゃん (5)
  「UCC、500億円で欧州コーヒー大手買収」
   レギュラーコーヒー国内最大手のUCCホールディングスは23日、欧州同業大手の
   スイスのユナイテッドコーヒー(ジュネーブ)を5月下旬をめどに買収すると発表した。
   買収額は約500億円。…家庭用コーヒー豆や外食業向け抽出機器などを扱う
   ユナイテッドコーヒーの2011年度の売上高は約450億円。レギュラーコーヒーの
   販売量(生豆換算)は7万2000トンに達する。UCCによると、単純合算した販売
   量は16万4000トンとなり、米国のフォルジャーズ、イスラエルのストラウスに次ぎ、
   ドイツのチボーと並ぶ世界3位の規模になるという。…UCCは英国やオランダなど
   欧州各国で高いシェアを持つユナイテッドコーヒーと調達で連携し、価格交渉を
   有利に進める考えだ。 (2012年4月23日:日本経済新聞)

今は昔、日本のコーヒー業界において「東の木村、西の上島」と呼ばれた時代もあった。
今では、上場企業であっても売上高486億円(連結2011年3月期)である「木村」(キー
コーヒー)に対して、非上場の同族経営を続けて売上高3413億円(連結2011年3月期)
とケタ違いの「上島」(UCC)と、両者の規模は大きく隔たった。キーコーヒーは「トアルコ・
トラジャ」と「ドリップオン」以外に謳うものは何もないに等しいし、UCCは上島豪太CEO
が「(今回の買収で)欧州、アジアで存在感を示すことができ、さらなる成長が見込める
と判断した」と述べているが、もはや両者共にマネーゲーム屋であり、コーヒー屋に非ず。
 
  《どんな金の箱でも銀の箱でも、鍵が合わなければ開けることはできない。鍵が
   勘所である。コーヒーも、豆を配合して味を調和させるという勘所がある。その
   勘所を押さえ、また日本のコーヒー業界の鍵をにぎろう》
   (柴田文次:キーコーヒーのWebサイト参照)
  《人生をただただ珈琲にささげて社会に貢献しえたことは至福にして些の悔もなし》
   (上島忠雄:UCCのWebサイト参照)
2人の創業者に対して留保無しで見境なく敬仰はできないが、人物は大きい。アマンド
あたりをおいかけて買っても、UCCのネオンを欧州にやけに拡げようとも、創業者らの
いわば「珈琲は珈琲、たかだか珈琲だけど、珈琲という名のこの人生」である「存在感」
には到底及ばない。何かを買っていく都度に、何かを失っていく…暗澹たる思いに沈む
2012年春、そこにはカルチャーどころかベンチャーも無い。「六本木のベンちゃん」は、
そして「六本木の珈琲カルちゃん」は、コーヒー業界の買収劇を何と評するであろうか?
  ♪知ってはいたけど ひどいでないんでないの 僕は泣いチッチ…
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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