ジュースバーはじめました

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年03月21日 23時00分]
創業時の雄心よりかけ離れ、コーヒーを捨てた乳飲料屋が、ジュース屋を始めたらしい…
 
 「米スタバのジュースバー、1号店が本社近くにオープン」
 《コーヒーチェーン世界最大手の米スターバックスが19日、ジュースバー
  のチェーン第1号店をオープンする。同社は昨年11月、ジュース企業
  のエボリューション・フレッシュを現金3000万ドルで買収したと発表し
  ていた。ジュースバーへの参入は、500億ドル規模とみられる健康食
  品市場への足がかりになると期待されているが、ジュースバー市場は
  競争が激しく、アナリストの間では、コーヒーチェーンより利益率は低
  くなるとの見方も出ている。同社はジュースバーの開業予定店舗数を
  明らかにしておらず、本社を構えるシアトルからほど近いベルビューで
  オープンする第1号店の行方が注目を集める。》 (ロイター:2012年
  3月19日)
 
Evolution Fresh(エボリューション・フレッシュ)は1992年にUSAカリフォルニア州のサンバーナーディーノで設立された。同じカリフォルニア州のサンタクルーズで1980年に創業したOdwalla(オドワラ)、同州サンタモニカで1983年に創業したNaked Juice(ネイキッド・ジュース)、この西海岸発祥のジュース屋2強は各各がコーラ屋に買収され、オドワラは2001年コカ・コーラ傘下に、ネイキッドは2007年ペプシコ傘下に置かれた。この間にネイキッド・ジュースの創業者Jimmy Rosenberg(ジミー・ローゼンバーグ)は、再度に別のジュース屋を起こす、その会社こそがエボリューション・フレッシュなのである。今後のスターバックスは、提携していたペプシコ傘下のネイキッド・ジュースの店頭取扱いを止めて、エボリューション・フレッシュの販売を画策することになるだろう。2者を創業したジミー・ローゼンバーグから見れば、片や1者はコーラ屋戦争の道具に、他方の1者は変質したコーヒー屋の欲得に落ちて提携先の1者を叩き出す道具にされ、殺伐たる顛末。スターバックスを買収して変容させる頃から、フレッシュジュースやスムージーを売り物にしたかったハワード・シュルツCEOにしてみれば、念願叶えた新業態、とでも言うべきか?
 
コーヒーを愛し運ぶ船人たちの「航海の果ては?」、岩礁の化け物に惑わされて、難破させられ、殺され、死体となって山を成すのであろうか…
創業理念からおよそ変転した「悲しき道程」は、20年かかって堕した挙句に簡便即席の味わい無き商品を誇るしかなかったのだろうか…
誇りを奪われ安く扱われた「ヘンリーの怒り」も虚しく届かず、あてがわれた新たなロゴに表された滴は虐げられた者の涙なのであろうか…
グッズを売りミルク飲料を飲ませる店に変質して、とっくの昔に「コーヒーは消えていた」ことを、恥じるどころか本当に消すつもりであろうか…
憐憫と良識とを捉え間違え、サードプレイスを第三帝国と同義にするかのように人々を蹂躙し続ける「ヒトラーの尻尾」は、世界を読み違えたのか…
 
   不快の心像
先の報道を知って想い浮かんだ夢幻、それは、コーヒーを捨てた化け物が自ら棲息するはずの惑星を抱え、その惑星が自ら育んだはずのリンゴを蝕み、その腐りかけた巨大なリンゴから搾り取った涙が滴となって落ち、新鮮なはずが酸敗したジュースとして溜まる…コーヒーを超えて不快な心像を想い描いてしまう、これは悪夢か? それとも正夢なのか?
 
 ♪ 春に間に合うように 昨秋から取り掛かって
  原価納得いくまで何度もやり直して 本日
  3月19日 うちのコーヒー屋でもとうとう 
  ジュースバーはじめました
 ♪ ネイキッド売ってるから ペプシコ怒り狂ったけど 
  ジュースバーはじめました
 ♪ 昔あこがれてスムージー勝手に作って多額の借金 
  ジュースバーはじめました
 ♪ ちょくちょく起こるリストラ 知らぬ間に買われる会社たち 
  ジュースバーはじめました
 ♪ サードプレイス姿消してから もう何年もが過ぎて
  今年はそろそろ ヒットが恋しくなる時期 夏の風物詩
  ソフトドリンクの売り上げ 徐々に 徐々に減らした 
  ジュースバーはじめました
 ♪ 買ってしまったシアトルズベスト 鳴り止まぬ苦情電話
  買ってしまったクローバー 鳴り止まぬ苦情電話
  変えてしまったロゴマーク 鳴り止まぬ苦情電話
  変えてしまったブロンド焼き 鳴り止まぬ苦情電話
  また買ってしまったエボリューション・フレッシュ 鳴り止まぬ苦情電話
  ジュースバーはじめました
 ♪ シュルツの返り咲き 急激に悪くなったサービス
  久々に見た顔つき 死ぬ直前のジョブズと瓜二つ
  突然思い浮かぶ 虫食いリンゴのジュース ジュースバーはじめました
 ♪ 絶え間なく起こす 企業間戦争
  なぜ人を傷つけ 傷つきあうのだろう Oh ジュースバーはじめました
 ♪ エボリューション フレッシュジュース ジュースバーはじめました
 
コメント (8) /  トラックバック (0)

コメント

複雑ですね~!
珈子 URL [2012年03月22日 15時38分] [編集]

なんだかシュール・・・ですぅ!
可笑しかったりやがて悲しくなったり・・・混沌です。シュールだったりピン芸人だったり、また惑わされました!

to:珈子さん
帰山人 URL [2012年03月22日 16時41分]

本当は枝葉を加えると、もっと複雑なんです…「虫食いリンゴ」のジョブズはオドワラ偏愛者でジュースと水は全部オドワラ…そのオドワラは1996年に大腸菌汚染と腐敗リンゴのジュースが摘発されて一時は販売9割減になった…その間に急成長してトップシェアを取ったのがネイキッド…以後は記事の通りであります。コンピュータ屋とジュース屋とコーラ屋とコーヒー屋が絡み合った世にも奇妙な物語…このネタでR-1とかやってくれないかな^^;いや、あらびき団でも無理か(笑)

No title
ナカガワ URL [2012年03月22日 21時37分]

イラストはどうやって描いているのですか。
ところでこのジュースバーは、フードメニューがあるのでしょうか。ベーカリーやデリカが併設しているとか。ドーナツでサンドしたハンバーグのチョコレートソースがけ、とか。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年03月22日 22時40分]

描いているというよりも、精度に低い画像コラージュあるいはフォトモンタージュでしょうか。
フードメニューあります。
http://www.evolutionfresh.com/en-us/locations/bellevue-juice-bar/menu
スープ、サラダにラップロール、サンドイッチ、ヌードルもあります。
http://seattle.eater.com/archives/2012/03/20/starbucks-juice-bar-evolution-fresh-debuts.php
サンドするドーナツは‘TOP POT'、ハンバーグは‘520 BAR&GRILL’、チョコソースは‘CAFE LENTO’から調達しましょう…あ、それならばベルビューにこのジュースバーは不要です。

No title
ナカガワ URL [2012年03月23日 16時51分]

ネットにはコーヒーのダイマジンさんがいるんやで。
毎日検索したらダイマジンさんになれるんやで。
生き残れる店をするのが夢だったわたしは、今日もせっせとダイマジンさんにアクセスする。
ダイマジンさん、ホンマにありがとう。
----また悪いお代官たちを懲らしめたってください。一生懸命おいしいコーヒー作ってお供えさしてもらいます。

to2:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年03月23日 18時37分]

コーヒー界の代官たちが悪だくみをするとネット上で動き出し破壊的な言説で懲らしめる、というダイマジンがいた、そのダイマジンの怒りは、おいしいコーヒーをお供えすることでしかおさまらなかった、という伝承が残っている。お礼を言っても「欲しがりません、アラ、カツマでは」とだけ答え、土は土に、水は水に、雪は雪に、戻ったという…所詮はコーヒーと同じ消え物だったのである。(『エンサイクロペディア・ギャラクティカ』の「コーヒー太古の歴史」より抜粋)

No title
ナカガワ URL [2012年03月25日 09時28分]

知りませんでした。「アラカツマ」、最新のハイブリット種と間違われそう。きちっと手入れして栽培すると毎年美味しい実をつけるのですが----人々がひとたび儲けに走ると----考えただけでも恐ろしい----。

to3:ナカガワさん
帰山人 URL [2012年03月26日 20時28分]

【アラカツマ】
ブルボンに由来するカツーラと、ティピカに由来するマラゴジッペとを交配した「マラカツーラ」の変異種と思われるが、実体は謎。丹精して栽培する限りは、樹高は低いままに巨大な実が多量に採れるが、拝金や利己に走ると、途端に樹高は4.5mに達して一切結実しないまま病害虫を周囲に撒き散らして朽ち果てる。1966年に発見されて以来その恐ろしい特徴から「ダイマジン」とも呼ばれ、鬘王ルイ14世とマラゴ実平の呪いによるものとされてきた。しかし、2010年には樹高が20mにまで達した「カノン」と言われる木が見出され、「アラカツマ」の恐ろしさは未だ留まるところを知らない。
(コーヒー 悪魔の辞典3:補遺)

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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