悪魔の辞典 3

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2012 [2012年01月21日 06時00分]
「コーヒー 悪魔の辞典」の「」と「」に続き、久方ぶりに「コーヒーな品種」篇を作ってみた。
 
 
あ行
 
【アカイア】
笑福亭松之助(2代目)が自らの本名(明石徳三)に因んで門下に与えた新たな亭号で、まさに「ムンド・ノーボ」(新・世界)種から生み出されるに相応しい名である。亭号を持つさんまが同期の島田紳助からコンビ結成を誘われて断った1977年が、「アカイア」種が後に大きく世に扱われる画期となった。「ムンド・ノーボ」から繰り返し実も種も大きいものを選び続けたその成果が「アカイア」であるが、存在が大きい割には芸は師に劣る品種。
 
 
か行
 
【カツアイ】
出自は愛知県西春日井郡新川町(現:清須市)で…以下は「割愛」する。
 
【カツーラ】
ブルボン王朝の最盛期に太陽王と呼ばれたルイ14世は、低身長を隠すために大きな鬘(かつら)を被っていた。後にブラジルで「ブルボン」種の変異体が発見された際、樹高が低い矮性であったことから太陽王に因んで「カツーラ」と名付けられた。しかし、その名の通り「カツーラ」は相性の良し悪しがあるようで、禿頭に寛容なブラジルでは「カツーラ」はみすぼらしいものであるとしてウケが悪く普及していない。これに相対して禿頭に厳しい風潮のコロンビアでは「カツーラ」が流行、但し当たり年とハズレ年とが交互にやってくる。
 
【ゲイシャ】
エチオピアに発祥してケニア、タンザニア、コスタリカと渡った遊女の一群で、その職で病に罹り難いことを特徴としていたが徐々に客を失い廃れていた。近年パナマで揚げ代を高く取れる遊女を「ゲイシャ」と勘違いして呼び、スペシャルティコーヒー狂信者の間で称讃されているが、その実態は「追い乱」で、やはり遊女あるいは枕芸者の類であろう。本来の「ゲイシャ」は「芸子」と性別で対をなすものであり、幇間が最も近い原義である。幇間は「バカをメッキした利口」を正道としているが、揚げ代の高騰を品質価値と心得るスペシャルティコーヒー狂信者は「利口をメッキしたバカ」ばかりであり、桶伏せ者である。
 
【ケント】
マイアミのレイス・D・ケントが1932年に「ブルックス」種を播種した(はず)が、6年後に収果してみれば新品種、1945年に「ケント」と名付けられた。「ブルックス」と「ヘイデン」の交配種で、炭疽病には弱いが繊維質が少なくて味が良いので、メキシコ・グァテマラ・ベネズエラ・エクアドル・ペルーなど中南米に産地が拡大している。オーストラリアやマリ、イスラエルなどでも栽培されている、俗にアップルマンゴーの一品種である…間違えた。
 
 
た行
 
【ティピカ】
主な栽培品種の「神」として君臨する最上の伝統在来種。2大品種の相方「ブルボン」ですらも「ティピカ」の変異種といわれてきたが、「ブルボン」の創始が出身した山形県最上地方に因んで「最上屋(もがみや)」であったことからも、最上の品種が「ティピカ」である。近年、不心得に「ティピカ」と「ブルボン」の起源通説に異を唱える悪魔の輩も見られるが、神を冒涜する者の話に耳を傾けてはならない。また、「ゲイシャ」や「ポワントゥ」など新興異端の品種を信奉する風潮もあるが、伝統在来「ティピカ」種こそが絶対的「神」である。なお本項は、R・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』をBGMに指定する。
 
 
は行
 
【ブルボン】
新潟県柏崎市で1924年頃に発見され、過去には「北日本セイカ」種と呼ばれていた。現在ブルボン種といわれるものは、ブルボンの中でも「ロンド」という種類で、これは1974年に発見され爆発的に普及した「ルマンド」が訛ったものであると推測される。また、これとは別に近年「ポワントゥ」という稀少品種が復活を遂げているが、これは1965年に発見された「ホワイトロリータ」が訛った「ローリナ」という種類のことである。ブルボン系には「エリーゼ」や「シルベーヌ」など他にも多様な仲間があり、「ピッカラ」は現行の「ティピカ」種の元になったのではないかという逆説もある、真偽や詳細は不明。
 
 
ま行
 
【マラゴジッペ】
徳川幕府の新用軍艦「開陽丸」が建造されたオランダから回航する途、1867年1月にブラジルのリオデジャネイロに寄港した際、日本人の乗船者1名が行方不明となった。彼はバイーア州に移り、身の丈9尺余りという巨躯を生かしてコーヒーの栽培を始めた。1870年には巨体の日本人が栽培するコーヒーの豆もまた巨大であることが噂になり、その生産者「マラゴ村の実平(じっぺい)」から変異種は「マラゴジッペ」と名付けられた。
 
【ムンド・ノーボ】
カンピナス農業試験場がアホでも育てられてどエライええいうた主要栽培品種や、知ってはる?常識ですやん。農業試験場の北西約300㎞で生み出された交配種で、その現ウルパス地区の当時名「新世界」に因んで「ムンド・ノーボ」種と名付けられたんや。「新世界」はかつて博覧会開催やルナパークで賑わい、今日でも再興された通天閣、ビリケン像、ジャンジャン横丁やらなんやらがありまんねん。行ってみておくんなはれ。
 
 
ら行
 
【リベリカ】
アンダルシア地方の古来伝統種で極めて生長が遅いため…あ、イベリコ種と間違えた。アラビカ種・ロブスタ種と並べて3大品種とか言っているクセに、由来地名の元になった「自由」とは程遠く、ちっとも気軽に飲めない品種。そのため日本のコーヒー業界では幻の品種とかいっているが、実際には世界の各地に散らばってケッコウ栽培されていたりする面白い香味のする奴で、要は使う方にその気がないだけの気の毒な品種である。
 
【ロブスタ】
バッタをさすラテン語‘locusta’に由来、大きなものは120cm…あ、ロブスター属だった。アラビカ種と並べて2大品種とか言っているクセに、気取ったコーヒー屋ほど味が悪いと罵しり蔑むが、さび病パンデミックによるコーヒー世界の壊滅を救った裏の「神」である。ある時は「ロブスタ」、ある時は「カネフォーラ」、またある時は「ローレンティイ」、しかしてその実体は…正義と真実の使徒、金洞剛造だ!正義の使途は程遠い、気の毒な品種。
 
 
今後も他者からの評判・意見・追記などを受け、充実を図るか否か検討していく所存である。
 
コメント (6) /  トラックバック (0)

コメント

No title
珈子 URL [2012年01月22日 10時39分] [編集]

おひさしぶりです。今年もよろしくお願いします。
深い知識はありませんが、何となく笑えました。
注意深く読まないとコーヒーのお話がどこからどこまでか分からなくなりますが楽しくウロウロしました。

No title
y_tambe URL [2012年01月22日 21時22分] [編集]

アカイア:元々はアマゾン原産のワカバキャベツヤシ(別名アサイー・パーム)の実に似ていることから、ポルトガル語で「アサイーのような Açaia」と呼ばれたものの、「セディーユ付きc」がない英語に訳される際に"Acaia"とされたのが運の尽き。日本語でも「アサイア」でなく「アカイア」表記が広まり、しまいには「亭号」呼ばわりされるようになった悲しき品種…ってのはどうかな?

to:珈子さん
帰山人 URL [2012年01月22日 23時02分]

珈子さん、こちらこそ今年もヨロシク^^
ハイ、今般は「悪口」ではなくて「虚言」で惑わせる悪魔となっております。今年も時々こういうイジワルで遊ぶ予定ですので、またお付き合いください^^/

to:y_tambeさん
帰山人 URL [2012年01月22日 23時15分]

「アカイア」新説、サスガです。私のようにオヤジギャグな嘘でいけば失笑で終わりますが、Tambeさんが語源語音で説くと、そのうちどこかのコーヒー本に引用されそう^^;…しかしながらご覧の通り、HdT、カチモール、バリエダ、パーカス、パカマラ…あたりは触れて当然なのに(単なる怠慢で)未収載であります。増やすの手伝ってもらえます?(笑)

No title
Rou URL [2012年01月23日 14時07分]

けっさく。ビアスなどよりよっぽど気が利いてるよ。『コーヒーの事典』なんていうろくでもない本があったけど、コーヒー辞典は帰山人単独で編纂すべし。ああ、野に遺賢あり!

to:Rouさん
帰山人 URL [2012年01月23日 19時27分]

Rou師、『コーヒーの事典』みたいなものだって必要ですよ。ただ、私の単独編纂で『悪魔のコーヒー辞典』を作っても、「本当はどうなんだ」に応えきれるコーヒー本が無い、ってことが課題であります。まぁ、出版&コーヒーの両界いずれも、体面とか面子とかでいがみ合う「桶伏せ者」が多いのでしょう…いまや政官財界に賢なし!(笑)

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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