JCS風発記(2)

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2011 [2011年12月06日 05時00分]
「来ル12月3日ヲ以テ明治6年1月1日ト被定候事」という明治政府の太政官達により日本が太陽暦の採用を発した明治5(1872)年、樋口奈津はこの年の春に生まれた。麻布風月堂が喫茶室「夏見世」を開設した明治26(1893)年、樋口奈津はいよいよ
貧窮して下谷龍泉寺町の細民街に移り住み、荒物駄菓子店を拙くも営んでいた…
 
【Tona: JCS年次集会当日】
 
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宿「ほていや」を出て雨中を散策、今では傾城(けいせい)どころか張見世(はりみせ)も覗けない新吉原跡を抜け、「一葉記念館」へ。開館50周年記念特別展「樋口一葉ゆかりの人々」を貸切状態で観たが、「一葉」を号した樋口奈津のいかにも高慢かつ陰険な性根の印象は変わらなかった。生憎の雨にはやはり生憎の女が似合うのか? 「飛不動」(龍光山三高寺正寶院)に寄って飛行機マニアの義弟と南米旅行を控える妹に土産を買い、いろは会商店街のアーケード下を冷やかし歩き抜けるぶらり散歩。
 
「カフェ・バッハ」で合流予定の山内秀文さんを待つ間、バッハブレンドを飲みながら新聞を読み、ペルーのお供に昔風リンゴのケーキ(コレがメチャクチャ旨い! 珈琲をどうこう言う前にコレだけでも食べに行く価値があるナ)を食べ、ママ(田口文子)との談話を楽しみ…行動拠点にして憩いの場になる私の全く「正しく凡庸なカフェ」である。待ち人来る暫し歓談、パナマ・ドンパチ・ティピカを飲んで山内さんと学士会館へ向う。
 
 
2011年12月3日
「日本コーヒー文化学会(JCS) 第18回年次集会」 講演2題と報告1題と分科会
 
  JCS放談 (5)
◎講演 「戦前日本人移民によるコーヒー栽培 ―ハワイ、ブラジル、台湾を中心に―」
  飯島真里子氏
3所の日本人移民史を掻い摘んだだけ新奇な話は聴けず、講演眼目に掲げていたコーヒー栽培の持つ「帝国性」は掘り下げられず、単に「昔話」に終始して残念である。「移民自身の意識は出稼ぎ?移住?殖民?」、「汎東アジア圏他国のディアスポラと日本人のコーヒー移民との違いは?」の2項挙手質問、回答は得られず残念である。
 
◎報告 「ワールドカップテイスターズチャンピオンシップ2011に参加して」 田原照淳氏
2011年6月22-24日にオランダのマーストリヒトで開催されたWCTCにおいて予選と準決勝を共に1位通過したが4名決勝で3位に終わった田原氏の報告。隣席で山内さんは讃えていたが、「本当はオマエがチャンピオンだと駆け寄られた」とか「チャンピオンにならなくてよかった、とも思う」とかの田原氏の発言を、「自尊と自省、自励と自戒を分けて表現できない日本人がチャンピオンにならなくてよかった」と私は内心思い聴いていた。
 
◎講演 「カフェーパウリスタの意義と広告余聞」 佐々木靖章氏
ブラジルコーヒーの宣伝戦略研究の一環として登壇されたが、学術の著作権ばかり強調されて、佐々木氏独自のカフェーパウリスタの歴史的「意義」は何処へいった?
 
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◎焙煎・抽出委員会 「パナマコーヒー ―幻のゲイシャ・ナチュラル」
助手を言い付かった私は、山内委員長が解説する間に、バッハ中川さんに用意してもらったコーヒープレスでドンパチ農園の「芸者」2種を抽出する役目。容器を開封して挽き豆の香りが鼻腔に達した瞬間、「水洗芸者」と「天然芸者」とのアロマ差違に驚嘆。手前勝手式プレス抽出したコーヒーを参加者全員で飲み比べた。ゲイシャ種独特の酸味の強さは「水洗」と「天然」でほとんど差はないが、「天然芸者」には柑橘系の鋭い要素にスパイスやシェリーなどの香味がより加わって酸味の複雑さと拡がり様がスゴイ。もっとも「水洗芸者」に関しても、一昨年や昨年のドンパチよりも香味全体が野太い力強さを感じたので、「飲み比べで差を取るならばコレでも良いが、今年のドンパチはもう少し深く焙煎してもオイシイかも」と身勝手な感想を述べた。「ナチュラルは、四半世紀くらい前まで味わえたイエメン・モカのような感じ」とも。分科会参加者の好みは「水洗」「天然」で半半に分かれた。「サイフォンで淹れてみたい」という参加者にアーダコーダと談ずれば、ワールドサイフォニストチャンピオンシップ2011優勝の木次日向子氏であった。ベスト・オブ・パナマ2011ナチュラル部門トップの高額ドンパチ「天然芸者」もWSC2011トップの「サイフォン芸者」に惚れられるとは本望か? 「芸者実で助く」か?
 
 
JCS散会後、山内さんと「バッハ」に戻れば、マスター(田口護氏)と中川さんも加わり座談会。田口さんの芸者評を聴いて山内さんと顔を見合わせ大笑、さっきJCSで私がほとんど同じ評を言ったからネ。4人で歩いて夕食は「扇や」、ビールにカツ丼(煮カツと飯とキャベツが別盛り)他、たらふく食べつつ喋りっぱなし。日帰りの山内さんと別れ、「バッハ」でハワイ・コナ喫しつつ田口さん中川さんとコーヒーを超え時空を超えて鼎談。
 
宿に戻り、再び旨くて濃い一日、ベスト・オブ・パナマより貴重な談論風発を味わった。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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