隣のオヤジは良い?

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2011年10月01日 23時30分]
『グロリア』(Gloria:1980年)と『レオン』(Léon:1994年)と『96時間』(Taken:2008年)
とを足して3で割ろうとして5で割ってしまったか、たわいない話運びは100回リメイクしても
『タクシードライバー』(Taxi Driver:1976年)には及ばない…そんな韓国映画の怪作を観る。
 隣のオヤジ  隣のオヤジ (1)
 
『アジョシ』(아저씨) 観賞後記
 
香港映画や韓国映画の仰々しさ、つまり「やり過ぎ」感はオモシロク当たれば好いのであるが、
その「やり過ぎ」の理由をいちいち長々と押し付けられる情話には毎度ウンザリ、『アジョシ』も。
このウンザリを感知できないほどに韓流漬けで脳ミソが腐った日本のオバサンは、話中の敵役
マンソク兄弟に殺されて臓器でも売買された方が罪滅ぼしになるか?そう思いながら堪える。
 隣のオヤジ (2)
 
「アジョッシ~(おじさ~ん)」を連呼するクソガキ・ソミを演じたキム・セロンは上手だ、人身や
臓器の売買対象になる前に、既に芸能界に魂を売ってしまったと思われる、痛ましい巧みさ。
その孤独なクソ少女・ソミを守るために闇の犯罪組織と闘う「隣に住むアジョシ」チャ・テシク、
イ・ジョンボム監督の当初の脚本通りに、太鼓腹で無精ひげを生やしたごく普通の年配男性
であれば、鬱屈した孤独感と児童性愛を臭わせる変態ぶりがないまぜになってオモシロイが、
このキャストをウォンビンにしてしまったところで、矛盾だらけでツマラナイ人物設定になった。
 
隣のオヤジ (3)  隣のオヤジ (4)
アクションシーンの演出とそのカメラワークは多々の工夫に満ちていてなかなかの出来栄えで
あったが、『アジョシ』を怪作にしている最大の要因は、(テシクとソミを除いて)見事にハマって
いる脇役たちがみせるケレン味たっぷりの表情だ。その中でも、タイ人タナヨン・ウォンタラクン
が演じたベトナム人の殺し屋、雑貨屋のハラボジ(ジジイ)、人身売買のハルモニ(ババア)、
この3人がスゴイ!スター俳優のハダカや子役のクサい演技をいくら積み重ねても、爽快感の
ある「怪作」にはならないこと、ウォンビンを見に来たオバサン観客は理解できないだろうがね。
深みも無く裏も無い軽いストーリーの『アジョシ』をまずまず見応えある作品にしているのは、
過剰な演出のすき間でうかがえる脇役たちの無言で多彩な表情である。この怪作の要因は、
深みも裏も無い映画の典型である「漫画やアニメの実写化」や「マーベルコミックの実写化」を
続けるしか能が無い昨今の日本やUSAの映画界こそが真似ても獲得するべき術策であろう。
  
 隣のオヤジ (5)
隣の国で作られた『アジョシ』は、見せる意図がウォンビンだろうと一升瓶だろうと尿瓶だろうと、
そんな隣のオヤジはどうでも良い、肉体とアクションよりも鍛え上げるべきものを明示している。
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2011年10月03日 04時59分]

個人的に勝新VS近衛の対決モノ「座頭市血煙街道」が気に入っておりますが、あんな感じかしら。
以前韓国映画の検索していて、いつぞやの「シュリ」あたりから、韓国で自由に映画が作れるようになった、と知りました。といってもまだ10年くらいでしょうか。でも元気があるのは羨ましい限り。
そのうちに伊吹山を駆け上がろうとしたら、悪党に追われて逃げるガキに遭遇するかもしれません。そのときあなたは、1女装してグロリア、2サングラスをかけてレオン、3目を瞑って座頭市?
しかし、韓国のベルモンドといわれたアン・ソンギはまだときどき登場しますが、シュリのハン・ソッキュはどこいっちゃったのでしょう。やっと、オノマトペみたいなスターの名前に少し慣れてきたのに。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2011年10月03日 18時57分]

『座頭市血煙り街道』!さすがにコレには及んでいないなぁ。『ブラインド・フューリー』のルトガー・ハウアーVSショー・コスギよりはマシだけど…(笑)
>でも元気があるのは羨ましい限り。
確かに。「『シュリ」』あたりから」韓国映画界は変わったのでしょう。自由化される他方で、「韓国芸術総合学校」を設立したこと(『アジョシ』の監督も撮影もここの卒業生)やスクリーンクォータに固執していることも(良くも悪くも)影響しているのでしょうが…エル・システマの映画版でも導入しない限り、邦画独特のショボイ殻は破れんのかなぁ。
伊吹山で追われるガキに遭遇したら…まずランボーやコマンドーみたいに武器を調えてボディペイントしてアジョシみたいに髪を切って…あ、敵がどっかにいっちゃった…山頂でスフトクリーム食べて帰ろう、っと。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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