返してこい!2

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2011 [2011年08月20日 06時00分]
「カフェ」で「バリスタ」が扱う「スペシャルティ」…そんな当節はやりの志向を汲み取ったのか、
日本でのコーヒー消費の数パーセントを占めるに過ぎない自家焙煎店にのみ焦点を絞り、
店と焼いた豆と使った焙煎機を並べただけで焙煎を説いたつもりのコーヒー本が登場した。
 返してこい2  返してこい2 (1)
 
『コーヒー焙煎の技術』(旭屋出版:刊)
 
Loring Smart Roaster(ローリングスマートロースター)やDiedrich(ディードリッヒ)などの
新興焙煎機はUSAの生み出したスペシャルティコーヒー信奉に乗ってブランド化に成功した。
これに対抗しようとするProbat(プロバット)のPROBATONEや富士珈機のレボリューション
など老舗の焙煎機メーカーも新シリーズを投入し始めている。これらは擬似的「熱風化」と
コンピュータ制御によるプロファイル管理を共通の特徴とした焙煎機であるが、そうした
技術的特性よりも妄信の風聞で憧憬し垂涎する類の愚者たちには、本書は歓迎されよう。
 
他方、フジローヤルやラッキーを使用している店の例ではバーナー増設などの改良(?)が
頻出しているが、改作するべきとした科学的な根拠や主張は全く示されておらず、成果の
是非はともあれ安易に職人的努力と称揚するかのような謬見を与える、本書は危険だ。
 
たとえ焼く豆がスペシャルティでなくとも、たとえ自家焙煎店という商売のためでなくとも、
「コーヒー焙煎の技術」が必要であることに変わりはない。そこでは「豆はどう焼けるのか」
という焙煎の「理論」が前提になるべきであり、「良い焙煎と悪い焙煎」とを分ける「技能」が
語られるべきでもある。この視座が欠けている本書『コーヒー焙煎の技術』は、意義薄い。
コーヒー焙煎の技術を本書のみで学びきる、と謬論する次代の自家焙煎店志望者には、
かえしてこい、という感じ!?」という返本の忠告を贈っておきたい、そんな本である。
特段にマイスター焙煎機の宣伝に荷担しようとも思わない私だが、焙煎技術を知るならば
せめて『田口護のスペシャルティコーヒー大全』と岡崎俊彦氏による「大和鉄工所 コーヒー
焙煎機 資料」並びに「設計屋のBLOG」における焙煎関連の論考を消化することが優先、
その後ならば本書『コーヒー焙煎の技術』もショップリスト程度には役に立つかもしれない。
 
コメント (12) /  トラックバック (0)

コメント

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珈子 URL [2011年08月20日 23時40分] [編集]

読んでしまって返せません・・・のですが。
わたしはドシロウトですがくまなく読んだ後・・これって誰に向かった本でしょう?羅列するだけって・・・とか生意気にも思ってしまいました。
ただ、努力で小さなお店がこんなに立派な?焙煎機を使用する大きなお店になっていくのだな~って感心しました。

to:珈子さん
帰山人 URL [2011年08月21日 00時13分]

>…立派な?焙煎機を使用する大きなお店になっていく…
そこナンですよ…経営的にはリッパかもしれないけれど、焙煎機が大きく新しくなる都度に「美味しい」お店になっていくケースは稀少です。道具(焙煎機)で焼きたいように焼いた豆から、道具に既定されて焼ける豆を焼く道具に、関心が移るほどにコーヒーは不味くなっていくような…

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ナカガワ URL [2011年08月21日 02時08分]

せめて、実際どんな味なのかを編集氏の忌憚のない評価を書いて欲しかったです。そして、同業者でもお客さんでもいい、その店に行って評価の味の通りがどうかを確認してもらう、書いた評価と違っていたら本代はお返しします、くらい言ってほしいかしら。わかる人だけ買ってくれればよい、と潔く作れば、爆発的に売れるかも。焙煎できるカッパー・バリスタ編集者みたいな人が現れないかしら。それを支えるスポンサーも求む、ですけれど。
それこそブレンド1にはちょっと偏った取材記者座談会みたいなページがありました。編集長のひとことが深読みストたちに浸透して、以降その編集長の推した味になっているかどうか、毎回緊張しながら焙煎し抽出し、大変苦労した人がいます。でもその人は、それが自分を育て、自分の技術を律するもとになってきたといっていました。紙に文字で固定するというのは、そういうものであってほしい、と。
リストの店を周ってみるよう、努力してみます。

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じょにぃ URL [2011年08月21日 02時28分] [編集]

帰山人さん。
機能をひとつずつ小出しに追加していく
家電のように感じました。
そしてセミナーに行くと初級で教えてくれることを
やっと本にしてくれた。そんな感じです。
と言っても某焙煎機メーカーのミニセミナーしか
参加したことがないのですが。
焙煎の所を読んでも結局はスペシャ大全を見ることに
結局なりそうだなと思いました。
他にも色々思いつくことはあるのですが
うまく頭の中でまとまらなかったのでこの辺で失礼します。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2011年08月21日 16時15分]

>…編集氏の忌憚のない評価を書いて欲しかったです。
今の旭屋じゃあムリでしょうね。今の柴田でもムリだけど^^;
『ブレンド1』…座談会もスゴイけれど訪店記事自体でもダメ出しコメントしている記者がいて(地域担当毎に色が違い過ぎて)笑えるガイドでしたね。『喫茶店経営』でランブル関口さんやバッハ田口さんがジカバイの店を巡る企画でも、「主張がスレ違ってモメた」痕跡が残る記事ほど面白かったなぁ…懐かしい。
取材や編集する側に技量も覚悟も不足していることに加え、ジカバイ店側も今じゃ「○○に載りましたぁ^^/」みたいな卑俗な反応ばっかり。リスト店巡りしても「あのクソ記者ホントわかっちゃいねえ!田口も堀口もダメだ!」っていうマトモな店主は絶滅しているかもしれません。

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2011年08月21日 16時37分]

>機能をひとつずつ小出しに追加していく家電のよう…
山田ク~ン、座布団3枚いやProbatone3台あげちゃいなさい!
まぁ頭の中というより本書自体がうまくまとまらなかったワケで、まとまっていなくてもいいのだけれど、私が敬愛する自家焙煎2店は共に故・寺本さんの作った手廻し釜と1kg釜をずっと使っているワケで、でも本書に登場する高機能焙煎機よりもウマイ珈琲を作っている…なんだかなぁ、って感じ^^;

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teaR URL [2011年08月22日 00時12分] [編集]

この記事と一個前の記事メチャクチャ面白い!当然のようにこの本知りませんでしたけど、これは読もう。逆に興味でました。

そういえばこないだドリップマニアでアイスコーヒー飲んできましたけど、抽出前より良くなってましたよ。記事読んだのかな?美味しく飲めました。でも今回は寄ってみたヒントインデックスのアイスのが美味しかったですけどね…。

to:teaRさん
帰山人 URL [2011年08月22日 00時39分]

teaRさん、どうも。(誰かの好評を得たいから記事にしているワケじゃない…などと気取っていても:笑)「面白い」「興味でました」と言っていただけるとウレシイです。
ドリップマニア…まぁオペレーションの安定性をどこまで求めるか、で今後の評価も大きく左右するでしょうけれどねぇ。いずれにしても「良くなって」いく変化は歓迎ですね。ヒントインデックス…未だ試す機会が定まっていません、いつになるやら^^;

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teaR URL [2011年08月23日 23時44分] [編集]

本屋に行って買おうかと思いましたけど、意外とお高いですね。掲載されているお店に行けばあるかと思って、めいぶるに行ってきたのですが、置いてなかったです…。くそー。

to2:teaRさん
帰山人 URL [2011年08月24日 22時27分]

掲載店で入手できなかったとは、そりゃ残念でしたなぁ。高価なので店も気が引けたのかな?^^; 岡崎さんのブログ(記事「焙煎機の煙突について」)でも、この本について触れてみえますが、言わんとする批判的な視点には共感できるところ大いにアリ…ヤハリますます推奨できなくなってしまった…高い買物でっせ~

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ねこや URL [2011年08月26日 20時23分] [編集]

中身を見てないのでわからないのですが、
単純に焙煎機写真集だったら楽しいかな~と^^
「おお!こんなマニアックなマシーンがあるのか!」
なんてページを見たら大はしゃぎしそうですw
でも単純に高いから立ち読みどまりです^^;
これを買うなら、あの(どの^^;)DVDが欲しいです!

to:ねこやさん
帰山人 URL [2011年08月26日 23時37分]

え、どのDVD?『コーヒーハウス』とか(韓流)『グリーンホーネット』とか(エスプレッソマシン)…あと『コーヒーの秘密』とか『自立への挑戦-ネパールコーヒー物語-』とかもコーヒーDVDですが…かなり意地ワル^^;; まぁ、じょにぃさんがコメント獲得したProbatoneも1台譲ってもらってください^^;

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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