山は語らない

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2011年05月10日 23時00分]
「また、山においでよ。」――当節の登山ブームに乗じ、さらに山ガール・山オヤジを増殖、
遭難の発生件数を膨らませて山岳遭難救助隊の出動を嵩ませること、蓋然の映画登場。
  gaku.jpg
   
『岳 ‐ガク‐』 観賞後記
 
良し悪しはさておき、原作漫画『岳 みんなの山』が描く風趣とは懸隔した映画である。
公開日の舞台挨拶で主演役者を「撮影が進むにつれ、どんどん山猿になっていって…」
と紹介したらしい。確かに、同じ東宝配給映画の舞台である海を山へ、海上保安庁
機動救難士(潜水士)を長野県警察山岳遭難救助隊へ替えたならば、配役やBGMが
錯雑しても通用できるだろう、当に『海猿』の「山猿」版、娯楽作品として「よく頑張った」。
 
  gaku (1)  gaku (2)
AKU・Black Diamond・C.A.M.P.・Clim BuBu・Five Ten・La Sportiva・
Mammut・Mountain Hardwear・モンベル・simond・The North Face…
多数登場する山ギアに拘泥執着する類の「山屋」が観客であるならば、峻烈や厳格を
粧(よそお)う非難もあろう。だが所詮、「ゴミと命」を山捨て不可と諭す主役が自ら雪上を
走ってシュルントにダイブする映画であって、「物言えば唇寒し山の雪」(?)なのである。
  
  gaku (3)
八方尾根も三つ峠も立山連峰も奥穂高岳も山は人に「生きろ」とも「死ね」とも語らない。
山岳遭難の死に直面するコトを謳いながらも救命意欲が死を遠ざけられるかのような
寝惚けた演出の連発には『劒岳 点の記』ほど虚構の真実味(?)すら感じさせないが、
山の鳥瞰空撮が美しく映像処理されスクリーンいっぱいに拡がる様だけ楽しめばよい。
市毛良枝が好演した女将文子が仕切る谷村山荘、「八ヶ岳野辺山ウルトラマラソン」の
35Kエイドとなっている稲子湯がロケ地であった、膝痛とおしるこを思い出した私である。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2011年05月12日 00時07分]

流石帰山人さん、もう見に行かれたんですね。
自分も気になっていた映画なんですが“当に『海猿』の「山猿」版、娯楽作品として「よく頑張った」。”
と言う事ならまあパスしても良いかなって感じです。

>山の鳥瞰空撮が美しく映像処理されスクリーンいっぱいに拡がる様だけ楽しめばよい。
とは言えこれだけで2000円近くを払えと言うのは「ボンビー」な自分にはかなり厳しいです。

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2011年05月12日 14時32分]

映画評ってのはどの立場で物言うかが難しいです…
『岳』が娯楽作品として「山猿」っていうのは「映画」評です。
「山と聞くとウズウズする」という方には違う意味でオススメ。
とはいえ映画は出しても1000円ですよネ(今回も1000円)。
コロナでよければ割引券差し上げますよ(レイトはママ1000円)。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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