プアオーバーなコーヒー2

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2011 [2011年02月24日 06時00分]
よもや「富士山の日」に合わせて「高い」ことを狙ったわけではないのであろうが、あまりに高いコーヒー「スターバックス リザーブ」(STARBUCKS RESERVE)が2011年2月23日より日本国内でも発売され始めた。USAスタバ本社では昨2010年8月に発表され同年10月より北米地区で先行展開していた新たな最高級(?)ラインのコーヒー豆が、日本市場にも店舗を限定して投入された。
 
 poor-over2.jpg  poor-over2 (1)
発売された4種類の中では、「熟成による驚きの味わい、5年間熟成させたエイジドコーヒー」と謳われている「エイジド スラウェシ カロシ」が興味深い。
 
まず、USA本社Webでの商品紹介では“Giling Basah”と呼ばれる湿式脱殻(wet hulling:日本では「スマトラ式」といわれることが多い)の精製によることが記されているのに比して、スタバ・ジャパンのページでは相対的に「熟成させた」ことを強調している。巷間でも熟成(エージング)という概念を高級化や高品質化とみなしやすい日本独特の意識に依った喧伝と捉えられる。「エイジド スマトラ」に続いてオールド(ビーンズ)コーヒーを推しはじめたスタバに対してカフェ・ド・ランブル関口氏らの苦笑が目に浮かび、笑える。
 
また、「リザーブ」版の「エイジド スラウェシ カロシ」解説によると、この豆は「2005年4月~7月末に収穫され」ていて、「スターバックスが購入する前は1年間、スラウェシで保管・エイジングされ、その後3年間シンガポールにある倉庫にて熟成され」たものであるらしい。ここで別製品とも年次を並べてみる。
 2005年 リザーブ版「エイジド スラウェシ カロシ」となる豆の収穫・保管
 2006年 スターバックスがリザーブ版豆(パストクロップ?)を購入・移動
        同年9月ブラック エプロン エクスクルーシブ版「コピ カンプン
        スラウェシ」を発売
 2009年 リザーブ版豆のシンガポール倉庫での3年熟成完了(?)
        同年7月ブラック エプロン エクスクルーシブ版「スラウェシ
        トラジャ」を発売(「約3年ぶりのコピ カンプン」の証言多数)
 2010年 10月「5年間熟成させたエイジドコーヒー」リザーブ版発売
5年熟成を狙っていたのか疑問が生ずる「何か」が朧見えてくるのは私だけか? リザーブ版スラウェシの香味にではなく、商売の姿勢と手法が興味深いのだ。
 
 Poor-Over Clover
「スターバックス リザーブ」発売に連動し、“Clover”(クローバー)がスタバの(一部の)店舗に導入されたことも興味深い。フレンチプレスを逆転させた様な吸引(減圧)によるコーヒー抽出機を発明したZander Nosler氏らは、2004年‘Coffee Equipment Company’を設立し、‘Third Wave’(サードウェイブ)といわれる新興のコーヒー店らにも着目され一部でこの抽出方法の導入が進んでいた。しかし、一杯取りの抽出機としては高価(当時約US$8,000:現在約US$11,000)であり普及に難渋していたところ、2008年にスタバに完全吸収された、これが“Clover”(クローバー)である。このコーヒー機器が突然とスタバに独占されたことに、サードウェイブ陣営の反発は大きく、この一件が‘Pour-Over’(プアオーバー)にハンドドリップ抽出を主軸とさせたともいわれている。「第3世代」を「大惨世代」にしかねない‘Poor-Over’(プアオーバー?)な曰く付きの“Clover”、機能より存在が興味深いのである。
 
 
Exotic(エキゾチック)・Rare(希少性)・Exquisite(特有性)を謳う「リザーブ」、“Clover”で抽出したカップを飲んでみるとCommon(凡庸)かつSloppy(味薄)で‘Poor-Over’(プアオーバー?)なコーヒーだとしたならば?…悪夢であろう。
 
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コメント

No title
y_tambe URL [2011年02月27日 20時20分]

昨日、京都三条のスタバまで飲みにいってきました。飲んだのは、4種類のうち深めの2種類だけ(エイジド スラウェシ カロシとエルサルバドル モンテカルロス エステート パカマラ)でした。一つは浅め(ブラジル スール デ ミナス ピーベリーかニカラグア コルカサン)にしとけばよかったと、後で思った。全体的にはピーベリーがよく売れていたようです。

で、カロシとパカマラですが、どちらもまぁ「個性が判りやすい豆」に仕上げてありました。抽出法も相まってか、そんなに悪くはなかったですよ。カロシなんかはいかにも「枯れた」香味が出てたし、昔ながら自家焙煎店で出てきても、あの味で、マグで650円なら、まぁ許容範囲かなぁ、と。一言で言えば「上手く淹れたサイフォン」という感じが近かったです。Cloverの温度コントロールの自由度はサイフォンよりも高そうなので、潜在的には面白い抽出器具かもしれません。

今回2つ飲んだ感想から言えば、リザーブのレベルは「昔の日本の、自家焙煎店でそこそこのレベルのところ」くらいには位置づけられるかなぁ、という感じ。決して最高レベルと言うわけではない。けど、スタバが本気になれば、「熟練してない人たちでも」このレベルのコーヒーを提供できるという点が、なかなかすごいんじゃないかな、と思います。従来の自家焙煎店が好きな「日本版ロマンスカップ派」に対して、このエイジドカロッシがどの程度アピールできるかは興味深いところかも。

ただまぁ、Clover抽出のコーヒーは非常に小さな微粒子が混じり(飲んだ後にカップの底を薄く流れる程度の量とは言え)、液体全体も濁った感がある。「琥珀色の透んだ液体」とは違うものなので、同じような「オールド」の味を評価するとはいえ、関口氏あたりがどう評するかは今からでも何となく予想できるような気が… ^^;

to:y_tambeさん
帰山人 URL [2011年02月27日 22時54分]

おぉ、RESERVEとCloverのインプレッションを頂戴するに最良の方からこの早さ!ありがとうございます。
なるほど豆にしても器具にしても‘poor’ではなかったようですね。実はCloverについてはスタバ接収以前にSCAJ展示会かなんかで私自身試飲しているハズなのですが、記憶も印象も曖昧で…(笑)。リザーブもろとも飲みもしないで批難がましいことを書き連ね続けるに、いささか気が引けてはいたところです(むろん批判の対象はスタバ経営の姿勢と内容であって豆自体や器具自体に歯向くつもりは無いのですがね)。こうして冷静客観の評を頂戴できるのは本当にありがたい^^/ そして私も改めて飲んでみたくなりました。
 
>リザーブのレベルは「昔の日本の、自家焙煎店でそこそこのレベルのところ」くらいには…
ほほぅ、この点も興味深い。もっとも「そこそこ」をややヘタクソ込みの平均以上くらいに捉えると、初期(日本では再上陸当初)のスタバ豆はレギュラーラインでもイイ線いってたモノがあったと認識しているので、全体が低落した上でリザーブだけマトモでも困るんですがね。逆を言えば、カップ売りの単価はともあれチェーン店の豆売りで100g千円以上ならばそれなりの味じゃなけりゃ、ってことになるワケで…単店でもマズくて高い豆を売る自家焙煎店とどっちが罪か?…迷うなぁ(笑)
 
>Clover抽出のコーヒーは…「琥珀色の透んだ液体」とは違うものなので…
これはまぁ抽出の原理と機構からみてもいたし方無いですよねぇ。ここはオールド云々ではなくても「ネルじゃない」っていう時点で「日本版ロマンスカップ派」の反発は必至かと…^^; いずれにしてもCloverが「使える」抽出器具ならばそれはそれで好いのですが、ならばスタバの横取り独占は尚許すまじって私は思ってしまう。それともステンレスメッシュで漉す新型「アポロくん」をフレーバーの中川さんに作ってもらえませんかね(笑)

No title
cocucoffee URL [2011年03月01日 18時55分]

スラウェシ カロシ、スラウェシ トラジャ、コピ カンプン スラウェシとかややこしいコーヒーの名称って統一できないんですかね?
農園でも農協でも組合でもいいので表示の基準を決めて、名前の前後につくカタカナの意味不明(一応意味はあるんでしょうが)の文字たちを消し去ってもらいたいものです。
僕にはあのカタカナ達が付加価値をつけるためだけにあるように思えてならないのですし、自分自身がごちゃごちゃ書かれてもよくわからないんです(笑)
とはいえ、初期のスタバの豆を知らない僕とってリザーブは興味深いので一度試してみようとは思います。

to:cocucoffeeさん
帰山人 URL [2011年03月02日 12時18分]

>農園でも農協でも組合でもいいので表示の基準を決めて…
名称基準の統一化は難しいでしょうねぇ。コトは生産者側に起因しているワケではないので…同じ農園で採れたタンザニアでも年毎に扱う輸入商社で違う名乗り、ブラジル・サントスNo.1=再選別で欠点豆を減らしてNo.2以下の生豆をNo.1と称する、ブルーマウンテンNo.1使用=ブルマンの中にブルマンNo.1を僅かに入れて称する…なんていう場合を見ると流通段階での問題が多いしぃ~。もっとも農園名を冠にしていたスペシャルティが農園主名に変わるケースでは「名が上がって足りない分は近くの農園分も一緒に…」っていう生産監修(?)バージョンもあるみたいですが…(笑って好いのかな?)。
ま、頂戴できるモノを可能な限り自分で見極めて判別する、これしか対処する方法は無いと思っています。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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