フレンチプレスの受難

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2011 [2011年02月11日 06時00分]
俗に‘French press’(フレンチプレス)と呼ばれるコーヒーの抽出器具(または抽出方法)、「粉状コーヒーを湯に浸漬させ網状の板で漉す」だけの極めて単純な器具(手法)である。19世紀後半にフランスで発明されたと説かれることも多いが、その発端は特定できず謎。他にプレスポット、コーヒープレス、カフェプレス、コーヒープランジャー、カフェティエール、メリオール、ボナポットなど様々に呼称されるほどに世界各地に普及しているものの、紅茶の抽出に転用されるわ、一国を代表するほどの普及地位は何処でも得られないわ、「スペシャルティコーヒー用の器具」とか「スターバックスが発明した」とか甚だしい誤認まで聞かされるわ、あげく「スペシャルティコーヒー向き」と脚光を浴びても「プアオーバー」に追われて相対的に霞み始めるわ…その簡明な原理ゆえか「不遇」「受難」の抽出器具である。
 
 フレンチプレス受難 
そして昨2010年末に刊行された『珈琲のすべて』(枻(えい)出版社:第一版第一刷)に、また新たな「フレンチプレスの受難」ともいえる、コーヒー界に衝撃を与える事象を発見!
 
 フレンチプレス受難 (1) 
まず、知る人ぞ知る巨匠関口一郎氏のカフェ・ド・ランブルの代表的な抽出法は?…フレンチプレスだった!(前掲書p.31)
否、当該の箇所にある写真と解説はまさに老舗ランブルのネルドリップであること、間違いないハズなのであるが、ショルダーキャッチは「フレンチプレスのココに注意!」だ。待て、齢を重ねて尚研究に余念の無い関口氏のこと、近来の流行も進取して、ついにネルドリップをフレンチプレスと呼ぶことにしたのであろうか、さすが巨匠侮り難し。だが他方、その名だけを盗られた側に立ってみれば「フレンチプレスの受難」といえよう。
 
 フレンチプレス受難 (2)
次に、知る人ぞ知るボダム社のフレンチプレスCOLUMBIA(コロンビア)の容量は?…実用容量1ミリリットルだった!(前掲書p.46)
否、当該の箇所にある写真と解説はまさにボダムのフラッグシップモデルであること、間違いないハズなのであるが、「実用度は高い」と直前に解説された容量は「1ml」だ! 待て、鏡面仕上げの18-8ステンレスで魔法瓶効果を狙った2重構造に成型した美しいデザインのコンセプトは「雫」、なるほど実用容量も「雫」程度か、さすがボダム侮り難し。だが他方、世界最少のコーヒー器具を使う身になればこれも「フレンチプレスの受難」だ。
 
このフレンチプレスに絡んだ仰天驚倒の事象発見、いずれも『珈琲のすべて』にて「これでカンペキ!」と章題が付されたページ内にあるので完璧であると信じたいが、どこに注意して抽出してもどれだけ高い抽出器具でも豆がダメならば「でもサイアク!」。時代の流行で取り上げられたからこそ信じ難い事象となった「フレンチプレスの受難」か?
 
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コメント

No title
しんろく URL [2011年02月11日 22時55分] [編集]

誤植って怖いですね
私も、職場のポップやプライスカードでよくやってしまってましたが、代表作は…
写真は「にしんうどん」で
キャッチが「極上近江牛を使った贅沢なうどんです。」

to:しんろくさん
帰山人 URL [2011年02月11日 23時14分]

ぶぶっ!そんなマジで受けとめられたら気が咎めるヨ、しんろくさん^^;;
ま、写真で鰊と牛肉を見間違えることはないだろうからナントカなる…
たぶん間違えない…と思うけど…やっぱり誤植って怖いですな^^;
それにしてもメッキリ「おいでやす」の人ですねぇ。
職場ブログの次々の挑戦、楽しみです、が、根を詰めすぎぬよう^^/

No title
ナカガワ URL [2011年02月12日 02時03分]

最近ある事情でプレスでコーヒーを飲むことがあります。なんだおいしいじゃないか。プレスしてすぐと、4、5分たって飲み干すとき、その後、空のカップに2杯目を注ぐとまたずいぶん味が変化して、ワインの変化を楽しむような雰囲気が楽しめます。抽出としては職人の技が入り込む余地が少ないのですが、プアオーバーより変化が顕著な焙煎度もありそうですし。先日外国の寿司屋でカキフライの軍艦をいただきました----おいしいと感じてしまった。さっきはマイアミ・バーガーもおいしく----。すっかり進行性味覚音痴です。

No title
珈子 URL [2011年02月12日 10時27分] [編集]

お久しぶりです。
今年もよろしくお願いします。

コーヒーのことを、まだよく知らなかったころは疑問の持ちようも無かったのですが・・・。
どう見てもこの豆は説明文の豆と違うということが分かるようになりました。
明らかに・・です。
雑誌って結構いい加減なものもあるんだな~と初めて思いました。
「本」(雑誌ながらコーヒーの専門雑誌なので)に対する純情な気持ちを踏みにじらないでほしいな~と裏切られた気分でした。知らない人は鵜呑みにしちゃいますよね。

No title
浅野嘉之 URL [2011年02月12日 11時10分]

実用容量1ミリリットルのフレンチプレス
それが現実なら芸術品ですね
しかし何故にスペシャルティコーヒーには
フレンチプレスなのだろう
この飛躍した考えが僕には理解できないのですが
帰山人さん教えてください

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2011年02月12日 15時07分]

せっかく進行性味覚音痴になったならば、マッシュポテトを挟んだ限定バーガー程度じゃダメです。まずマッシュポテトを大量に積んでください。次にデビルスタワーに成形してください。しばらくすると円盤バンズが現れるので全部挟んで食べきってください…「第3種接近バーガー」味覚は音痴ですが交信する音程は外せません!

to:珈子さん
帰山人 URL [2011年02月12日 15時45分]

コーヒーの本や雑誌は「いい加減なものだらけだ、いやむしろいい加減なものしかない、と言っていい!」(笑)
どうしてこうなるのか原因や事情は色々あるのでしょうが、「コーヒーは嗜好品なので語る方の想念で語って良い」みたいな前提があるのでしょうねぇ。嗜好だけど無思考…(笑)もっと本質的にいえば、本や雑誌の表現に気を遣うほど、コーヒーそのものがシッカリしたものじゃ無いっていう哀しい実態がありますから。コマーシャルベースのコーヒー豆では、国境を渡り積み晒しにされ混ぜられることが常套です。えっ?業界関係者はそんなこと言わないって?相撲協会は「八百長は無い」って言ってきたでしょ。残念ですがそういうことです。

to:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2011年02月12日 16時09分]

>何故にスペシャルティコーヒーにはフレンチプレスなのだろう
まぁ、スペシャルティをスペシャルティとして区分し付加価値をつけるためのカップテストはSteeping(スティーピング)でやるからでしょうね。つまりそれを網で漉しただけのFrench press(フレンチプレス)がもっとも香味特性が際立つって理屈によるものじゃないかと…。
でも本当は、結果として「その豆がもっともオイシイ」焙煎よりも「その豆が他の豆とは違うとわかりやすい」チョット浅めの焙煎にするから、だと思っています。それって均一にムラなく焼き上げるのに最も難しい焙煎度なので、良くも悪くも成分丸出し全部出しの抽出法が、焙煎技量が劣っていることをバラシ難いって寸法。舌バカ技バカの多い国が主導しているから諦めるしかありませんが…
http://www.flavorcoffee.co.jp/7f/7f-moji.html
↑ここで中川さんが言ってることはかなり参考になると思います。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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