悲しき賀詞

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2011 [2011年02月10日 06時00分]
家族から「郵便受けの奥で発見、実際いつ届いたのかはわからない」と渡された国際郵便。
2011年も2月となり「今年は島野さんから年賀の封状が来ないのかなぁ」と思っていたが、
当方の粗忽を仮にも先方の休怠と疑った自分を恥じ、早速に開封すればやはり新年の祝詞。
 島野氏2011賀詞
 
 島野俊弥
  北海道大学農学部畜産学科卒。1958年にブラジルに渡り製薬会社で家畜用医薬品の
  販売に従事、1966年に家畜用医薬品の製造販売会社FATEC社を設立。1986年に
  セラード地帯のミナスジェライス州北東部トルマリーナ郡でコーヒー農園を開設して、
  点滴灌漑農法とパルプドナチュラル精製の導入を特色とする「トルマリン農場」を経営。
 
島野俊弥氏を農場主とするトルマリンコーヒーに関しては、日本国内における販売業務法人
「トルマリン・コーヒー・ジャパン」が「日本エステート・コーヒー」時代より長らくごく偶さかに
生豆を入手しては味わってきた。「トルマリン鉱脈の上にある農場で栽培したコーヒーなので
磁気共鳴波動が…」などという胡乱(うろん)な文句を声高に謳っていた時期には訝しいとも
思っていたが、セラード域から産する生豆の中では総じて味質と価格が良好に安定しており、
コーヒー生豆自体への評価は悪くないから使い続けてきたのであって、他に理由など不要だ。
 
棲星の裏側から届けられた年賀の封状とは別に、「トルマリン・コーヒー・ジャパン」からも
毎度の案内郵便が来たのでこちらも開封すると…なんと「生豆商品販売終了のお詫び」だ!
 
  …昨年、農場主の島野俊弥が、胃を患い手術を受けました。…島野が病気により一線
  から退くこととなり、FATEC社では後継者への承継が行われました。その後、昨今の
  世界的不況の影響下では農業事業の継続が困難であるとの判断から、断腸の思いで
  農場の売却が決定されるに至りました。…従いまして日本での販売も、本年度末頃
  までの国内在庫が無くなった段階で終了せざるを得ない状況です。…
 トルマリン・コーヒー・ジャパン案内
 
これは何とも残念な通知であり、島野氏や関係者の無念、口惜しいこと至極であろう。
余計で面妖胡散な喧伝を嫌うことに私の翻意は無いが、多国籍企業や大手商社が暗躍して
荒らしまくり揺さぶり続けるセラード開発の中で、島野氏のような「個にして直の」コーヒー
農園主が心ならずも失われること寂しい限りだ。名残惜しさを感じながら賀詞を読み返した。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2011年02月11日 14時10分]

コーヒーに限らず色々な業種で「真面目で心ある企業(経営者)」が少なくなって来て居る気がします。
企業利益のためなら原産地(下請け)や消費者を泣かす(騙す)事もいとわない巨大企業が幅を利かす現状・・・
嫌な世の中ですね(_ _|||)

せめて「良心」ある企業(経営者)を応援していければいいのですが・・・

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2011年02月11日 16時29分]

まあ、コーヒーに限らず色々な業種でも、巨大企業の全てが「悪」で、個人経営の全てが「善」とも言い切れないのですがね。
ただ、ことセラード地帯の開発に関していえば、1970年代に当時のブラジル政府と日本政府(田中角栄内閣)の画策により謂わばブラジル版「日本列島改造計画」によって一大開発事業がスタートした、という事実があります。結果として利権渦巻く開発に日本の大企業も関わっていったのです。「食い物」を作るための大地を、まさに「食い物」にしている奴等がいること、こういう事実はほとんど世に知らされないまま、歳月は過ぎていくのであります。

No title
ナカガワ URL [2011年02月12日 01時50分]

ブラジルであれば、もはや日本に持ってこなくても高く売れるということもあるかもしれませんね。地産地消するようになったのかもしれません。コスタリカは、昨年だかコーヒー生豆輸入を自由化?したのかしら、メキシコ、グアテマラあたりから大分輸入したようです。足りないらしいです。バリスタ選手権にコロンビアは大変な予算をお使いになるようですし。さきほどテレビをつけたら、日本人がパリ郊外で日本の農業食材を栽培しているという。青いパパイヤは輸入ができるようになり、コリヤンダーは静岡あたりでバンバン栽培しているようですし。そのうちボルドーのコシヒカリとかいうことになりそう。ご飯を練りこんだパンを家庭で焼く、とかいう記事も。おバカな頭には付いていけません。ちょい貧国日本が、これからもまだコーヒーを輸入するメリットは維持されるのでしょうか。生産国からシャンパンボトルに詰まったコーヒー豆を輸入する時代も----。新しいコーヒームックはそんなところまで先を読んだものになるかも----白いワニがあ。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2011年02月12日 14時51分]

>生産国からシャンパンボトルに詰まったコーヒー豆を輸入する…
あーダメダメ、環境大国だかを目指す国にはバイオコーン原料の生分解性ペットボトルにウチの畑で採れたコーヒー豆を生焼け焙煎して詰めて送っておけ!何ィ?生豆で欲しいって奴がいるって?あーどうせまた枯らしてから使うんだろ?なら、3年前に国境の向こうから安く売りに来た豆があっただろ、アレ店の名前をプリントした専用麻袋に詰めて送っておけ!いいんだよ、ウチの畑にゃ認証がついてるから信じ切ってるし、バレりゃしねぇよ。何ィ?八百長じゃねぇよ、無気力生産って言えよ!
…かくして今後もちょい貧国でコーヒー輸入は続けられるのです(笑)

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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