マッチはカジの元

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:回顧編 [2011年01月23日 05時30分]
先日帰省の折、実家に置いてあった私物の整理を促された。私が学生だった頃に集まったマッチ(燐寸)20箱程度である。そんなものがあること自体忘れていた。居合わせた我が子の「どうしてこんなにマッチがあるの?」という反応に私が驚く。喫茶店・飲食店に行く毎にマッチが増えていく…無論の当然が昔日となっていた。自宅に戻って半ば埃をかぶった帽子入れを取り出し、久しぶりに蓋を開けてみた。

 珈琲店燐寸
 
そこには、甘酸っぱい感傷とせつない追懐が、無数のマッチの姿で詰まっている。ここ20年より以前に入手したものばかり、特にコレクターでもなかったのだが。店名だけ聞いてどこのどのような店か思い出せなくても、マッチラベル(燐票)を目にした途端に店の様子や感じた味、抱いた印象まで思い起こすから不思議だ。
  
 珈琲店燐寸 (1)
 
「あの香味がもう味わえないのは残念」、「マスターも意気盛んひたむきだったな」、今は無きコーヒー店には懐旧の情を、今も有るコーヒー店にも時の流れを、思う。コーヒー(に限らず飲食店で)は、当時の商品自体を残しても飲用(食用)に適わぬ、そう考えるとマッチラベルには写真や訪店メモとも異なる想起の力があるようだ。あの当時はマッチが店を体現するモノなどとは深く思っていない、心情の身勝手。
 
 珈琲店燐寸 (2)
 珈琲店燐寸 (3)
 
「マッチ一本、火事の元」なる俗な標語が世間の用に供したことも今は昔となった。だが無粋な100円ライターなんぞにその座をあけわたす前、また醜悪なる嫌煙の時流が来たる前には、マッチ一本でも、そしてマッチラベルも、タバコは勿論にコーヒーにもマッチして「マッチ一本、味(あじ)の元」であり「香時(かじ)の元」だった。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2011年01月23日 23時30分]

いや~懐かしい「マッチ(燐寸)」ですか・・・・
そう言えばすっかりその存在自体を忘れてました。

確かに利便性のみを求めた100円ライターに取って代わられたマッチですが今見ると「味」が有りますね。


何か「燐寸」が世の中を象徴したモノに感じられるのは自分だけでしょうか・・・
(今の世の中全体が「不便」を楽しめなくなったと言うか・・・)

to:ちんきーさん
帰山人 URL [2011年01月24日 00時19分]

商品以外で店の外に持ち出せて、店の「匂い」や「味」を感じられるモノ、
かつてはそれがマッチだったワケですね。そう、一概に「不便」でも無い、
と私は思っています。嗜好性を示しきれないWeb情報などの方が、
実際はよほど不便なのかもしれません。それに気がつかない世が怖い~

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/309-fef57182
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin