止まらず奇なり

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2011年01月13日 06時30分]
2001年5月15日12時35分(DST)頃、USAオハイオ州トレド近郊のスタンリー操作場で
事件は発生。CSXT社所有のディーゼル機関車CSX8888(EMD製6軸ロードスイッチャー
SD40-2型)と毒性・爆発性のある液状フェノールなどを積載した47両の貨車で構成された
列車が無人のまま動き始めた。ブレーキが焼き切れて加速を続ける列車を止めるために、
人員乗り込みによる停車、可搬式脱線器による意図的脱線、射撃による燃料供給停止など
を試みたが、いずれも失敗した。暴走する列車の前方で別の貨物列車に乗務していた2人、
28年のベテランJesse Knowlton機関士と経験1年に満たない新米Terry Forson車掌は、
貨車を切り離してCSX8392(EMD SD40-2型)機関車を待避線から本線に進入させ、
暴走列車に追いつかせて最後尾に連結、ダイナミックブレーキをかけて列車を減速させた。
勤続31年のJon Hosfeld列車長が先回りして減速した列車に乗り込み、14時30分頃停車。
最高時速82㎞で約100㎞を約2時間暴走した鉄道事故‘The CSX 8888 incident’は、
別名「クレイジーエイツ事件」(the “Crazy Eights” incident)と呼ばれる前代未聞の実話。
 locomotive #8888  locomotive #8888 2
 
監督と主演俳優が同じ組み合わせで2作連続「列車もの」映画に挑むという暴走(?)、
前作『サブウェイ123 激突』(The Taking of Pelham 1 2 3)の興行成績低迷により
資金調達が困難となり予算はカットされるわ役者は拗ねるわ製作中止が懸念され、
「止まらない」実話をベースにしたハズが「止まりそう」だったワケあり映画が出発。
 停止不可
 
『アンストッパブル』(Unstoppable) 観賞後記
 
作りこみや仕立てが酷く悪いわけではないのにナゼだろうか少しツマラナイ映画の例が
『サブウェイ123 激突』(2009年劇場観賞していたが、1974年版『サブウェイ・
パニック』と比較雑考しているうちに書き起こす気が失せて観賞後記無し)だとすれば、
特に唸るような仕立てがあるわけではないのにナゼだろうか凄くタマラナイ映画の例が
『アンストッパブル』である。
 
列車であれ飛行機であれ船であれ、人体よりも遥かに大きな乗り物が舞台となり、特に
それが映画のスクリーンで動いているサマに興奮をおぼえる者は私だけではないだろう。
だからこそ、乗り物を舞台にしてそこへ凝った展開と演出をかぶせようとするワケで、
(成功か否かは別として)『暴走機関車』(1985年黒澤明原案)をはじめ今まで数多の
「暴走列車もの」などが作り続けられてきたのだろう。
ところが『アンストッパブル』は違う。おそらく監督や演者の意図さえ超えて、関わる
人間ドラマの薄っぺらさがほどよく控えめに心地好く感じられるほど、主人公は暴走列車
そのもの。裏を仕掛ける余地もない単純な展開、視覚効果はチープ、それなのに「映画」!
「乗り物暴走もの」として『スピード』(1994年)との類似性を挙げた評もあったが、
どちらかといえば(乗り物ではないが)『ジョーズ』(1975年)に近い、と私は思う。
 
「事実は小説より奇なり」であるから『アンストッパブル』も映画は事実ほど奇にあらず?、
それでも『映画』として存在する価値が充分にある変わった珍しい佳作となっている。
カネばかりをかけたトロ臭い3D作品には「ストッパブル」でも、偶然も奇なり久しぶりに
本物の『映画』に逢う楽しみを感じさせてくれた本作、この愉悦は「アンストッパブル」だ。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2011年01月13日 23時52分]

>『ジョーズ』(1975年)に近い、と私は思う。
この表現でこの映画がどんな感じか解った様な気がします。

つまり「映画館で見るべき映画」と言う事ですね。
多分TVで見た場合面白さ(迫力)が半減する可能性が高い、と・・・
(やっぱり「映画は映画館で」と言うのが基本ですか)

映画は嫌いじゃあないんですが「でぶ精」なもので(^^;)
でもTVで放映した時はチェックしたいと思います。
(何時になることやら・・・)








to:ちんきーさん
帰山人 URL [2011年01月14日 14時56分]

>つまり「映画館で見るべき映画」と言う事ですね。
それはその通り。辛くいえば「映画館で観た時だけ『映画』」。
但し、『ジョーズ』をひき合いに出したのは、人間ドラマを
吹き飛ばして、主人公=非人間になっていること、そこの
作りこみが雑であるのに、不思議な迫力に満ちていること、
という共通点を感じたからです。B級映像なのにA級作品?

この記事にコメントする

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://kisanjin.blog73.fc2.com/tb.php/308-7591c875
編集

kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Powered by / © Copyright 帰山人の珈琲漫考 all rights reserved. / Template by IkemenHaizin