爽に非ず、属に非ず

ジャンル:学問・文化・芸術 / テーマ:展示会、イベントの情報 / カテゴリ:観の記:美面 [2011年01月03日 23時00分]
愚癡の法然房源空(1133年5月13日-1212年2月29日:ユリウス暦)の800回忌、
愚禿の善信房綽空(1173年5月14日-1263年1月9日:ユリウス暦)の750回忌、
今2011年を盛りに昨2010年より来2012年まで、僧2人の遠忌催事が続く。
善信房綽空の人生をたどる展覧会が名古屋に巡回、初詣代わり(?)に覘いてみた。
 藤井善信  藤井善信 (1)  藤井善信 (2)
 
『親鸞展』 小説「親鸞」連載記念 親鸞聖人750回忌記念企画
 (主催:中日新聞社 会場:ジェイアール名古屋タカシマヤ 10階特設会場)
 
「八百年の時を超えて辿る、親鸞の世界。今を生きるためのヒントがここに。」
と触れ込まれても、仏神に不信心で穢身のままに生きる私には「ヒントはどこ?」(笑)。
 
「人間・親鸞の魅力をお届けします」というが、例えば彼の愛欲や義絶の苦悩を
徹底して掘り下げる解釈などあるはずもなく、やはり「聖人・親鸞」を前提にした
行儀のよい視座での説明ばかり。ニンゲン臭さを訴えるわりにニンゲン離れした
ヒーローぶりを際立たせていて、面白味や意外性のある展示解説は皆無だった。
 
展示物の絵図や文面は複製が多く迫力に欠けるし、展示解説よりも記念物販に
重きを感じるいかにも俗っぽい百貨店催事の『親鸞展』、あまり質は良くない。
新聞朝刊小説の連載再開に連動する巡回も、態(わざ)とがましくもイヤラシイ。
これは「非僧非俗」というよりも「悲愴卑俗」の間違いじゃないのか?と観終えた。
 
日本中世史の鎌倉新仏教(という表現が適切か否かは別として)を、顕密体制から
除外されて権門勢力には遠く及ばない遁世異端の存在としか捉えない私の史観。
善信房綽空を後に曾孫が始めた教団形成上のいわば「仮想の宗祖」と観る者には、
その宗教者個人の人生をたどり尋ねて評する資格がもとよりないのだろうか?
 
爽やかとも思えず、宗派教団に属したいとも思えず、「爽に非ず、属に非ず」だ。
「親鸞がそこに、いる――。」といわれても、未だ「どこにいるのか」は見えない。
それでも、法然房源空や善信房綽空の遺徳をまた追ってみたい、とは考えている。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
浅野嘉之 URL [2011年01月05日 11時25分]

親鸞は実は踊りが好きでお立ち台で扇子ふってました
なんて“とんでも話”があれば「おお~」ですかねぇ
ナカガワさんより私のブログにコメントいただきました
新年そうそう嬉しい便りです
ありがとうございました

to:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2011年01月05日 12時41分]

弟子の唯円が「念仏申しさふらへども、踊躍歓喜の心、疎かにさふらふこと」を問うと、親鸞は「天に踊り地に躍るほどに、喜ぶべきことを喜ばぬにて、いよいよ往生は一定と思いたまふべきなり。喜ぶべき心を抑えて、喜ばせざるは煩悩の所為なり」と答えたそうで…(歎異抄)。
話の中身で気を楽にしたかったのかもしれませんが、こんなクソ真面目な連中にお立ち台で扇子は振れなさそうです(笑)。

No title
しんろく URL [2011年01月05日 20時50分] [編集]

うちには、タダチケ(招待券)がきてました。

いやいや、当時のことを思えば「僧侶が妻帯」というのは「お立ち台で扇子」なんて足元にも及ばないトンデモな行いなんですが

to:しんろくさん
帰山人 URL [2011年01月06日 14時56分]

あ~、ホンモノの真宗ご住職に(予見通り?)コメントをいただきまして恐れ入ります。
>当時のことを思えば「僧侶が妻帯」というのは…トンデモな行い…
親鸞が妻帯したのもスゴイけれど、結婚し(晩年別居でも)添い遂げた
恵信の覚悟と根性(?)はハンパなかっただろうな、と改めて思いながら
『親鸞展』を観ていました。 官僧の時に縁を定めたならば女の側も掟破りのトンデモ、 或いは僧籍を失い非僧非俗になった時に縁定したならば、これまたトンデモなスゴイ人生選択です。
摂取不捨、縁定として夫の「逃ぐるを追はへとるなり」だったりして(笑)…

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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