意表くさぐさJCS集会・前編

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年11月29日 23時00分]
2010年11月27日
  
【学会への長い道(1)~異漂かたがた】
 JCS2010年次集会 JCS2010年次集会 (1) FOODin風土
品川駅のセガフレード・ザネッティに寄り(コレットにしたいが我慢したて)メッツォメッツォでカプレーゼのパニーニを胃に流し込み、さくら坂を足早にガンガン歩き上って会場へ。「大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 農業が環境を破壊するとき-ユーラシア農耕史と環境プロジェクト」と「財団法人味の素食の文化センター」との共催、国立科学博物館企画展「あしたのごはんのために-田んぼからみえる遺伝的多様性-」関連催事の公開シンポジウムに参加。私の目的は「コーヒーを語るに他の栽培食物を学べ」。
 
「FOOD in 風土 米と魚vs麦と乳(ミルク)」 (於:味の素グループ高輪研修センター)
 
基調講演(第一部)は、「嗜好品文化研究会」代表幹事でコーヒーの研究者・業界人とも親交の深い高田公理氏の話。今般テーマに沿って、和辻「風土論」を粗雑と否定し梅棹「文明生態史観」を土台に食品の東西比較を無難に語られた。久しぶりの「高田節」拝聴。
 JCS2010年次集会 (3) JCS2010年次集会 (2)
館内食文化展示室企画展示の「錦絵に見るパロディーと食」を楽しみながらの休憩後、「麦と乳-西の風土にみる牧畜と食文化」パネルディスカッション(第二部)は、辻本壽氏(植物遺伝学:コムギ)・小長谷有紀氏(文化地理学:乳製品)・山本紀夫氏(民族植物学:ジャガイモ)・飯野久和氏(応用微生物学:醗酵食品)パネリスト4名に佐藤洋一郎氏(地球研Pjリーダー)コーディネーターという構成。辻本氏の「1人当りの穀物供給量は2010年で最大値、世界人口の増加が穀物生産の増加を上回り今後は減っていく」という発言は、本筋からは離れるが世界の「コーヒー栽培」動向に影響ある話題として考えさせられる。山本氏の「アイルランドを中心にヨーロッパを震撼させたジャガイモ飢饉(1845-1849年)は単一品種Lamper栽培が原因であった」という発言は、本筋からは離れるが世界のコーヒー栽培品種に関して商業的付加価値よりも遺伝的多様性による生産安定化に目を向け直す話題として考えさせる。異なる分野の学究を覗き見て漂う遊びも、捉えようでは有益であろう、と異漂の意表に遊んだ。
 
【余考】「ジャガイモとコーヒー」
ヨーロッパに伝播したジャガイモを追いかける様に新大陸から伝来したジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)は、大飢饉を要因とするヨーロッパ各国の経済の混乱を招いた。大飢饉中の1847年、コーヒー消費需要の急減によりコーヒー相場は急落、この為に各植民地でのコーヒー栽培が荒廃に瀕している。その後、栽培放棄や反動的な増産で安定的な調整がとれないコーヒー栽培地を、その原産大陸から追いかける様にコーヒーさび病菌(Hemileia vastatrix)が伝来し壊滅的打撃を与えていったのである。共に世界的な栽培拡大が、追いかけてきた伝染病大流行で大きな危機に瀕した19世紀後半のジャガイモとコーヒー、前者が後者の壊滅に拍車をかけたという相関は何とも皮肉な構図である。また、Harry Marshall Ward(ハリー・マーシャル・ウォード)は、先進の植物疫病学者Heinrich Anton de Bary(ハインリヒ・アントン・ド・バリー)に学んでいる。アントン・ド・バリーはジャガイモ疫病菌を、マーシャル・ウォードはコーヒーさび病菌を特定したのだが、各々の伝染病の原因を突き止め、モノカルチャー栽培の回避を唱えたにも関わらず、周囲の理解無く対策が遅れる状況を師弟共に味わう。植物伝染病の経済背景と病害研究、そのいずれもに深く悲劇的な相関がある19世紀後半のジャガイモ栽培とコーヒー栽培、残念ながらこうした視点での論考は少ない。
 
【学会への長い道(2)~胃評かたがた】
 JCS2010年次集会 (4) JCS2010年次集会 (5) JCS2010年次集会 (6)
シンポジウム後に表参道へ向い、大坊珈琲店で一服した後、徒歩2分で日本国内2号店となるCACAO SAMPAKA(カカオサンパカ)南青山店(開店当日)へ。店ガラガラで大丈夫か? Xocolate Espeso Caliente(ショコラ・ショー)のコルテス80%を飲んでみる…カイエンペッパーとオールスパイスも入った味は悪くはないが、攪拌作り置きのタイプだからかカカオ本来の香りが期待ほど出ていない。Rajoles(板チョコ)のパプアニューギニア71%の品種を訊ねると味の特徴を、ベネズエラ71%の産地詳細を訊ねても味の特徴を答え、暖房の効いた環境に滞在する予定を告げたが「大丈夫」一点張りで購入を勧める店員。品種・産地・保存に説明ができない? サンパカならぬ3馬鹿に落胆苦笑で店を出た。
 
その後、妹夫婦と一慶隠蔵(上野店)で合流し会談夕食。私にとっては珍しい九州料理と焼酎を味わう。どれもマズマズだが、鹿児島芋焼酎「薩摩おごじょ」(鹿児島・山元酒造)はしっかりと味がある上にフルーティでウマイ(もっとも義弟がオーダーしたモノだが)!
 
会食を終えて独りホテルの部屋で酔いを醒ましていると、義弟調達土産のむぎわらぼうしのサンドイッチをどうしても食べたくなり、一口かぶりつく…ウ、ウマイ! パンが旨い、ハムが旨い、全部旨い…完食。期待外れも期待通りも、勝手な胃評の意表に遊んだ。
 
 (後編に続く)
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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