ひと味違う?

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年11月04日 05時00分]
‘Top 10 Most Expensive Coffees In The World For Your Cups’
(The Odd Pics)を引用した拙劣にして迷惑なコーヒー関連記事を発見した。
「いつものコーヒーとはひと味違うかもしれない、世界の高級コーヒーの値段トップ10」
 (GIGAZINE 2010年11月2日)
 Yauco-Selecto-AA-Coffee.jpg

ジャマイカのブルーマウンテン(6位)やハワイのコナ(8位)などの旧来ブランド品群、
パナマのエスメラルダ(2位)やグァテマラのインヘルト(4位)やブラジルのサンタイネス(5位)
やエルサルバドルのロス・プラネス(7位)などのコンテスト入賞品群、
ルワンダのガタレ/カレンゲラ(9位)やプエルトリコのヤウコ・セレクト(10位)などの
USAの政治的恣意によるブランド化品群、
インドネシアのルアク(1位)や南大西洋のセントヘレナ(3位)などの珍奇稀少品群、
いずれにしても調査の精度や緻密さはたかがしれているので、「ブルボン・ポワントゥや
グランクリュカフェなどがトップ10に無い!」などと、正す価値もなければ目くじらを
立てる気もおきない(記事に黙殺されたホセ川島には気の毒だが…)。
 Kona-Coffee.jpg

どうせ瑣末な非難を加えて自らも卑俗に落ちるならば、日本語記事の表現に関するべき。
  …高級なコーヒーというのは上を見ればかなりキリがありません。
  そんな高価なコーヒーの値段をランキング化しているものが紹介されています。
  …高級コーヒーランキングのトップ10は以下から。
しかし、このお遊び紹介の元記事では、
  “So do you want to take a look at the most expensive coffee
   in the world you can enjoy? Let’s take a look together”
と前説している通り、‘expensive’=「高価な」コーヒーを並べているのであって、
決して「高級な」(=‘high-grade’)コーヒーだとは一語も述べていないのである。
 Bluemountain-Coffee.jpg

日本語記事では「高価」と「高級」を全く同義に捉え、‘expensive’を‘high-quality’と
誤認させる助長表現、迷惑千万である。‘expensive’=「実際の価値以上に値段が高い」
コーヒーを「高級」(=‘luxury’)と楽しむ金持ちの悪趣味な勘違い、ここを茶化す元記事の
意図を離れて、「いつものコーヒーとはひと味違うかもしれない」などと余計な煽りを
真剣に入れている日本語記事が嘆かわしい。はたまた、指摘した観点も無いままに
「ひと味違う」幻想に魅かれて捉える日本のコーヒー業界人や愛好家をさらに嘆くべき?
 La Esmeralda-Panama

コーヒーに限らず様々な物品に「高価」と「高級」との相関性がある程度は存すること、
それ自体を私は否定しない。だが、営利や体裁を背景に高価を高級と紛らす者の舌は
信用できない。懐疑や研鑽を背景に否定的に捉える方が、「かもしれない」ではなく
確信の持てる「ひと味違う」コーヒーを探し当て、楽しむことができるはずであろう。

【2010年11月5日 追記】
 
「正す価値もなければ目くじらを立てる気もおきない」の前言を翻すようではあるが、
従前「一番じゃなきゃダメ?」でも触れた世界最高値で落札したパナマのエスメラルダを
サザコーヒーが2010年11月8日から発売する、との報を得たのを機会に補遺する。
 panama-saza.jpg
価格は100グラム8000円であるので、GIGAZINE記事の1$=80.6円換算に拠れば、
1ポンドあたり約450USドルとなり、記事2位のエスメラルダの4.3倍、
記事1位のコピ・ルアク160USドルをも遥かに上回り、
約295USドル(200g価を換算)のグランクリュカフェシリーズを下に置く、
正真正銘の‘expensive’コーヒーである。
ここまでくると、「いつものコーヒーとはひと味違うかもしれない」と差異を感じる理由は、
カフェイン作用に因る興奮ではなく、高価であること自体の幻惑の高揚感であろう、笑止。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
浅野嘉之 URL [2010年11月06日 11時11分]

びっくりです
それほど高価だとは
フランスワインのようですね
今後ヴィンテージも加わりそうですね
冷凍真空保存した2010年
パナマ・エスメラルダ・ゲイシャ
2030年開封
20年の時を経ていまよみがえる
あの伝説のヴィンテージなんてね
ポンド5000USドルです
これまじ商売になりそう?
「高価」と「高級」
ほんとそうですね
逆に扱うほうはこの解釈楽だから
気をつけますです

to:浅野嘉之さん
帰山人 URL [2010年11月06日 20時59分]

>今後ヴィンテージも加わりそうですね
それはコワい…(笑)。「冷凍真空保存」…それは焙煎豆で?
でもワインのようにボトル熟成はしないだろうし…
じゃ生豆で熟成?…タダのオールドビーンズじゃん!
  
私は(ワイン通じゃないけれど)ワインの熟成変化は厳然たる事実だとしても、ヴィンテージ=価値向上=高級=高価っていう体系自体にどうも疑問が残るんです。結局は理屈を超えた(というより否定した)感覚的で恣意的な価値観が生み出したものじゃないかと…それを「文化」と逃げられれば何でもアリではないかと…
その上で、コーヒーとワインとは明らかに香味価値を創造する理屈自体が全く違うのに、産地呼称とか香味表現とかで模倣しているばかりで、「違い」を捉えて体系化する研究は相対的に薄れて…ヤレヤレ、人間社会ってのは勝手なモンです。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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