奥が深い

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年10月23日 05時00分]
ハッタリとウケ狙いの顕示ばかりが鼻につく駄本が氾濫する日本のコーヒー界、
その中で輿望を担って尚余るエポックメイクな作品が映像に姿を移して今秋登場。

  コーヒー栽培DVD画像
DVD 『コーヒー栽培の基本 アラビカ編』 (川島良彰:監修/ICE:発売・販売)
 
観る前は「悪くすると、生産国で撮り溜めた映像を粗く継ぎ接ぎしただけの記録資料か、
逆にコーヒーハンターの姿ばかりな関連する商売や協会のプロモーション映像かも?」、
実際のDVDを観てみれば、監修者自身の姿を抑え、サスティナブルやスペシャルティの
言葉も無く、エピローグもプロローグも無くBGMすらも無く、当然広告等も無い…
ホセ川島を束の間小さく捉えて疑った私、映像に邪念を吹き飛ばされて自分を恥じた。
 
「栽培編」と「精選・加工編」の2編19章から成るDVDの約65分間はとても濃く忙しい。
飾り気無しに栽培・精製の過程を順に並べて整理した映像、それ自体に無類の価値アリ。
 
  「このDVDでは、基本的な水洗式アラビカコーヒーをまとめました。
   しかし、全てが網羅されているとは考えていません。まだまだ伝え
   きれないことばかりです。そのぐらいコーヒーは奥が深い農作物です。」
  (DVD最後の川島良彰氏の言)
 
確かに網羅されているとは言い切れないし、全ての内容に偏りが無いとも思えない。
例えば、コーヒー栽培の過程でマルチングやトリミングには触れられてはいないし、
コーヒーノキが開花してから結実していく経過も特段には描かれていないのである。
しかし、今般のDVDについて過剰に不足不満を叫ぶのは避けたい、と私は思う。
 
なぜならば、播種の段階から病虫害対策の重要性を見せ、必ずしも良とはいえぬ栽培
状況も挙げ、シェードツリーの枝打ちまで収録し、(接ぎ木で)ロブスタは「寄与」と、
(病害で)サビ病と「共存」と、ナレーションさせている…コーヒー栽培への深い関与と
愛着なくしては映さない画と語られない解説、このDVD情報の「過不足」構成自体に
ホセ川島流儀の熱いメッセージがこめられている、と私には感じられるからである。
 
より詳細な「応用」編、「カネフォーラ」編、ナチュラル他「非水洗式」編、「栽培品種」編…
勝手に多々の続編を望みたくなる。同時に、こういう有益佳作のDVD作成にこそ、
JCSなどコーヒー関連学会や全協・SCAJなど業界団体や大手コーヒー商社・企業が
資金を供出するべきではないか(口や名は出して欲しくないが)…と掛け値なく言い置く。
そのぐらいこのDVDは奥が深い作品、ホセ川島は奥が深いコーヒーハンターである。
 
  コーヒー栽培DVD画像 001
※尚、DVD『コーヒー栽培の基本 アラビカ編』に関しては百珈苑BLOG参照を薦める。
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コメント

No title
珈子 URL [2010年10月24日 19時12分] [編集]

帰山人さんのこのブログをDVDに付けて欲しいくらいです。ちょっと多忙で手元にありますがまだ見ていません。
でも却って良かったです。記事を拝見してから見るとまた違うと思います。
帰山人はいつも何事にも真剣でいらっしゃるのですね~!
記事を拝見しつつ、いつもサラ~っと流してしまう日常をもっと大切にしなければと思います。
ありがとうございました。

今日はイエメンマタリアールマッカに苦戦しました!
ハゼが遅くてあれれ!?遊ばれています。

to:珈子さん
帰山人 URL [2010年10月24日 21時25分]

>手元にありますがまだ見ていません。
エッ、そんなモッタイナイ!7千円もするのに!(←そこかいっ!)w。
どこが「何事にも真剣」なのか私に全く自覚はありません(笑)が、
何事にも「そんな捻くれた角度から見るのか」といわれる自信なら…。
 
ナチュラルのモカ系は焙煎過程で「遊ばれ」る傾向、ありますね~。
飲むだけなら「貴婦人」でもローストでは「じゃじゃ馬」ってことも(笑)

No title
teaR URL [2010年11月01日 21時37分]

こんばんは。こんな面白そうなDVDがあるのですね。なにぶん情報収集とかしないので知りませんでした。7千円かぁ、ちょっと高いけど買おうかな。こういうのはありがたいですね。なかなか現地にも行けないですし。

to:teaRさん
帰山人 URL [2010年11月02日 14時33分]

焙煎以降のコーヒーにしか興味が無いならば別として、わずかにでも精製以前のコーヒーに興味があるならば、このDVDは必見だと思っています。私的な解釈ですが、川島さんが「知ってほしい」と思っている認識を察知するには、現地に行く以上の機会になる情報ではないかと…そういう意味では本当にありがたい価値ある映像ですよ~
【別件】
「コーヒーの苑」ついに喫茶は午前中だけになってます(豆売りは夕方までやってます)。昔ながらの(他客の存在や会話も含めた)スバラシイ喫茶店空間を味わうならば午前中に行くしかありません。それもいつまでか…お早めに!



No title
teaR URL [2010年11月05日 20時46分]

コーヒーの苑、早く行かないとですね…。行きたい行きたいと思いつつもまだ行けてないのですが、来年頭くらいには行きたいと思っています。なんとか午前中だけでも続けてほしいなぁ。静岡には他にもお勧めがあったりしますか?コーヒー以外でも何かあれば教えていただきたいです。お茶も好きなので茶畑にも行きたいですね。

このブログで知った珈琲工房ヨシダに初めて行ってきました。なんかメチャクチャ美味くてびっくりしているんでうすが、昔から美味しかったですか?マンデリン、保管している箱(全然きれいじゃない)を開けた時の香りのよさに圧倒されました。しかも350円って…。値段昔とほぼ変わってないですね。

to2:teaRさん
帰山人 URL [2010年11月05日 22時14分]

コーヒーの苑、もし営業日でも午後の訪店であれば、(憚りながら)私の名(帰山人でわからなければ「やちゃ」で通じます^^)を出してください、たぶん珈琲をその場で淹れてもらえます。ハイブレンドと水出し(冷珈琲)がオススメです。
居所を移して以来、その後に開かれた静岡界隈のお店はほとんど開拓していないので、お勧めできる喫茶店などは他にないですねぇ(豆売屋のNAKAYAMA COFFEE STOREは別として)。お茶については、私が茶ドコロで生まれ育った頃のお茶は今ではほとんど売っていない…いつの間にか「深蒸し」がほとんどに…浅蒸し・若蒸し(←昔はそんな言い方すらしないで全部がコレ)の煎茶に運良く出合えれば飲んだり買ったりしてみてください。
珈琲工房ヨシダ!懐かしい!抉られるように強烈なウマイという感じではなく、香り立ちの良いスルスルって入ってくる感じのウマさならば、きっと昔と変っていない。良い感じのお店がズ~っと続いている、もうそれだけで感謝です。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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