浅知恵のサスティナブル

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年08月26日 05時00分]
モノは言いよう?でもナゼ?と思わせるコーヒー関連の報道記事を発見した。
 
 「大学食堂で環境持続コーヒーを 全国初導入へ活動、上智大」
 《上智大の学生が、コーヒー生産地の自然環境に配慮した「サステイナブル
  コーヒー(SC)」を学生食堂で導入するよう働き掛けている。SCは欧米で
  は環境保全の象徴として浸透しているが、日本ではほとんど普及していな
  い。大学での導入が実現すれば全国初で、文学部4年の荒井智子さんは
  「上智大を発信源に社会の意識を変え、SCの需要を増やしたい」と意気
  込んでいる。…SCは、生産者が産地の自然保護に配慮するだけでなく、
  労働者の住宅や教育環境を整備するなど、サステイナブル(持続可能)な
  仕組みの中で作られたコーヒーで環境保護団体の認証が付く。やや高価
  だが高品質な上、環境保護に貢献できる。
  (2010年8月20日:共同通信)
 
先般に私が参加した「コーヒーサロン」において日本サステイナブルコーヒー協会理事長である川島良彰氏が溜息まじり(?)に語った内容は、
 
  実は上智大学のキャンパス内のコーヒーを全てサステイナブルコーヒーに
  しようという計画を考えた。ところが今の大学生はキャンパスでほとんど
  (レギュラー)コーヒーを飲まない、飲んでも缶コーヒーばかり。それならば
  キャンパス周辺のサステイナブルコーヒー(を飲み買いできる店の)マップを
  作ろうと調査してみたら学生から「四谷界隈にはサステイナブルコーヒーを
  扱っている店が見つからないのでマップにならない」と報告されてしまった…
   (2010年8月26日現在のSSCMには3店舗が示されている)
 
というものであった。つまり出端を折られ苦肉の計で縮退した内容が上記報道か? キャンパス制覇やマップ作成という意図を阻まれている状況で「モノは言いよう」だ。サスティナブルコーヒーの是非論はともあれ、日本国内での普及は胎動期にあり、カフェ・レストラン・ホテルなどに加え、教育施設は啓発に有効な場ではあろう。その上で「でもナゼ」と疑問に思えるのは、「どうして上智大学からなのか」である。実際の理由にも経緯にも深堀りはしないで、揣摩憶測の遊びをしてみよう。
 
上智大学の設立母体は、世界最大規模のカトリック修道会派にして高等教育に注力する「イエズス会」であり、かつて上智大学で神学を学び後に教授を務めた司祭Adolfo Nicolás(アドルフォ・ニコラス)が現第30代イエズス会総長である。18世紀に中南米の各国に次々とコーヒーを持ち込み伝播させていった多くは、イエズス会修道士であると言われている(真偽や年代を特定できない余聞もあるが)。イエズス会は創設以来プロテスタント勢力への対抗改革として世界宣教を重視した。但し、イエズス会がコーヒー栽培地の拡大を狙った主意は、宣教の余技などでは無い。当時のヨーロッパ諸国家の政治的・経済的な覇権闘争に巧みに結びつき、カカオやコーヒーを扱う免税や専売の貿易特権を修道会の莫大な資金源としていたからだ。このようにイエズス会とコーヒーの長きに渡る関係を鑑みれば、上智大学こそがコーヒーを語るに相応しい高等教育機関である、とも言えるのかもしれない。
 
他方、“Men and Women for Others,with Others”を建学の精神と掲げる上智大学はボランティアやチャリティの活動にも当然に熱心であり、その体現でキャンパス内の自動販売機をチャリティ・ベンダーとして設置している実績がある。もしもこの建学精神に裏打ちされてチャリティ販売されている缶コーヒーの存在が、学内の人々をサスティナブルコーヒーへ目を向けさせることを相対的に阻む作用を生じさせているとすれば、皮肉な内実と言わざるを得ない。チャリティと競合したサスティナビリティほど、その本義と目的の違いを理解させるに困難なものは無い。サスティナブルコーヒー導入の端緒とする選択に上智大学は相応しいのか疑問だ。
 
東大合格生の飲むコーヒーはかならず美味しいのか?』を模倣して、『上智大生の飲むコーヒーはかならずサスティナブルか?』とでも題した気軽さと建学精神を両立させたサスティナビリティ・チルドカップコーヒーをキャンパス及び周辺地域で限定販売する、という仮想はソフィア(上智)に浅知恵か?
 
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コメント

No title
ナカガワ URL [2010年08月26日 23時54分]

叱られるのを覚悟で申します。
缶飲料やチルド飲料メーカー様、どうぞサステナブルコーヒーをたくさんお使いください。焙煎豆や粉の市場より、はるかに巨大ではるかに速やかな効果が期待できます。最近缶やチルドの限定の商品で無糖のものを飲み比べてみましたが、味の違いや、個性がかなり表現できていると感じました。コンビニのパティシエスイーツみたいに充実させられるような気がします。
はやく取り組まないと、マックのコーヒーが「プレ・サス(プレミアムロースト・イン・サステナブルコーヒーかな)」になりますよお。そのときには、「ヘルマック(ヘルシー・マクドナルド)のトクホ(特保)バーガー」とマリアージュかな。マックは日本人の生活習慣病を治しながら、コーヒー生産者を支援します----なんて。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2010年08月27日 15時15分]

>叱られるのを覚悟で申します。
誰がナガガワさんを叱るの?? 少なくとも私は叱りゃあしませんw
でも、サスティナブルコーヒーを豆粉のレギュラー市場では(少し)導入しても缶やチルドでは採用しない理由が付加価値コストの転嫁が難しいからという姿勢の連中には、マック侵攻をネタに脅しても目を明けりゃあしませんよ、ナカナカ。
叱られるのを覚悟で申せば、強欲資本主義下にあることすら自覚していない連中に本当のショーバイを教えることをナカガワさんたちにお願いしたいですね。
あ、このヤリトリ自体がその趣旨か、それならそれでいいけれど・・・w

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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