遅すぎた夢物語

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2010年08月12日 06時00分]
映画『インセプション』(Inception) 観賞後記
 incption.jpg
難解という評を耳にして、それなりに心構えて劇場の席に着いたのだが、
設定も展開も描写も全く難しくない上、真っ直ぐなエンターテイメント。
 
これが映画で無くて小説であれば到底「ハードもの」とは言えないほどに、
SF的には設定も展開もかなり粗くて柔らかく突っ込みどころ満載だが、
だからこそ『インセプション』は映画であって正解なのであり好感納得だ。
 
「ウィリアム・ギブスン作品をスタンリー・キューブリックが撮ったよう」
という英エンパイア誌レビュー、フィーリングとして正解であると思う。
ココを理解できない者と一緒に観るべき映画では無い(ので同じ時間帯に
ウチのカミさんが友人と『ソルト』を観ていたのは大正解だったワケだ:笑)。
 
Dominic Cobb役のディカプリオやMallorie Cobb役のコティヤールには
落胆も賞賛もないが、Arthur役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットはイイ!
そしてAriadne役のエレン・ペイジは更にイイ!この女優はかなり「買い」だ。
 
Ariadne(アリアドネ)の名は、展開がギリシャ神話から投影されていること
明瞭な徴であり、名の通りに物語を演出する役どころはヤリ過ぎでもある。
「虚無」と訳されても違和感が残る作品中の‘Limbo’世界であるが、危うくも
奇妙な求心力がある描写は、単純な迷宮脱出劇に内宇宙の花を添えている。
 inception0.jpg 
クリストファー・ノーランから脚本をエクストラクション(抜き取り)して
『マトリックス』登場前の映画人どもにインセプション(植え込み)したならば…
そんな下卑た夢想にも揺るがない『インセプション』は正当な佳作である。
願わくば続編製作などには手を出さずに「遅すぎた夢物語」で終わって欲しい。
 
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コメント

『インセプション』の感想
1974river URL [2010年08月17日 21時39分]

僕もジョゼフ・ゴードン=レヴィットが一番良かったです。
そして、マリオン・コティヤールの表情。
(後半セリフが増えてきたのが残念なくらい)
エレン・ペイジはJUNOで期待しすぎてしまいました...

『インセプション』確かに、難解・曖昧さもなく
「真っ直ぐなエンターテイメント」で、充分面白かったです。
ただ、キーワードの「夢」に関しては東洋・西洋の差というか、
荘子の胡蝶之夢に小さなころから自然に親しんできた東洋人にとっては
あまりに西洋的な夢の解釈(単純な割り切りやリアルへの偏重)を感じ
「夢だったらもっとできるだろう」とヤキモキ感が。
それにしても『マトリックス』、、比べてしまいますよね。

to:1974riverさん
帰山人 URL [2010年08月17日 22時45分]

ようこそお越しくださいました(やっとコメしてくれましたね:笑)。
>あまりに西洋的な夢の解釈…
確かに「夢」といっても顕在自覚しないが脳細胞に蓄積しているデータ
としか捉えていないこと、ノーランの意識は丸見えですなぁ。
「心」の中で物化する夢現(ゆめうつつ)とは全く別の世界でしょうね。
でも「夢」を潜在意識として捉えて楽しんでしまう日本人も多いハズ、
私も含めて脳が西洋化して東洋の「心」を忘れはじめているのかも…
これじゃ「マトリックス」に「インセプション」されて集団心理崩壊か?

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
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