引いて真似て被せる

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年06月11日 05時00分]
早晩にアソコはヤルだろうと予想していたモノがヤハリ早速に出るらしい。

「もはやインスタントコーヒーではない“レギュラーソリュブルコーヒー”
 新『ネスカフェ香味焙煎』 9月1日全国発売」
 (ネスレ日本株式会社 2010年6月8日発表)

インスタントコーヒーの市場規模は世界全体で170億-200億ドルといわれ、
日本国内は23億-30億ドルと推定されている(アメリカ市場の約3倍規模)。
今2010年4月14日より日本でも発売されたスターバックスのVIA(ヴィア)、
この悲しき「道程」と名づけられたインスタントコーヒーが目指す市場は10億ドル。
インスタントコーヒーで覇権を握るネスレグループが黙って見逃すはずもなく、
出足好調をうたうVIAの日本発売から3ヵ月を待たずして反攻に転ずる発表、
それは予想通りとしても、ネスレ陣営の改良工夫の拙さには失笑を禁じえない。
挽き豆包み製法
 今回、日本で初めて導入する「挽き豆包み製法」は、
 「50年かけて進化してきた技術の結晶である『ネスカフェ』
 独自の抽出液と、微粒子レベルまで粉砕したコーヒー豆を
 混ぜ合わせ、大切な香りと味をフリーズドライコーヒーの中に
 包み込む」という製法です。


ネスレの新製法は基本の着想がスタバVIAと酷似、進取の気が全く感じられない。
逆さに見れば、最大手を慌てさせ稚拙な模倣に走らせたスタバはさらに鼻が高い?
(正確に言えば、スタバVIAの製法が微粉コーヒーを真空凍結乾燥のどの段階で
添加するのか、私は把握していないので、ネスレ「挽き豆包み製法」が全く同一とは
断定できないが、違っていても前か後かの違いであって、着想原理は同じである。)

ショップ分野の雄に版図を荒らされまいとするインスタント分野の雄の反攻劇が、
「挽き豆包み製法」と称して敵の技法を引き真似て被せ返すだけという因循姑息さ、
「挽き豆包み製法」が「引き真似被せ商法」では、失笑以外に反応する術が無いだろう。

閑話、飲み終わった器底に微粉状の残滓を見て違和感を感ずる類のコーヒー愛好者
(私も強いてはこの類に属する)は、布や紙を透過させるドリップ派が多いだろう。
同じレギュラーコーヒーでも、抽出液内に微粉粒子が混じるプランジャーポットの
プレス式(や金属フィルターの透過式)など比較的近年に普及した類のコーヒーに
親しんでいる者には、VIAや新・香味焙煎の残滓に対する奇異は薄いと推せる。
抽出液体の成分や特徴から考えても、これら新たなインスタントコーヒー群は、
プレス派のコーヒーに近い香味を感じさせるはずで、仮にこれらが市場を席捲する
ならば、それは(ドトールが先行推奨したと反証しても)基盤拡大の因をスタバの
伸張抜きには語れないだろう。こうした観点でも、ネスレの多様な商品群の中で、
「挽き豆包み製法」の新・香味焙煎がどこまで売れるのか、興味深いところである。
もっとも「インスタント」を「ではない」と言いたがる類の品を愛好する気は全く無い。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
y_tambe URL [2010年06月11日 18時29分]

はやっ。

まぁスタバやネスレが何をしようと彼らの自由だけど、一応言ってはおきましょう。
「コーヒー豆の匂いと、コーヒー(抽出液)の匂いは別物である」、と。

#香り成分の組成で見ても、焙煎豆に含まれる組成と抽出液の組成には違いがありますから。

to:y_tambeさん
帰山人 URL [2010年06月11日 20時12分]

あ~ぁ、ネスレも模式図に「香り成分」とか書かなきゃいいのに、
余分を言うからTambe式地雷撤去装置で自爆させられるんだよな:笑
どうせなら(先日のJCS中川発表じゃないけど)生豆破砕粒子を焙煎したので従来とは違う組成の微粉を閉じ込めました!くらいやってみて欲しいですね、ネスレには。
もっともクロロゲン酸たっぷりとかスグ尾鰭をつけて、また地雷撤去装置で自爆させられるのがオチだろうけど…

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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