JCS2010参加記

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年06月07日 05時30分]
2010年6月6日
日本コーヒー文化学会(JCS)第17回総会、議事後に記念行事の講演2題と分科会。


講演Ⅰ「キリマンジャロの農家経済経営とフェア・トレード」 辻村英之氏
講演Ⅱ「スペシャルティコーヒーの過去・現在・未来」 堀口俊英氏

両講演とも事前予想通りの内容で、私には新たな知見も無く面白味に欠ける時間であった。
講師に何ら罪はないが両氏の講演を聴くのは何度目か?、学会のネタ切れ感が際立った。
フェアトレードとスペシャルティ、共に今のコーヒー業界で顕著なムーブメントではあるが、
その表層だけを最新と称して紹介するにとどまり、独自性の薄い論調は退屈極まりない。

辻村講演に関しては、フェアトレードコーヒーの主意が、自由貿易体制を非難し
オルタナティブトレードを推奨するという本来の「交易流通構造の変革」を目指す本質論が、
「生産者支援」という手法論に変質していること、を私に強く感じさせるものであった
(フェアトレード運動全体の行き詰まりの影響であって、辻村氏個人への責めではない)。

堀口講演に関しては、スペシャルティコーヒーの主意が、無思慮な大量供給を非難し
「ユニークという異化特性に着目する」という本質論が、「特定の固着した規定による
商業的特化」という手法論に変質していること、を私に強く感じさせるものであった
(利益誘導からは逃れらない業界団体の提唱下にあって、堀口氏個人への責めではない)。

そもそものフェアトレードやスペシャルティは、コーヒーの「流通」や「味覚」を新たな視点で
追求してみようという柔軟斬新な「多様化」運動だったハズ。が、「FLOにあらずばフェア
トレードにあらず」「SCAAにあらずばスペシャルティにあらず」かのような、押しつけ
がましい規準の喧伝しかできない「画一化」運動に変質している自己矛盾が表出している。

各分野の第一人者として活躍する両講演者が知ってか知らずかは別としても、行く末、
フェアトレードやスペシャルティの有り様が「チャリティ」や「プレミアム」との違いを謳った
挙げ句に結局大差はない低俗な流行現象に収斂する、というありがたくない予感を覚えた。


JCS分科会
焙煎・抽出委員会「焙煎機の特徴比較」 中川文彦氏

題目に惹かれたのか参加者激増で満席を超えて幕見状態!
その新顔参加者の期待をおそらく裏切る?カタチで、「直火対熱風」的な話はアッサリと
大和鉄工所の岡崎俊彦氏論述「焙煎機の構造について」に振った中川氏、流石見事だった
(確かに、業務用小型焙煎機の構造と特徴をまとめた岡崎記述は私も推奨する)。

続いて、新型「垂直落下管式焙煎機」モデルが提起された。
これは焙煎プロセスにおける粒(豆)同士及び粒(豆)ごとを均一に加熱することを追求し、
生豆が管内を上から下へ落下しながら、「予熱→粉砕→チャフ除去→熱風加熱焙煎→冷却」
を連続して作用させる机上仮定のモデルである。
大型プラントであれば即実現可能?か、果たして機体が実用小型化できるかどうか、
そして思惑通りに破砕粒子が均一に焼けるか、あたりが課題になりそうである
(「粉砕してから焙煎する」こと自体が斬新な発想だが、分科会終了後の雑談において
 私が「包丁で豆を10位の粒にカットしてから焼いてみたことはある」と述べると、
 「ヤッパリやったんだ」と中川氏と山内秀文委員長に笑われた)。

さらに、同じ生豆を同じ焙煎機で同じ焙煎度に焼くが、排気ダンパーの開閉度だけを
異にした2種類の焙煎コーヒーを飲み比べて、香味の強さや違いをティスティングした。

概論と発想と実践が詰まった中川発表、講演おしで時間不足が惜しまれる楽しき時だった。

コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

JCS総会お疲れ様でした
50のロマン URL [2010年06月07日 23時45分]

帰山人さん

JCS総会お疲れ様でした。初めてブログ拝見させていただきました。やはり切り口の鋭い見解ですね!

to:50のロマンさん
帰山人 URL [2010年06月08日 00時17分]

コメントありがとうございます。
>やはり切り口の鋭い見解ですね!
まぁ同業だと利害関係があったりする部分も、私はオカマイナシですから…
つまりは怖いもの知らず?あるいは向こう見ず?なだけなのかも…

No title
ナカガワ URL [2010年06月08日 18時17分]

お疲れ様でした。ご降臨ありがとうございました。
大和の岡崎さんの文書中の構造図イラストですが、堀口先生が「珈琲の教科書」に使ってくださいました。きっと次の増刷から図の引用元が掲載される予定ですか。
いっそ山内先生がコーヒー業界のロバート・パーカーになってくだされば、私はパーカーの手下のワインコンサルタント、ミシェル何某になって「微酸化じゃ」とかいって荒稼ぎできるのに!!
堀口先生がミスター・マリックなら、こちらはマギー司郎で対抗という感じでしたね。

to:ナカガワさん
帰山人 URL [2010年06月09日 10時55分]

YP(ヤマウチ・ポイント)の付いたコーヒー…
点数よりも業界反応の方がオモシロイことになるんだろうなぁ。
 
「ヨクキタ…ポチポチイッテミヨカ?」
「ミクロ・オキシダシオン・コーヒー、タネモシカケモチョコトアルヨ」
「ハイ、ココナンカゴソゴソスルヨ」って、
マギーじゃなくてゼンジーになっているじゃん!超魔術だ!

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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