苦い話にはウラもない?

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年05月18日 21時30分]
コーヒー関連の驚くべき話題を発見した。

  「日本:コーヒー生豆の残留農薬基準を緩和へ-ブラジル産の輸入促進」
  (2010年5月18日:ブルームバーグ)
  厚生労働省の食品安全部基準審査課の工藤俊明・課長補佐は…日本政府が…
  殺菌剤ピラクロストロビンの許容濃度を0.01ppmから0.3ppmに引き上げる予定
  であることを明らかにした。…早ければ今月にも基準変更の手続きを完了する…。

私が驚いたのは、「コーヒー生豆の残留農薬基準の緩和」そのものではない、その理由だ。

  世界3位のコーヒー輸入国である日本は…世界最大の生産国であるブラジルからの
  供給に支障が出ており、これに対応する。…

  日本の安全基準が厳しいためキーコーヒーなど国内の食品輸入・加工会社のコスト
  は増加している。…

  全日本コーヒー協会の専務理事、西野豊秀氏は、中国など他の輸入国との競争が
  激化するなか、日本は交渉力を失う可能性があり、厳しい輸入規制は日本向け
  農産物輸出の妨げになる可能性があると指摘。日本は世界貿易の現状に即して、
  安全性基準を見直す必要があるとの見方を示した。

これはスゴイ!つまり現状の基準が厳し過ぎるので、生産大国からの「輸入に支障」、
業界企業の「コスト増」、農産物輸出入の「国際競争の妨げ」、という商業的利潤追究の
理由だけが並べられて、「安全性基準を見直す」ことに直結させている大胆な説明だ。

実際には、ブルームバーグ同記事でも
  新基準は、世界貿易機関(WTO)の委託で国際的な食品安全基準を策定する
  コーデックス委員会の基準と同水準…
と記されている通り、ポジティブリスト制の煽りで日本だけがいきすぎた残留農薬
基準の改定を、これまで検討してきた上で国際基準に合わせるだけなのだが…

以前に「甘い話にはウラがある?」の中で私のウラ的妄想として遠目に触れた内容が、
ここまで明け透けなリーク報道として現れると、驚嘆を超えて究竟は苦笑いするだけ。


もっとも商業的利潤追究という点では、以下の経緯を見ても看破し正鵠を射ている。
(以下、いずれも厚生労働省サイト内の説明より)

  食品衛生法上の登録検査機関について
  食品衛生法に基づく食品等の検査は…改正する法律(平成15年法律第55号)
  の一部が平成16(2004)年2月27日に施行されたことに伴い、厚生労働
  大臣の登録を受ければ検査機関となることができるようになりました。また、
  この改正により、登録検査機関で行うことのできる食品等の検査が拡充されました。

  ポジティブリスト制度
  平成15(2003)年5月の法改正において、ポジティブリスト制度が…厚生
  労働省政令により平成18(2006)年5月29日から施行することとされました。

つまり、「残留農薬に関するポジティブリスト制度導入」と「検査機関の指定から登録
への緩和策」は、法律運用の受け皿整備以上に政治的かつ産業的な背景で一体的に
考えられてきたのであって、結果「検査料欲しさ」「天下り先拡充策」との非難もある。

残留農薬を過度に敵視して非科学的な感覚論で大仰に恐怖感だけを煽る「自然派?」
などに与するつもりは毛頭ない私であるが、他方で上記のような非難をコーヒー業界
関係者に突くと、途端に及び腰で超然傍観を決め込む姿勢にはどうにも納得いかない。
非科学的エセ環境論者と同様に、科学的見地だけを隠れ蓑にする者にも説得力は無い。

こうした慨嘆の中で見つけた今回報道、私の「甘い話にはウラがある?」を遥かに超え、
当にコーヒー話だけに「苦い話にはウラもない?」かのような胸がすく説明に、
暴露傑作の拍手を贈る。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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