悲しき道程

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年04月14日 22時00分]
STARBUCKS(スターバックス)がインスタントコーヒーを販売することを
かねがね謗っていた(航海の果ては?冷たいコレクター)が、
2010年4月14日、ついに日本でも当の“VIA”(ヴィア)が発売された。
故VIA

早速にスタバ店舗を訪ね、「テイストチャレンジ!」に挑戦してみる。
CODとVIA、驚くべきことに、どちらがどちらか判断に迷う…
CODがハウスブレンド、VIAはコロンビア(ミディアム)だったので、
香味の違いで正しく判別できたが、液体としての質に大きな差は無い!

早速にVIAを買い、自宅で「テイストチャレンジ!」に挑戦してみる。
我が珈琲とVIA、驚くべきことも無く、どちらがどちらか判断に迷うことも無く…
自前(自家焙煎)もコロンビアにし、VIAは2種類共に濃度を調整したが、
私も含め家族全員が正しく判別し、液体としての質に大きな差がありすぎる!

「ドリップコーヒーをこっそりVIAに変えて妻に出したがバレなかった」
というハワード・シュルツ話を冷やかしたこと、今私は恥じいっている。
なるほど、インスタントコーヒーとしては他社既存の品々とは出来が違う。
クライスよりも良いかもしれない。だが、それ以上に改めてハッキリとした。
スターバックスのドリップコーヒーは、そこそこの出来のインスタントと
同じ程度の香味しかしないものだった!シュルツ家のコーヒーは元々マズイ?
ちなみに、冷めないうちに飲まないと嫌な香味が出る度合いも同じ程度だ。


“VIA”という名は、イタリア語で「道(道程)」を意味するとともに、
ドン・バレンシアの姓の頭文字と最後の2文字からとられ由来しているとのこと。

 Donald Valencia(ドナルド・バレンシア)
  1952年カリフォルニア州生まれ。UCデービス校で細胞生物学を学び、
  1979年サクラメントで‘Immuno Concepts N.A.’社を共同設立、
  自己免疫疾患(関節リウマチやSLE)の診断に用いる検査法を開発した。
  この技術を応用して作ったコーヒーの濃縮エキスを、シアトルにいる
  妻Heatherの両親にクリスマスプレゼントとして持参し、スターバックス
  本店を訪ねてバリスタにも濃縮エキスを披露し交流した。これを聞き及んだ
  スターバックスCEOのHoward Schultz(ハワード・シュルツ)が来訪、
  共同事業化を提案された(1990年頃)が、当初はこれを固辞していた。
  その後に自社の医学事業を売却し、1993年に研究開発担当副社長として
  スターバックスに加わり、約7年の間にマザグランやボトル版フラプチーノ
  (ペプシ提携)、コーヒービール(レッドフック提携)、コーヒーアイスクリーム
  (ドライヤーズ・グランド提携)などの新製品開発に携わった。
  1999年にスターバックスを離れ、中央アメリカとメキシコの農村部が
  貧困から脱する為の支援組織、アグロス国際財団の会長を共同で務め、
  また宗教や建築・芸術にも関心を寄せて若者や社会の支援活動も行った。
  2007年ガンにより55歳で死去。

ハワード・シュルツは‘POUR YOUR HEART INTO IN’(実際はDori Jones Yang著:
日本語版『スターバックス成功物語』)で、「だれよりも先駆けて常に『次の大ヒット作』
のことを考えつづけなければならない。…実際、私が本書を執筆しているときも、
ドン・バレンシアは『次の大ヒット作』に取り組んでいるのである。」と語った。
ドン・バレンシアを見出した頃のハワード・シュルツは、スタバ3期連続赤字の
責めも撥ね退けて、勢力伸展・事業拡張と株式公開を狙う強欲の鬼と化していた。
スタバが目指していた「サードプレイス」という概念も、現実には体裁や喧伝のみ
に堕し始めた時期である、と私はとらえている。その強欲実現の道具として片棒を
担がされた幹部の一人、死したドン・バレンシアの名をなお使うスタバ精神…

「このコーヒーをつくるのに、20年かかりました」という謳いよりも、
「こんなコーヒーをつくるほど、20年かかって堕しました」というべきだろう。
創業理念からはおよそ変転したスタバの「道程」、
その結実が“VIA”とは滑稽にも皮肉で悲しい名である。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
y_tambe URL [2010年04月14日 22時30分]

ああ、今日からだったんですね。さっき近くのショッピングモールのスタバの前を通ったときに見かけて、「ああ、これがスタバのインスタントかぁ」と思いながら通り過ぎたのだけど、話のたねに試してくればよかったなあ。

to:y_tambeさん
kisanjin URL [2010年04月14日 23時44分]

あえて製法技術的な切り口では記しませんでしたが、
比較的低湯温?プレス式原理で超濃縮エキスを作って、
微粉ごと凍結乾燥させたような感じの香味に思いました。
tambeさんのインプレッションを是非お聞かせください。

No title
y_tambe URL [2010年04月18日 20時06分]

行ってきました。こちらもハウスブレンドと、VIAコロンビアで、飲む方が銘柄を伏せられた状態での試飲(ブラインドテスト)でした。

第一印象として、二つの違いははっきりとしてるのだけど、どちらがスタバのドリップで、どちらがインスタントかと聞かれると悩むかなぁ、という感じ…というか、そもそもスタバでドリップコーヒーを飲んだのが過去に一度あったっけ…? という程度だったので。

ただまぁ、どちらも場末の喫茶店で「コーヒー」として出てくるなら、まぁありかな、というレベルだろうと思ったので、VIAは「インスタントコーヒーとしては」高レベル、だと思いました。

両者の違いで特徴的だったのは、香りですね。VIAの方は独特のナッツ系に近い香りが強く、やや不自然な感じで、一瞬「異臭か?」とすら疑いました(ここらへんが僕の判定の決め手になった)。それからVIAの方にだけ微粉があったので、知らずに飲んでいたら判定で混乱したかもしれません。あと、見た目の違いではCODの方には普通のコーヒーに見られるような、安定した泡(サーバーに落としたときに出る、やや粗めの泡)が出てたので、そこらへんも見る人が見れば判ったかも。味そのものにも微妙な違いはあったのだけど、淹れ方などのブレの中に入る程度の差で、判定の決め手になるほどではないかな、と思いました。

製法技術的な部分については、多分、帰山人さんと同じような印象を受けてるんですが…あれ、思ったんですけど、凍結乾燥した後でわざと、香り付けのために微粉を加えた、という可能性はないかなぁ、と。プレス式にしては濃度感が出てるけど、微粉があって、香りも(不自然な感じに)残ってるので。

インスタントを作る際何がいちばん厄介かというと、香りのロスでしょう。揮発性の香り成分は、水を飛ばす過程で抜けてしまいますから。微粉やその表面に付着してる油脂層は、香り物質の担体になりうるので、ひょっとしたらと。同じ「コーヒー豆」なので、成分表示的にも問題ないでしょうしね。

to:y_tambeさん
kisanjin URL [2010年04月18日 21時06分]

インプレッションありがとうございます。
tambeさんの印象も評価も…私とほぼ同じですね。
>凍結乾燥した後で…香り付けのために微粉を加えた…可能性
実は私もその可能性もアリだと思っていました。
開発話に「マイクログラインド」云々という言もありますしね、やはり?
巷の評判は上々のようですが、インスタントにしてはバカ高く、
レギュラーと同等(?)レベルとしては格安…
こんなビミョ~なモンに支持が集まるのはスタバならではでしょう.。
5年後くらいにどうなっているのやら?

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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