山神を見た!

ジャンル:スポーツ / テーマ:マラソン / カテゴリ:走の記:日常編 [2010年01月05日 02時00分]
映画『風強(かぜつよ)』観賞後記としてブログ記事「汗が強く噴いている」で、《現実の「東京箱根間往復大学駅伝競走」中継を新年早々観て過ごすという、常套が私には無い…》と言っていたが、舌の根も乾かない2010年正月に常套を破ってTV観戦。
 
雅量無き関東学生陸上競技連盟が主催するローカル駅伝を暇つぶしに観るとは、己が不浄に俗化するようで自己嫌悪もあったが、「新・山の神」柏原竜二選手のスバラシイ走りには嫌でも惹きつけられてしまった。
 
柏原選手の走法は、明らかに他選手よりも蹴り出した足が後ろに残らない。この点では、「キック力が人並み外れている」と言われた「元祖・山の神」=今井正人氏の足運びとは全く異なる(らしい)が、前へ前へとべったり着地する「新・山の神」の足運びには、理想とする山の走法として思わず魅了されていた。
 
 
さて、(いわゆる)「箱根駅伝」については、私が嫌う理由とは別に、巷間で「駅伝偏重が日本のフルマラソン(特に男子)界を弱くする」元凶の大会として非難を浴びてもいる。現に「山の神脚光は凶か吉か 長距離界のガラパゴス化懸念」という記事が早速に発せられた(ZAKZAK/夕刊フジ 2010年1月4日)。
 
この記事では、「山を制する者は箱根を制す」傾向に「日本の長距離界を滅ぼす」「かじ取りを誤れば、箱根を中心に回る日本の長距離界はガラパゴス化する」とまでの懸念を表す一方で、「山を制するものが世界のマラソンも制す?」とも…
 
確かに、柏原選手が2年連続受賞した「金栗四三杯」は、「箱根駅伝」の最優秀選手に贈られる選考基準が恣意的で不明瞭な賞で、2004年に新設以降の7年8人中、実に6人が5区走者で、花の2区走者なぞでは1人も選考されていない。
 
 
ところで、「日本マラソンの父」と評される故・金栗四三(かなくり しぞう)に因み、歴史と謂れで「箱根駅伝」に勝る「金栗四三杯」駅伝大会がもう一つ存在する。1976年に復活されて毎夏行われる「富士登山駅伝競走大会」である。この駅伝大会は、復活後当初は金栗四三杯が優勝杯だったが、1990年からは秩父宮賜杯大会、1995年からは秩父宮記念大会となり、2005年以降は部門が自衛隊と一般に分けられ、「金栗四三杯」は一般の部優勝チームに贈られている。
 
金栗四三は、1912年に日本人初のオリンピック選手としてストックホルム大会のマラソンに出場したが、途中棄権、記録上「競技中に失踪し行方不明」となった。時は流れて1967年にストックホルムのオリンピック開催55周年記念式典の中で75歳の金栗翁はゴールテープを切り、世界一遅いマラソン記録‘54年8ヵ月6日5時間32分20秒3’を樹立し、場内には「これをもってストックホルム大会の全競技日程を終了する」 というオリンピック委員会のアナウンスが流された…
 
「箱根駅伝」も「富士登山駅伝」(当初は個人単独競争)も、その起点は金栗四三の発案によるものである。1951年、戦後初に再開した「富士登山競争」で審判長を務めた金栗は「世界に誇る富士の峰にオリンピックの夢をのせ敢闘を祈る」と挨拶、まさに「山を制するものが世界のマラソンも制す」という確信があったのだろう。
 
 
さらに話し変わって、私は昨秋にもう1人の「山神(やまがみ)」を間近に見た。2009年10月4日の『斑尾高原トレイルランニングレース』で15Kコースを‘1時間18分13秒4’で走破し、4位入賞し表彰されたのは小学生!しかも、この「關 颯人(せきはやと)」くんは2週間後の「富士見高原名勝探訪駅伝競走大会」で1区を区間賞で走っているではないか! これぞ行く末は山神? いや、すでに山神か…
 
 
「箱根5区偏重が日本の長距離界を滅ぼす?」か否かには、私は確信が持てないが、 金栗四三、柏原竜二、關颯人、3人の「山神(やまがみ)」を振り返ってみると、「案外と山を制する者がマラソンも制すかもしれないな」、寝転びながら観戦した恨みの(いわゆる)「箱根駅伝」を参考にしながら、勝手な思いにふけっている。
 
コメント (4) /  トラックバック (0)

コメント

No title
ちんきー URL [2010年01月06日 23時45分]

自分も5区だけは見てました。
(チャンネル選択権が無いので全部は・・・)
柏原選手は期待通りの活躍で楽しませてもらいました。

そこでTVを見ながらふと思ったんですが大学って「駅伝」しかやってないんですか?
もしやってないんでしたら何故マラソンはやらないんでしょうか?

初心者の質問でスミマセンm(_ _)m

to:ちんきーさん
kisanjin URL [2010年01月07日 19時47分]

学生専用の陸上競技は「日本学生陸上競技連合」が主催または認定しないと公式大会にならないのですが、原則トラック走に限られていますね。それ以外だと、ハーフマラソン選手権(校対抗ではなく個人対抗)はありますが、立川・昭島マラソン大会(男子)やまつえレディースハーフマラソン大会(女子)と併催されてしまうので、ほとんど注目されませんし、フルは大会が無いようです。
駅伝=団体戦、マラソン=個人戦、という性質上、校対抗で学生専用マラソンは考えたことがないのでしょうし、記録追求するには10代でフルマラソンは過酷だという保護意識もあると思います。
そこから先の事情は・・・私も良くわかりませんm(_ _)m

No title
ちんきー URL [2010年01月07日 22時39分]

ご説明ありがとうございました。

やっぱり学生と言う事でマラソンはやらないんですね。
ただ帰山人さんも書かれているように現在の様な「駅伝」及び「トラック競技」メインでの練習では真に「マラソン」に強い選手はなかなか出てこないような気がします。
福岡国際でのモグス選手の例もありますし・・・

それに学生ってスピードメインの練習のせいでしょうか故障者が多いのも気になります。
(そういえばブログか何かで高校時代に過酷な練習のしすぎで故障、障害者になってしまった女の子の話を読んだ事があります。)
まあ大学とすればメディアの注目の集まる「駅伝」(特に箱根)に力を入れるのは当然ですし「駅伝」をターゲットにすれば当然スピード練習に力が入るのでしょう。
まあある大学では「駅伝部」って名前ですから仕方ないような・・・

でも陸連さんが本当の意味で目標とするのはオリンピック競技の長距離の花形である「マラソン」のはず。
そろそろこの辺で陸連の指導力を発揮して色々変革していかないとこれからも(特に男子)マラソンに強い選手は出てこないような、そんな気がしました。
(乱文でスミマセン)

to:ちんきーさん
kisanjin URL [2010年01月08日 20時04分]

うーん、今の日本陸連が「本気=本音」で男子マラソンを優先的に復活させていくつもりなのかどうかは、私にはうかがい知れません。その気が無いなどとは思いませんが、アフリカ勢の環境や身体のポテンシャルを凌駕する策は指導しようにも未だ思いつけないのでは?と勘繰っています。もっとも、おっしゃる通り(ケニア人の)モグスでも日本の練習と大会選択に馴化し過ぎ(?)ると、思いとは裏腹に走り切れない世界であるところが、フルマラソンの過酷で奇妙な醍醐味なので、打つ手とチャンスはあるのかもしれませんが…良し悪しは別にすると、陸連範疇外のウルトラ級・アドベンチャー級のスーパーロングラン分野の方が、日本人活躍の可能性は高いのかもしれません。それで良しって話じゃありませんがね・・・

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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