悪魔の辞典

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2009 [2009年10月13日 01時00分]
試行版として僅かに「コーヒー 悪魔の辞典」を作ってみた。
 
 
あ行
 
【インスタントコーヒー】
1899年に日本人がアメリカで開発した確実に「低級な」コーヒー。公職選挙法第139条(飲食物の提供の禁止)により選挙中に(「高級だから」提供できないとされるドリップコーヒーと異なり)湯茶扱いされて提供できるほどに、日本では発明者の名誉を穢してまで法律により公式に低級と認められている。
 
か行
 
【キリマンジャロ】
日本のコーヒー業界が生み出した三大銘柄の一つ。歴史的にヨーロッパ市場では(酸味の評価で)明らかに隣国ケニア産に劣ると二等扱いされたタンザニア産のコーヒーを、山とは無関係の中南部低地で産出されるさらに低品質の豆も含めて日本で独自にブランド化したもの。
類義語:コシヒカリなど
 
さ行
 
【CQI】
Coffee Quality Instituteの略で、SCAAの傀儡団体であり、生産者を鼓舞して高品質なコーヒーを生産させ、より良い生活が出来るよう夢見させることを目的として設立されたコーヒー品質協会。彼らのグレードに見合わない対象はおろか、彼らの認定を受けない者は、辱められ虐げられて生産者としては認められない恐怖の世界が到来する。
類義語:ショッカー・ともだちなど
 
た行
 
【タレーラン】
貴族司教政治家と好き勝手に転身して教皇から破門されナポレオンと組んだが裏切って失脚させた外交官タレーラン伯爵は「カフェ、それは悪魔のように黒く地獄のように熱く天使のように純粋で愛のように甘い」という語を残した。素直に解釈すれば不味いコーヒーだが、タレーランは美食家であり、この矛盾した液体が美味であった場合は、数学上のフェルマー最終定理より難問となる。タレーランは「私が何を考えていたのか、何を望んでいたのか、それを数世紀間にわたって論議してもらいたい」という語も残したが、これはコーヒー関係者に向けた挑戦である。
 
な行
 
【日本コーヒー文化学会】
コーヒーについての知見を集積し広めることを目的に設立されたはずが、UCCの支援なくば維持すら危うい恩も忘れ、学術深耕派と愚衆教化派と商魂宣伝派に分かれた理事たちが小競り合いを続ける団体。コーヒーに関心がある人は誰でも入会できるが、嫌って脱会したり幽霊化した元会員も数多い。
類義語:敗北した自民党
 
は行
 
【ブルーマウンテン】
日本のコーヒー業界が生み出した三大銘柄の一つ。小さな島国の限定栽培で産出する最高級コーヒーと言われているが、ハリケーンや害虫の被害をなぜかことごとく退け、生産地から日本国内の末端消費に至る流通上で、その量目が数十倍に膨れ上がることが数十年以上に渡って続く不可思議極まりないコーヒー。このことからブルーマウンテンコーヒーの遺伝子を他の栽培食物に組み込めば世界的食糧危機は回避できるという説もあるが、この遺伝子組み換えに成功した事例は未だ聞いていない。
類義語:シシャモ・キャビアなど
 
【ホンジュラス】
ホンジュラスのコーヒーは、過去20年以上にわたり着実に生産した豆をグァテマラなどの隣国に向けて密輸出を続け、今や表向きに中米2位の生産量をほこるようになった。産地統制やトレーサビリティにやかましい関係者は、こうした過去の事実を無視したり否定したりするが、今後将来も紛争と政変と貧困はコーヒーの産出地など容易にすりかえる。コーヒーに国境は無い。
類義語:愛・医師団など
 
ま行
 
【モカ】
日本のコーヒー業界が生み出した三大銘柄の一つ。本来はイエメン産のコーヒーを指すべきかどうかすら躊躇するべき名だが、「エチオピアもモカ」という半端な通例の裏で、エチオピアやタンザニア北西部などで産出されるコーヒー豆を偽装流通させる慣例も多い。これを暴露することは命がけの課題であり、万が一暗殺された場合は「〇〇〇〇〇(偽装前産地名)、おまえモカ!」と言って死ぬこと。
 
や行
 
【有機栽培】
農薬や肥料を意図的に使用しない場合でも、農薬や肥料を使いたくても使えない場合でも、品質とは直接無関係の基準さえ満たし負担の重い認証ラベルを貼れば高く販売できるコーヒー。かつてスタンダールは「イタリア人の有機は怒りの発作であり、ドイツ人の有機は一瞬の陶酔であり、スペイン人の有機は自尊心の現れであり、アメリカ人の有機は傲慢の発露であり、日本人の有機はJASのお仕着せである」と言ったとか言わないとか。今や他のコーヒー認証と同様に、CSRに名を借りた付加価値ビジネスのネタと化しつつある。
類義語:トクホなど
 
ら行
 
【リワーク】
世界最大の食品会社ネスレが製造販売したインスタントコーヒーを回収し再加工して再販する「リワーク」と呼ばれる使い回しは各国工場で行なわれ、これは遥か以前から「もったいない精神」を実践している、と評価できる。かつての「ゴールドブレンド」CMコピー「違いのわかる男」は、ネスカフェ製品のリワーク率の「違い」を見破る為の挑戦的文言だった。
類義語:赤福など
 
 
今後は他者からの評判・意見・追記などにも耳を傾け、充実を図るか否か検討していく所存である。
 
コメント (2) /  トラックバック (0)

コメント

No title
しんろく URL [2009年10月18日 21時20分]

とても興味深い辞典です
僕が普段、飲んでいる「ブル○クスのブルーマウンテンブレンド」(1杯80円)も怪しいもんですね

今、野口健さんの本をアサリ読みしていますが『落ちこぼれてエベレスト』の第15章に
…実は、僕は普段コーヒーは全く身体が受け付けず、ましてやブラックコーヒーは1口も飲めない…
と言う記述があり驚きました。

ゴールドブレンドのCMの出演は、環境活動の啓蒙につながるとして、演技の一切ないドキュメント映像を使用することを条件に出演した、と他の著書にフォロ-がありましたが、以外でした。

to:しんろくさん
kisanjin URL [2009年10月19日 12時14分]

ブルマンとかの問題は単純だけど根深いんですよねェ。
詐称偽装ではなくても、(例えば正真正銘の魚沼産コシヒカリにだって出来不出来があるのと同じで)ブルーマウンテンの中にも品質等級があります。ジャマイカ島全体ではエリア別にもグレードが分かれる(例えれば、魚沼産/新潟産/他県産のコシヒカリ)のですが、実際はブルーマウンテンの最低品と他のエリアの最高品とどちらがウマイかわかりません(魚沼の最低対他県の最高、に同じ)。
さらにブレンドとなると、公正取引表示規約を守る限りは3割以上ブルマンを配合しないと商品名を「ブルーマウンテンブレンド」とうたってはいけないことになってます。でもブルマンの最低品を3割以上配合した上で1粒だけ最高品(No.1)を混ぜても、説明文には「この商品はブルーマウンテンNo.1の豆を使用しています」とうたって違反にはならないのです(笑)。
まぁ、表示は本当のウマさとはほとんど関係ない、と思っていたほうが真実に近い、ってことですね。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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