JCS参加記(2)~オールドノリタケ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2009 [2009年05月26日 02時00分]
2009年5月24日
日本コーヒー文化学会(JCS)参加記の2題目。

講演「オールド・ノリタケとコーヒー~その歴史と背景」
井谷善惠氏の講演を聴くのは、昨年10月16日の「SCAJ2008」の
JCSコーヒーカルチャーセミナー「日本発『カップ&ソーサー』の歴史」
以来、2度目である。

井谷氏の講演は前回同様に熱くもわかり易い話だったが、
もう少し掘り下げた内容も聴いてみたかった、というのが私の本音。
時間の制約から見て、講師自身も語り足りない感があったと思われる。

井谷氏のレジュメや講演を見聞きして特徴として感じるのは、
オールドノリタケに代表される近代日本の陶磁器界を語る上で、
ヨーロッパへの「憧れ」、ヨーロッパを「手本」、ヨーロッパの「影響」、
と表現されることである。
「パクリ」「贋作」「コピー」「複製」はおろか「模倣」とすら言われない。
これを、コレクターや研究者らしい愛情込みと好ましく思うか、
主観に過ぎて意図しない至上主義を惹起すると嫌うか、判断が難しい。

そもそもオールドノリタケの「憧れ」「手本」「影響」の対象であった
ヨーロッパ陶磁器の歴史そのものが、
「パクリ」「贋作」「コピー」「複製」「模倣」だらけだったことは確かである。
様々なデザイン様式の流行や各時代のムーブメントに圧されて、
マイセン窯・セーヴル窯といった名窯同士をはじめ、各地の窯やブランドが、
生存競争として互いに「パクリ」まくっていたのであるから、
これを頭から否定したり無視したりすると陶磁器史自体が成立しない。

ならば、「近代以降の日本の輸出陶磁器におけるデザインの中では、
花が最も多く、その中でも薔薇が最も好まれた」(井谷レジュメ)ことも、
世界を席巻したウースターローズ「パクリ」の末端にオールドノリタケが
あったという、観点がふさわしいのではないだろうか、と私は思う。
オールドノリタケの中には、「Hand Painted(手描き)」と裏印がある上で、
メイン絵のポートレートは「転写もの」というツッコミどころ満載の品さえある。

また、確かに森村組はニューヨークへ進出し、
オールドノリタケはアメリカを最大の輸出市場としていく。
それは、アメリカ社会こそが、ロイヤルウースターを頂点とする
ヨーロッパ磁器を憧憬し、しかしヨーロッパからは相手にされず、
だからこそ「プアマンズウースター」としてのノリタケが代替普及した、
あくまでヨーロッパ亜流としての位置付けを自ら理解していたからであろう。
「パクリ」を作った者と「パクリ」を求めた者の日用品市場の話である。

それにしても、コーヒーカップの世界もコーヒーの世界も共通して、
それそのものが華麗で和やかなものではあるが、
それらを支える歴史と社会背景は、俗っぽくもドロドロしいところが真実である。
必要以上に全てを美化しないよう、自戒しながら講演を聴いていた。
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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