もう1つのクォータ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2009 [2009年04月18日 01時00分]
ルワンダ・ジェノサイド(大虐殺)の発端といわれる「搭乗機撃墜によるルワンダ・ブルンジ両大統領暗殺」が起きた1994年4月6日から満15年を経た今4月、USAオバマ大統領は声明を発表した。曰く「今日、その歴史を記念するのは悲劇の再発を防止するためである。アメリカはルワンダと共にルワンダの持続的な平和発展を守っていく」
 
私には、空々しく聞こえてならない。一つには、国益なしを理由にルワンダ紛争を放置した国として、USAには発言する資格もなければ謂れもないからである。加えて実際には、USAはルワンダ紛争を放置したのでは無くて、紛争を招いた影の当事者そのものであり、その自覚を持たない記念声明は、内戦や虐殺で失われた人命に無礼千万だからである。
 
私は先の「2つのクォータ」で、ルワンダの内戦勃発の前年である1989年にICA(国際コーヒー協定)のクォータ(輸出割当枠)制が事実上撤廃された、と述べた。これは当時のUSAが、クォータ制存続の協定更新を拒否したからである。USAから見れば、変節してしまった「社会主義勢力援助のためのカルテル」として見える価格高止まり協定、を破壊する必要があったのだ。1960年代に自らの都合で発足を主導したコーヒー協定を、今度は自らの国益のみを優先して否定し、破壊したUSA。直後2週間で、コーヒー相場は3分の2に暴落し、ルワンダをはじめコーヒー生産国の弱体経済をさらに叩き落しめた。
 
ルワンダの現大統領Paul Kagame(ポール・カガメ)は、内戦勃発の1990年前後には、CIAとアメリカ国防総省の命によりUSAのレブンワース基地・陸軍指揮幕僚大学を始め、軍事戦略訓練を受けている。その後は、USAの筋書き通り、ルワンダ愛国戦線 (RPF)司令官となり、ジェノサイドを収めた立役者を演じ、大虐殺後は事実上の政権を掌握したのである。2003年には、95%の得票率で正式な大統領となり、今に至る。“It is a victory which tells that we Rwandans know what we want.”(これは、われわれルワンダ人が何を望むかをわかっていることを告げる勝利です)と大統領選の勝利宣言でカガメは言った。Rwandans を Americans に入れ替えれば、まるでUSA大統領の勝利宣言に聞こえるかのようであり、そして入れ替えても実態はあながち間違いでは無いのである。
 
ルワンダ紛争はUSAが引き起こした軍事国防政策上の「マッチポンプ」であり、そういう意味において、ポール・カガメはルワンダの象徴である、と私はとらえている。
 
別の言い方をすれば、他のアフリカ諸国や中南米諸国に対して繰り返してきた干渉と全く同様に、USAは影の当事者であり、カガメはUSAがルワンダと近隣諸国を干渉掌握するための布石、割り当てられた存在だともいえる。ルワンダにあったいわば「もう1つのクォータ」、これまたルワンダコーヒーをさらに苦くする真相である。
 
この稿は「2つのクォータ」の続編である。
「2つのクォータ」は、次回「日本コーヒー文化学会」総会において
ルワンダコーヒーが取り上げられることを独り記念して記したものだが、
総会の基調講演は、ルワンダの現カガメ政権下にある駐日ルワンダ大使
による予定であり、そうした観点から配慮して続編部分は別稿とした。

私は、ルワンダの人民大衆を非難するつもりもないし、罪を問うつもりもない。
そして、ルワンダのコーヒーそのものにも全く罪が無いことは当然である。
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
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