缶コーヒーでザマミロ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2018 [2018年08月30日 23時00分]
これまでも最速最大について触れたきたように、コーヒーに関するギネス世界記録は数多くある。しかし、これが缶コーヒーに限られると、アサヒ飲料が2012年2月28日に達成した「24時間での1つの製品に対しての最も多くのテレビコマーシャル」(Most TV commercials for the same product [24 hrs] - national/Free-to-air)くらいのものだった。これは、「AKB48」所属の研究生を含む全メンバー90名が各個に登場する「ワンダ モーニングショット」TVCM「メッセージ」編15秒90タイプを一日でオンエア(関東・東海・関西地区限定)したもので、缶コーヒーの世界記録としては「みんなに元気を!」与えるほどのものではなかった。だが今年ついに、缶コーヒーに関する新たなギネス世界記録が認定された。
 缶コーヒーでザマミロ (1)
 
 「販売期間49年のロングセラー製品として世界No.1
  缶コーヒーの最長寿ブランドに認定」
 《UCC上島珈琲株式会社(本社/神戸市、資本金/10億円、社長/上島昌佐
  郎)の缶コーヒー飲料製品『UCC ミルクコーヒー』が、販売期間49年で、
  缶コーヒーのロングセラー製品としてギネス世界記録に認定され、2018
  年7月4日(水)、ギネス世界記録認定授与式が行われました。 1969年
  に発売された世界初の缶コーヒー『UCC コーヒーミルク入り(当時の商品
  名)』は、UCC創業者、上島忠雄(1910~1993)の「いつでも、どこでも、
  一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神によっ
  て開発されました。発売から来年で50年となる永きに亘り、「レギュラー
  コーヒーとミルクたっぷりの味わい」「赤・白・茶色の親しみやすいパッケ
  ージデザイン」を基本コンセプトに、子供から大人まで世代を超えた幅広
  いお客様からご愛飲頂いてきました。また、現在、約3億5千万ケース
  (2017年度)に達する缶コーヒー市場の礎を築きました。》 (UCC上島
  珈琲Webサイト ニュースリリース 2018年7月17日)
 
この2018年5月9日付けで認定されたUCC上島珈琲の「缶コーヒーの最長寿ブランド」(Longest-selling ready-to-drink canned coffee brand - current)というギネス世界記録は、《1965年には三浦義武が世界ではじめて缶コーヒーを考案しますが普及にはいたりませんでした。1969年にUCCが独自にミルク入りの缶コーヒーを開発してから全国的に普及していくのです》(旦部幸博 『珈琲の世界史』 講談社:刊 2017)という缶コーヒーの歴史を考える上でも実に意義深い。「UCCコーヒー ミルク入り」を乳飲料であって「コーヒーではない」などと見下して嘯(うそぶ)く、三浦義武(1899-1980)の「ミラコーヒー」や谷田利景(1926-2018)の「ポッカコーヒー」を至上とする浅慮で不所存なバカ者どもに「ザマミロ」と言ってやりたい。
 
 《本来、コーヒーを専業としていたUCCは、当時一般に飲まれていた、牛乳
  にコーヒーフレーバーをつけた乳飲料(いわゆる、コーヒー牛乳)との差
  別化を図り、本格的なコーヒー抽出エキスとインスタントコーヒーとの溶
  解液を乳分と混合した飲料を開発すると同時に、これを缶入りにするこ
  とで、瓶入りのコーヒー牛乳と比較して、大幅に保存性や携帯性を高め
  ることに成功した。これを追う形で1971年、石山食品工業社(現、日本
  サンガリア)が、「サンガリア缶コーヒー」を製造・販売するものの、あくま
  でも両社の商品は乳成分が高かったため「乳飲料」の域を出るものでは
  なかった。しかし、これによってその後、長期間にわたって消費者が「ミル
  クと砂糖の入った甘いコーヒー飲料」というイメージを持つ「缶コーヒー」
  という飲料の新しいジャンルが生まれることとなった。 さらに、その翌年
  の1972年にはポッカレモン(現、ポッカコーポレーション)が「ポッカコー
  ヒー」を、1973年にはダイドー(現、ダイドードリンコ)が「ダイドージャマ
  イカンブレンドコーヒー」を製造・販売し、缶コーヒー市場への参入を果た
  す。しかし、皮肉にもこの両社は、雪印乳業とパイプを持つUCCのよう
  に乳原料を思うように仕入れることができなかった事情から、乳飲料とし
  ての缶コーヒーを製造することが困難であったため、コーヒー成分入りの
  「乳飲料」ではなく、缶入りの「コーヒー飲料」の開発を目指し、それによっ
  て先発のUCCとの差別化を図っていくことになる。UCC、ポッカ、ダイドー
  の3商品は、老舗メジャーブランドとして、現在に至るまで根強いファンに
  よって支持され続けている。》 (小川長 「缶コーヒー市場の変貌と商品
  戦略」/『尾道市立大学経済情報論集』第13巻 第1号 尾道市立大学
  経済情報学部:刊 2013)
 
上島忠雄(1910-1993)の《いつでも、どこでも、一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい》という意思と、《「ミルクと砂糖の入った甘いコーヒー飲料」というイメージを持つ「缶コーヒー」という飲料の新しいジャンル》の実相とには、何らの矛盾もない。「UCCコーヒー ミルク入り」を昭和時代の遺物であって現在の市場には合わないなどと見下して嘯く、ブラック無糖やペットボトル化を至上とする浅慮で不所存なバカ者どもに「ザマミロ」と言ってやりたい。
 缶コーヒーでザマミロ (2)
 
私は以前に、《そして現代日本のコーヒーで歴史的に最も独自性を示すものは、缶コーヒーでしょう。年間100億本以上が200万台以上の自動販売機と4万店以上のコンビニエンスストアを中心に売られているという日本国内の実勢は、高級クラスのレギュラーコーヒーだけを前提にしている専業者やマニアの声など物ともしません》(鳥目散帰山人 「コーヒーの自叙伝」/『美味しい珈琲BOOK』 成美堂出版:刊 2010)と記した。今般に認定された「缶コーヒーの最長寿ブランド」というギネス世界記録は、その見識を象徴するものとして讃するものである。
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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