リカちゃんに叱られる

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2018 [2018年04月13日 19時57分]
「コーヒー豆の栽培で、熱帯林の木がたくさん切られていないか?」 「コーヒー豆を栽培する農民たちの暮らしはどんなふうか?」 こんなコーヒーに関する素朴な疑問にあなたは答えられますか? 知らないでいると、小学生のリカちゃん(里辺利香)に叱られますよ。そんなリカちゃんが、コーヒーの本を読んで感想文を送ってきました。以下に掲げてみます。
 リカちゃんに叱られる (1)
 
私はコーヒーに興味があります。といっても、業界が宣伝するようなあざとい話ではなくて、コーヒーが抱える社会的な問題についてです。小学生でもコーヒーが抱える問題を知る方法はないかと日本児童図書出版協会のWebサイトで探して、原田一宏さんの『コーヒー豆を追いかけて 地球が抱える問題が熱帯林で見えてくる』(くもん出版:刊 2018)を読みました。
 
この本には、コーヒーの生産地のことが細かく書かれています。私は以前に、日本児童図書出版協会に児童図書(中学生向け)として紹介されていた川島良彰さんの『コーヒーハンター 幻のブルボン・ポワントゥ復活』(平凡社:刊 2008)を読みました。川島さんの本でも原田さんの本でもコーヒーの生産地の現状を知ることができましたが、取りあげられた国や地域の違い以上に書いた方の観点の違いを感じました。生産地を調査したり生産者と交流するところは同じでも、目的や手立てが違うとコーヒーが抱える問題も違ってみえます。農園の規模や栽培される品種の多様性以上に、コーヒーが抱える問題の多様性も興味深いと思いました。でも、近所の喫茶店のマスターと話してみたら、どちらの本も知らないしコーヒーがどんな社会的な問題を抱えているのかわからない、と言っていました。私は、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言ってやりました。
 
『コーヒー豆を追いかけて』は、インドネシアの調査でわかったコーヒーや熱帯林について主に書かれています。この本を読みながら、今までのコーヒーは何だったのだろうと感じたことがたくさんありました。例えば、コピ・ルアクです。同じようにインドネシアへ「コーヒー豆を追いかけて」いった中根光敏さんは、『珈琲飲み 「コーヒー文化」私論』(洛北出版:刊 2014)でコピ・ルアクを最高に美味しい珈琲としていましたが、原田さんは《とりたてておいしくもない》と斬り捨てています。これだけ正反対の意見を聞くと、まだコピ・ルアクを飲んだことがない私は、どちらが本当なのかわからなくなりました。値段が高いコーヒーは美味しいはずとする人に「ボーっと飲んでんじゃねーよ!」と言いながら、私もコピ・ルアクを飲んでみようと思います。
 
また、『コーヒー豆を追いかけて』にはインドネシアのスマトラ島でフェアトレードに参加したアプロ生産組合が出てきます。私は、アプロ生産組合の人々がフェアトレードで暮らし向きが良くなった話になると思って読み進めました。ところが、アプロ生産組合はフェアトレードの資格を取り消されてしまい、代わりに原田さんたちが「ピープル・アンド・グリーンビレッジ」(略してPGV)という活動団体をつくって支援を続けているそうです。原田さんは、《国際的なフェアトレードという支援があるし、自分たちでもできることから取りくむ支援もあります。その両方があってこそ、人びとの暮らしを少しずつよくしていけるのかもしれない》と書いています。でも、この本は「(認証の資格を得る)フェアトレードだけではコーヒー生産地の暮らしはよくならない」ことを示したのだと私は思います。私は、「まずはフェアトレードコーヒーに関心を」とばかり言っている喫茶店のマスターへ、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言ってやりたくなりました。そして『コーヒー豆を追いかけて』を読み終わった私は、まだまだコーヒーが抱える社会的な問題を追いかけていきたいと思いました。
 リカちゃんに叱られる (2)
 
いかがでしたか? 今までリカちゃんのように考えたこともなかったという人、コーヒー業界にもコーヒー愛好者にも多いのではないでしょうか? リカちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られますよ。
 
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コメント

No title
嶋中労 URL [2018年04月15日 19時11分]

帰山人様
暖衣飽食がもっぱらで、ただべんべんと生きながらえているだけの私めは、リカちゃんの「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という叱声がやけに身に滲みます。もっとシャキっとしたいのですが、つい惰性に流れ、怠惰な生活に骨がらみになってしまいました。もう一度吉野源三郎でも読み返し、「我いかに生くべきか」を模索したいと思います。お酒でも飲みながら……

to:嶋中労さん
帰山人 URL [2018年04月16日 01時33分]

労師、老身にて飽衣美食を自戒されることは要りません。悪衣悪食を恥じる者は論じ合うに足りないと孔子は言いましたが、つまり、衣食に拘って正してもバカはバカ、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という意に私は解しています。どうぞ美味しいお酒を召し上がってください。
一度は引退を宣言しながら恥知らずにも『君たちはどう生きるか』なる題名で未練の駄作を遺そうとする宮崎駿、《ただべんべんと生きながらえている》とはあのような老害を指すのですよ。労師は耄碌するに早すぎます。

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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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