無慈悲の津波

ジャンル:ライフ / テーマ:ひとりごと / カテゴリ:あ・論廻 [2018年03月11日 14時46分]
2018年3月11日、2557日前に東日本大震災が発して、866日後に東京五輪が発する。人の暮らしは、揺れ、崩れ、破れ、流れ、焼け、爆ぜ、凍え、埋もれ、朽ちてきた。そこに「復興」はない。
 無慈悲の津波 (1)
 
 《1964年の東京オリンピックのときに、銀座を全裸で疾走するパフォーマ
  ンス〈五輪性火白面フリチン走り〉を行い、精神病院に収容されたダダカ
  ンこと糸井貫二のように、いまこの国では2020年に向けて、「社会包摂」
  という名の下で、異質なものは周到に排除されていく運命にある。(略)
  事態は少しずつ動き、ゆったりと気づかぬうちに人々は慣らされ、少しで
  もノイズがあれば嫌悪感をいだくようになっていく。代わりに街や人は美
  しいもので溢れかえる。では、その美しさを守るために排除されたものた
  ちは、一体どこへ向かうのだろうか。》 (櫛野展正 「2020年を蹴っ飛ば
  せ!!!」/芸術批評誌『REAR』(リア)38号 特集「障害と創造」 pp.93-94
  /リア制作室:刊 2016)
 
《「社会包摂」という名の下で、異質なものは周到に排除されていく》、それは内田樹が言う《これから後「無慈悲で不人情な社会」が行政主導・メディア主導で創り出されてゆく》(『サンデー毎日』 2018年1月21日号・3月11日号)ということである。
 無慈悲の津波 (2)
 
 《敗退局面で「どうやって被害を最小化するか」と考える人間は「敗北主義
  者」と呼ばれ、「おまえたちの悲観論が敗北を呼び込むのだ」と激しく攻
  撃される。だから、この期に及んでなお五輪とか万博とかカジノとかリニ
  ア新幹線とかいう「起死回生の大博打」で劣勢を回復しようとする底の抜
  けた楽観論が幅を利かせる。》 (内田樹 「衰退局面を直視して」/『東京
  新聞』 2018年3月7日)
 
」と「おもてなし」を連呼して「インスタ映え」を貪る社会には、「原発はバクハツだ!」という泣き笑いから目を逸らし、耳を塞ぎ、口を噤みながら「大変が続いている」。《五輪とか万博とかカジノとかリニア新幹線とかいう「起死回生の大博打」》は、人類文明のささやかな「終活」なのだろうか?
 無慈悲の津波 (3)
 
神様、仏様、長年の慈愛美味しゆうございました。凶変、災厄も美味しゆうございました。ブドウ酒と甘茶美味しゆうございました。支那様、冊封美味しゆうございました。米国様、占領美味しゆうございました。又二つも原爆ありがとうございました。先進諸国様、資本主義に便乗させて戴き有難うございました。拝金美味しゆうございました。天皇様、皇后様、お気を煩わして大変申しわけありませんでした。大統領、国王、首席、書記長、将軍、立派な人になって下さい。神様、仏様。日本はもうすつかり疲れ切つてしまつて走れません。何卒お許し下さい。気が休まることもなく御苦労、御心配をお掛け致し申しわけありません。日本は野や山や川や海に抱かれて、そして笑い声を聞いて暮らしとうございました。
 
人の暮らしは、揺れ、崩れ、破れ、流れ、焼け、爆ぜ、凍え、埋もれ、朽ちるだろう。そこに「復興五輪」もない、いや、あるべきでない。《衰退局面を直視》する機がやってきた。目障りなものに目を瞠(みは)り、耳障りなものに耳を欹(そばだ)て、「絶滅しない危惧種」である人類がようやく滅びゆくさま、それを楽しむ機がやってきた。
 
 いき途絶え 無慈悲の津波 嗤う春
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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