私的珈琲論序説~(3)深煎り派 その1

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:私的珈琲論序説 [2009年02月06日 00時05分]
(3)深煎り派
 
「深煎り」は、「グリーンビーンズ」や「直火焙煎」を論ずるよりも、
その概念が明確に物理として規定できないだけに、更に厄介な話である。
その上で私が「深煎り派」を自称するのは、
大手ブランドはもとより自家焙煎の喫茶店や豆売店の焙煎豆に比して、
およそ煎りが深い方の類であろう、という推定による。
 
いうまでも無く、コーヒーの生豆は焙煎を深くすればする程、
黄褐色から褐色、茶色、焦茶色とより黒っぽい焦げ色で仕上がる。
そこで、焙煎の深さ(以下、焙煎度という)の客観的な表現として、
巷でほとんどの場合、L値やアグトロン値で示されることが多い。
 
確かに破砕前の豆の表面色や破砕後の粉の色を
焙煎度の尺度とすることは合理的ではあるが、過信は禁物である。
 
私にとって、豆をどの深さまで焼くかという意味での焙煎度は、
どこまで焼くとどんな味や香りになるのかという「味づくり」の為に
腐心し熟慮するわけで、豆を何色にしたいか、が目的ではない。
ところが、この当然とも言える観点で考えると、L値やアグトロン値は
「味づくり」の指標としては極めて曖昧な基準でしかなく、
他人の焼いた豆と比べる場合においてはほぼ意味をなさない。
 
これは、ある焙煎度のコーヒー豆の味や香りを規定する要素が、
豆に加えられた総熱量、そして熱が加えられた過程(時間・順序)、
などによることが大きく、それが豆色の変化とは整合しないからである。
 
自家焙煎をする方で、上記の意味がピンとこないのならば、
以下の実験をされてみるとわかりやすいと思う。
常日頃の焙煎火力よりもはるか桁違いに火力を弱め(強め)て、
どんなに時間が延びようが(縮もうが)、いつもの焙煎度の
豆色(L値やアグトロン値)で焙煎を完了する。
そして、常日頃と同様にコーヒーを淹れる(カップテストする)。
理解している者には当然であるが、いかに豆色が、
「味づくり」の基準に頼りなく過信できない要素かが理解できるハズだ。
 
そして、これは色に限らず、豆のシワや膨張度合などにも当てはまる。
「味づくり」としての焙煎度は、豆の見面(色・シワ・ツヤ・大きさ)の
特定要素に基準を固定し依拠しすぎると、皮肉なことに、
本来の目的から逸脱してしまい、ウマイ珈琲はできなくなるのである。
(続く)
 
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コメント

きっかけ
モカ吉 URL [2016年04月28日 13時10分]

いつも楽しく拝見させてもらってます。

大変身勝手な質問なのですが
帰山人さんが珈琲にハマったきっかけが知りたいです。

もしよかったら教えてください。

to:モカ吉さん
帰山人 URL [2016年04月28日 15時19分]

お楽しみいただけて幸甚に存じます。
《珈琲にハマったきっかけ》…私には明瞭なきっかけの憶えがないのです。それ以前に、自嘲気味に「珈琲狂」などとも称していますが、正直なところ現在でも《珈琲にハマっ》ていると思っていないのです。自分の基準では、こと足れりとは全くならないのですから。今後にきっかけが見つかればなぁ…

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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