東京弛馳 前篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年12月04日 23時00分]
ゴトガタゴトと鉄橋を渡る東武電車の音を聞きながら、朝の隅田公園でネルドリップ。スカイツリーの脇から昇った朝陽でキラキラと輝く隅田川を眺めながら珈琲を喫すると、夜行バスで凝っていた体が弛んでいく。《飲みだしたとき、もう一杯飲んでもいいと思うのに、飲みおわったとき、それだけでよくなってしまうのが、おいしいコーヒーだ》と、植草甚一は言っていた。植草甚一(1908-1979)の歿後38周年となる冬の日は新暦で師走、私は弛んだり馳せたりして弛馳(しはす)の珈琲を東京で想う。
 東京弛馳 (1)
 
【JCS年次集会前日】 2017年12月2日
 
 東京弛馳 (2)
「café Bach」(カフェ・バッハ)へ。シャッターが開くと同時に入り、ホット・モカ・ジャバを注文して煙草を喫する。新聞からふと目を上げると、もう満席。雑誌を読みながらホット・モカ・ジャバを味わう頃には、もう外まで待ち客。近在の常連客も海外からのグループ客も、皆が馳せて来てコーヒーで弛む好い朝。荷を預けに隣の宿「ほていや」へ寄ればチェックインOKの計らい、皆が馳せて来て人情で弛む好い街。トレセンへ行って中川文彦氏とコーヒー談議。
 
 東京弛馳 (3) 東京弛馳 (4)
煙草を喫しながら神田川を眺めて思う…昨年の日本コーヒー文化学会(JCS)前日は和泉橋の北側にあるアジトで臼井隆一郎氏と対談したが、今般は川の南側で催されている「岩本町・東神田ファミリーバザール」を覘いてみよう。人出と売り声の賑わいに混じりながら、美倉橋まで柳原通りを往復して遊び歩く。近くで昼飯を食べてから、電車で都心を横断。
 
 東京弛馳 (5)
「慶珈琲」(ヨシコーヒー)へ。(Web記事で開業は知っていたが)自宅を出る直前に届いた手紙で大坊勝次氏曰く、《元従業員 宮澤慶広が珈琲店を出しました。上京の折に寄って下さい》と。富士見ヶ丘駅南口から神田川沿い月見橋のたもとの店まで80m。満席の中で「ブレンドの1番とチーズケーキ」を注文、その自らの声に大坊珈琲店を懐う。小山伸二氏が来て「やぁどうも」。キレのある深い味わいのブレンドを「大坊さんと豆の構成が違うね」と宮澤さんに質していると、当の大坊勝次氏も来店。ではと席を移して大坊さん小山さんとコーヒー談議。店を出て駅で小山さんと別れ、目論見が一致して大坊さんと同道。
 
 東京弛馳 (6)
「Tram」(トラム)へ。古屋達也氏に苦笑で迎えられ、大坊さんと並び座る。ブレンドのデミタスを喫しながら、大坊・宮澤・古屋3氏の焙煎の変遷と香味の差異、各々の企図をどう読んで実態を如何に評するか、遠慮も妥協もなく大坊さんと論じ合う。大坊さんが去った後は、居合わせた片野行介氏とコーヒー談議。初対面ながら手廻し釜で深煎りを愛好する者同士として焙煎論を広く深く熱く語り合い、古屋さんに苦笑で送られる。とうに日暮れた恵比寿駅で片野さんと別れて、神田駅で夕飯を食べてから宿へ向かう。
 
山谷の宿へ独り戻りながら、コーヒー店を訪ねて味わい遊び、コーヒー愛好者たちと会遇して喋り遊んだ一日を想う。《飲みだしたとき、もう一杯飲んでもいいと思うのに、飲みおわったとき、それだけでよくなってしまうのが、おいしいコーヒーだ》と、植草甚一は言っていた。けれども、飲みおわったとき、それだけでいいと思うのに、しばらくすると、また飲みたくなるのが、さらにおいしいコーヒーだ。だから、弛んだり馳せたりして弛馳(しはす)の珈琲を東京で想う日は続く
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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