シン・コシラ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年04月16日 01時00分]
映画『シン・ゴジラ』(2016年)は「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」などという惹句を掲げていたが、コーヒーの世界に必要なものは虚構の‘ゴジラ’ではなくて現実に‘コシラ’(拵)えることだ。時に新たに、時に神へ、常から真に、手間(てま)隙(ひま)をかけて材を用い形を整え意を注いで作る…「シン・コシラ」こそ欲するべきなのだ。
 
 《あまりにもぶざまだ。11日、東芝は2度にわたって延長していた20
  17年3月期の第3四半期決算(16年4~12月)をようやく発表した。
  だが、監査法人の承認を得ていない前代未聞の決算発表となった。
  東芝の綱川智社長は、「あらためて(期限を)延長しても(監査法人
  から)適正意見をもらえるメドが立たない」と泣き言のような説明を
  した。》 (『日刊ゲンダイ』 2017年4月12日)
 シン・コシラ (1)
 《パナソニック株式会社は、1月19日発表のコーヒーサービス事業
  「The Roast」についてサービス開始日を次の通り延期させていた
  だきます。 〈当初〉2017年4月上旬 → 〈変更〉2017年6月上旬 
  スマートコーヒー焙煎機本体の一部部品において、調達上の課題
  が発生したため当初設定していましたサービス開始日程を延期し
  ます。》 (パナソニック株式会社 プレスリリース 2017年4月12日)
 
あまりにもぶざまだ。パナソニックは1月19日発表のコーヒーサービス事業「The Roast」について、《焙煎機の開発ではイギリスのベンチャー企業「IKAWA」社と技術提携し、豆の特長を引き出すための、きめ細かな温度・風量制御、さらには使い勝手の良さを実現しました》と言っていたが、焙煎機の部品調達のきめ細かな制御に失敗、さらには手前勝手な販売延期を実現した。《厳しい品質管理と安全基準で選定した世界中の良質なスペシャルティ豆》を提供するはずの石光商事、《1種類の豆に焙煎度の異なる2~3パターンを作成》するはずの後藤直紀、これら提携した者も、事業発表の時には自ら喧伝したが発売延期については沈黙している。あまりにもぶざまだ。東芝を他山の石として、パナソニックらは泣き言のような説明を止めてコーヒーサービス事業から撤退した方がよい。コーヒーの世界を拵える資格がないのだから。
 
 《…デンバーのBext Holdings Inc.は、これらの農家が豆の公正な
  価格に見合う代金を容易にかつ迅速に得られるようにしたい、と考
  えた。同社は、見たところ高級な秤(はかり)に見えるモバイルのロ
  ボットを作った。バイヤーはこのロボットを農家の農地で使ってコー
  ヒー豆の品質を分析し、計量する。ロボットは一回分(30~40ポン
  ドの袋に詰める)の豆をサイズで選り分けて、良品の比率を計算す
  る。そして優・良・可などのマークをつける。もちろんそのマークは、
  バイヤーと農家の両方に見える。そして彼らは、Bext360のモバ
  イルアプリを使って公正価格を交渉する。同社のアプリとクラウド上
  のソフトウェアは、Stellar.orgのブロックチェーン技術を使って、豆
  の生産者生産地、バイヤーと支払い金額、などを記録する。CEO
  のDaniel Jonesによると、コーヒーを飲む人も、カップ一杯ごとに、
  コーヒーの産地や、農家が公正な代金をもらったかどうかを、分か
  るべきだ、という。“そうすれば、消費者はこれまでになく啓蒙される。
  そしてコーヒー業界の企業は、彼ら消費者の高いスタンダードを満
  たそうとする”、と彼は語る。》 (Lora Kolodny 「コーヒー豆の等級
  分けロボットとブロックチェーンを使って生産農家に公正な支払いを
  するBext360」 岩谷宏:訳/Webサイト『TechCrunch』日本版
  2017年4月12日)
 シン・コシラ (2)
 
あまりにもひどい。ロボットに《優・良・可などのマーク》で選別される生産者。モバイルアプリで《農家が公正な代金をもらったかどうか》を確かめながら飲む消費者。農民は誰のために何に向かってコーヒーを作っているのか? 喫する者は何のために誰と向き合ってコーヒーを飲むのか? コーヒーを拵える道理も、コーヒーを嗜む意義も、ダニエル・ジョーンズはわかっていない。あまりにもひどい。Bext360は設置されるごとに破壊された方がよい。コーヒーの世界を拵える資格がないのだから。
 
 シン・コシラ (3)
コーヒーの世界に必要な「シン・コシラ」は、どこにいるのだろう? 恰好だけの‘クール’は要らない。流行だけの‘スタイリッシュ’も要らない。それらは空疎を隠す欺瞞だから。手間(てま)隙(ひま)をかけて共に謀って拵える「シン・コシラ」のコーヒーを私は飲みたい。勿論「シン・コシラ」の菓子も食べたい。
 
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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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