毒物でも手落ち

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2017年02月19日 01時30分]
《通常のドリップコーヒーは約10グラムの豆を使い、140シーシーのコーヒーを抽出する。僕の好むのは30グラムで70シーシー、つまり通常の6倍の濃度のコーヒーです。淹れる際、60度の低温のお湯を使い、ネルドリップで手落としする。蒸すだけで6分、抽出に3分、そうして淹れたコーヒーは、まるでビターチョコのような甘さがある!》と、冠城亘は言い立てる(「相棒」14 第2話「或る相棒の死」)。だが、その《手落とし》は3秒で70シーシーに達しそうなほど手を抜いた注湯であり、どうみても《ビターチョコのような甘さがある》とは思えない。冠城亘が抽出する液体こそが、新たな劇場版の予告編で《1リットルの液体が気化すると50万人分の致死量となります》と言われている毒物ではないのか?
 毒物でも手落ち (1) 毒物でも手落ち (2)
 
『相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』 観賞後記
 
 毒物でも手落ち (3) 毒物でも手落ち (4)
『相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』(2008)で《打つべき手は打った。責任を負う必要は無い》とでも思ったのか、《僕の進む道を変えるわけにはいきません》と『相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜』(2010)で興収と動員を3割も落とし、《何をしたんですかぁ》と言いたくなる『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』(2014)で興収と動員を第1作の半分以下にして《まさかこんなことになろうとは》…監督の和泉聖治と脚本の戸田山雅司・輿水泰弘はクビ? で、太田愛の脚本で橋本一を監督にした今般の『相棒 -劇場版IV-』は、昔日に日本政府の‘高度な政治的判断’で事件を闇に葬られて見捨てられた者がスポーツ関連の催事で無差別大量殺人を企む復讐劇だ…って、1作目の焼き直しじゃないか! こんな風に相棒の物語を粗末にしてはいけない。たとえネタ枯れであっても、スタッフは最後の時まで慮るべきです、いや、慮ってください!
 
 毒物でも手落ち (5) 毒物でも手落ち (6)
国際犯罪組織「バーズ」の首魁レイブンを追う「国連犯罪情報事務局」元理事マーク・リュウがレイブンだとは言わないで特命係に案内役をさせる警視庁総務部広報課長の社美彌子(仲間由紀恵:演)、国際犯罪組織の最後のシゴトがテロ‘未遂’事件を起こすことだったレイブンことマーク・リュウこと天谷克則(鹿賀丈史:演)、9億円の身代金を要求する動画で鷺沢瑛里佳(山口まゆ:演)が持つ新聞の「世界スポーツ競技大会閉幕」の見出しに反応しないまま捜査して殺人を繰り返してきた天谷克則を命懸けで守って《到底許されることではありませんよ》とは言わない警視庁特命係係長の杉下右京(水谷豊:演)…「相棒」の劇場版は設定の矛盾を無視した。今回観てみれば、大勢の人々が見守る中で、映画人の誇りが砕け散っていた。『相棒 -劇場版IV-』は、社会派を気取っても手落ちのある「相棒」らしいドラマとして佳作である。だとすれば、冠城亘(反町隆史:演)がTVシリーズで《手落とし》した《あまり高くない豆をブレンドして、ブルーマウンテンに近い風味を再現してみました》というコーヒーも、映画と同様に毒物でも手落ちだろう。いずれも、一笑に付そう。
 
 毒物でも手落ち (7)
今般に『相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断』を観賞した映画館「春日井コロナシネマワールド」は、2017年2月26日に閉館する。1983年3月19日に複合施設「春日井コロナ会館」の映画館として開設され、2001年4月に「コロナワールド」へ改装されたが、33年余にわたって続いた(シネコンと称してシネコン臭がしない)「映画館」が消えていく。この映画館で何百本の映画を観たのだろう? ‘最後の決断’として『相棒 -劇場版IV-』を選んで「春日井コロナシネマワールド」のシネマ1(定員302人)で観た。‘人質は50万人!’の映画の観客は10人! こんな風に映画館の命を粗末にしてはいけない。たとえ不振の身であってもコロナは最後の時まで生きるべきです、いや、生きてください!
 
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鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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