僕はコーヒーがよめない4

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年02月11日 01時00分]
コーヒーが「のめない」のか、それとも「のまない」のか、それが問題だ!…それも問題だが、コーヒー漫画が「よめない」のか、それとも「よまない」のか、それも問題だ! 『週刊ビッグコミック スピリッツ』(小学館:刊)に連載され、ビッグコミックスとして単行本化されてきた『僕はコーヒーがのめない』(福田幸江:作 吉城モカ:画 川島良彰:監修)は、2017年1月30日発売の第7巻で完結、改め一気読み。
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[あらすじ] 無類のコーヒーオタクである花山太一には、電機部品の町工場を畳んで「花山焙煎所」を営み超浅煎り焙煎をする花山大吉の息子、飲料メーカー「東京ドリンクカンパニー」(TDC)で女子社員からお地蔵さんと呼ばれている社員、最高級のコーヒーを味わう会員制組織「レッドダイヤモンドクラブ」(RDC)の会員、という3つの顔がある。花山太一の先輩社員である加賀谷俊介は、TDC創立50周年の記念企画としてサードウェイブプロジェクトを立ち上げ、天堂周伍郎が率いるRDCとの「王様コーヒー」対決に勝利して、TDCを辞めてポートランド発祥のストックトンコーヒー陣営へ移った。花山太一はTDCに残り、コロンビアのバスケス農園で「飲んだ人が幸せになれるコーヒー」を目指したコーヒー畑を作った。
 
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「僕はコーヒーがのめない」は、コーヒー漫画として‘王様’であろうか? とんでもない。それは「のめない」話だ。いや、監修がホセ(川島良彰)であるから、コーヒーに造詣を深くする情報源としては使える。だが、‘漫画’としては、出来があまりよろしくない「バリスタ」よりもさらに酷い。何故か? 画がダメだから。作画を担当した霜月かよ子は、連載前にTwitterでこうつぶやいていた。
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 《すでに講談社のKiss編集長ブログに告知されていますが、漫画家の
  こやまゆかり氏がネーム原作の18世紀のフランスが舞台の漫画が
  新雑誌で始まる予定です!》 《あと、それよりも先に別の漫画も連
  載スタート予定です。今までとは全く毛色の違う作品です。掲載日が
  わかり次第改めて告知させていただきます。》 《掲載はまだまだ先
  ですがオリジナル作品も進行中です! 多分年末あたり…になりそ
  うな予感。》 (2014年3月22日 @shi_moon11)
 《私は『吉城モカ』という新名義でやらせていただきます~。霜月かよ子
  とは違って暖かい絵柄に。》 (2014年4月21日 @shi_moon11)
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《漫画家のこやまゆかり氏がネーム原作の18世紀のフランスが舞台の漫画》とは「ポワソン 寵姫ポンパドゥールの生涯」(隔月刊誌『ハツキス』連載:2014年7月号~2016年11月号/講談社:刊)であり、《オリジナル作品》とは「クドラクの晩餐」(月刊誌『ARIA』連載:2014年12月号~2015年11月号/講談社:刊)である。これらに先行した「僕はコーヒーがのめない」は、《今までとは全く毛色の違う作品》であり、だから《『吉城モカ』という新名義で》挑んだのだろうが、これが裏目に出た。霜月かよ子は、決して絵がヘタな漫画家ではない。いや、描線などは上手な方である。但し、線が細いのでやや暗い背景に動きが少ないシリアスな描写が合っている。これを‘吉城モカ’の「僕はコーヒーがのめない」は自ら封じてしまった。描線を省いて背景を抜いたコマを多用した結果、《霜月かよ子とは違って暖かい絵柄に》したハズが、弱弱しい絵柄になってしまった。それも、主人公の花山太一を描いたコマで‘霜月かよ子’を封じたために、必要以上にストーリー全体が弱弱しくなって迫力に欠けた漫画になったのである。
 
さらに踏み込んで評すれば、「僕はコーヒーがのめない」における小学館の編集部の罪は重い。原作を担当させた福田幸江が、いわゆる‘対決もの’よりも登場人物が身を置く場を移していく‘葛藤もの’に技があることは新「味いちもんめ」のシナリオをみればわかりきったことだろうに。作画を担当させた霜月かよ子が、その本領を発揮する画技と意欲の軸足を講談社へ移すことはわかりきったことだろうに。原作と作画の布陣からして欠格であった「僕はコーヒーがのめない」は、コーヒー漫画として‘王様’どころか‘ディフェクト’だらけである。関係者はコーヒー漫画が「よめない」のか、それとも「よまない」のか、いずれにしても問題だ。できることならば、おやまけいこを改作者にして、(吉城モカではない)霜月かよ子を作画者にしたリメイク版「僕はコーヒーがのめない」を私はよみたい。
 僕はコーヒーがよめない4 (5)
 
コーヒー漫画の中にも「のめない」話があるのも仕方がないが…しかし、「のめない」からといって「よまない」ワケにはいかない。但し、コーヒーの世界には先が「よめない」コトもある。
 
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コメント

じょにぃ URL [2017年02月12日 18時16分] [編集]

帰山人さん。

醍醐さんは大坊さんと言うのはわかるのですが
花山父は外見がと言う意味で誰がモデルだったのでしょうか
それかモデルはなく超浅煎りと言う昨今の流れを総称(皮肉ってる?)して
花山父を生み出したのでしょうか


今、世界征服は珈琲のあとでを読んでいるのですがスチームパンクが出てきました。
おそらくマンガでスチームパンクが登場したのはこれが初めてではないでしょうか。
蒸気で作ると書かれてあって
ん?そうだっけ?名前は確かにスチームってあるけど
私も見たことありますが
確かエアー出せたり機械式サイフォン見たいな感じだったよなぁ。最後に蒸気で押し出すんだったかなと。
これに限らず結構端折って説明するのをよく見るのですが
それが一般人に誤解を招く原因になってるよなぁと感じます。
色んなものを題材にして本にしてもらうのは結構ですがちゃんと勉強してんのかなと思う事が珈琲に限らず多々あります。

to:じょにぃさん
帰山人 URL [2017年02月12日 22時51分]

花山大吉にモデルがあるのかどうか、私にはわからないし興味もないです。
「世界征服は珈琲のあとで」には《蒸気で珈琲を抽出する》とスチームパンクを説いていますね。コレをどこまで突っかかるのか、難しいところ。粉に触れる溶媒は水(湯)であって蒸気ではない、それを誤解させてはいけない…でも、それはほぼ全ての抽出方法(抽出機器)にあてはまる。蒸気圧を(湯の移動に)使うという意味では、Alpha Domincheのスチームパンクは最初も途中も最後も使っています。
確かに《ちゃんと勉強してんのかな》ということは世の中に多いけれど、誰に何を解してほしいのか、そこを《ちゃんと勉強して》から突っかかるべき度合を考えましょう。
漫画でスチームパンクのコーヒーが登場したのは、「快傑蒸気探偵団」の方が早いと存じます(コレは冗談ね:笑)。

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Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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