珈琲ドシャメシャ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年05月10日 01時00分]
先日、我が家で、カミさんが「スーパー!ドラマTV」で犯罪捜査ものの海外ドラマを観ていた。スマホから顔を上げた娘がカミさんに「おかん、ローアンドオーダー?」と訊ねた。カミさんは「もぉ全然ダメ、コレ無しだと新聞も読めないわ」と答えながら眼鏡を触った。2つの間違いがあった。カミさんの視聴していたドラマが「LAW & ORDER:犯罪心理捜査班」(Criminal Intent)なのかと娘は訊ねたが、観ていたのは「クリミナル・マインド」(Criminal Minds)だった。だが、それはどちらでもよい。カミさんの答えは、「おかん、老眼はどうだ?」と訊かれたと思ってのことだった。恐るべき「空耳アワー」に、私は喫していたコーヒーを噴いた。
 珈琲ドシャメシャ (1)
 
先日、UCCカフェメルカードやローソンで、「ゲシャゲイシャ」(Gesha Geisha)というコーヒーが販売されたらしい(私は飲んでいない)が何だろう? エチオピア・ゲシャあるいはエチオピア・ゲイシャではダメなのか? 「ジェマドロ」(Gemadro)などとも違うのか? ゲシャゲイシャとはドシャメシャみたいなものか? 山下洋輔らのドシャメシャにはドシャメシャなりの理法と秩序が存在するが、ゲシャゲイシャにはローアンドオーダーがあるのだろうか? ゲシャゲイシャが、グガングガンダパトトン・ギャバシュビキョモカケケ・キャンキョンカリコレカリコレ・シャバドビウビシャバドビヤ・テペパテピテパタピテピタ・スバラバな香味ならば飲もう。
 珈琲ドシャメシャ (2)
 
 《昭和の初期、牛込赤城下に住んでいた頃である。神楽坂の「田原屋」
  へ、高田保チャンと、よくコーヒーを飲みに出掛けた。 彼もコーヒー好
  きだったので、時には、お代わりをして二杯のむようなことも屡々あっ
  たが、いつも逢う芸者が一人いた。ところで、その芸者は、やっぱり、
  珈琲をのんでいるのだ。 なんべんも逢うので、自然と彼女もボクらの
  顔を見知ってか、いつしか、逢うと軽く会釈をするようになった。ある日
  のこと、──「あんたも、いつも珈琲をよく飲んでいますね……」と、声
  をかけると、その芸者が、──「妾(わたし)は、毎日、四、五回コーヒー
  を飲むのです。夕方、お座敷へ出る前には、ここで二杯ぐらいコーヒー
  を飲むこともあるんですよ……」と笑って答えるのだ。 その頃のコー
  ヒー代は、一杯、十五銭だったが、一日に、五、六杯のコーヒーを欠
  かさずに飲むとなると、一円ぐらいから散財することになるわけだ。
  その頃は、十五円も出せば、酒も充分に飲み、一晩、待合で泊れる
  ような時代だったから、一円というコーヒー代は、相当の金額だった。
  まさに「珈琲芸者」という称号を贈ってよいとおもった。彼女の名前は、
  つい訊きもらしたが、懐かしい珈琲仲間の一人だ。》
  (寺下辰夫 「珈琲芸者」/『珈琲飲みある記』 柴田書店:刊 1962年)
 珈琲ドシャメシャ (3)
 
1931(昭和6)年にエチオピアでゲイシャが採集された頃には、寺下辰夫は田原屋で「珈琲芸者」を見出していたようだ。この《毎日、四、五回コーヒーを飲む》芸者が神楽坂の旧検(民政党派)・新検(政友会派)のいずれの検番に属していたのかは判らないが、当時の花柳界にもそれなりのローアンドオーダーがあったはずで、コーヒーのゲイシャは日本から始まったとしても‘空耳’ではあるまい。カミさん同様に耳も目も衰えてきた私だが、まだまだ笑ってコーヒーを喫したい。ゲシャゲイシャなんてわけのわからないシロモノも含めて、コーヒーをドシャメシャに飲もう。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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