翡翠のコーヒー

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年04月17日 23時00分]
2000年3月18日、フランスの風景を中国の古墨で描いた日本画の企画展の会場で、一夜限りのフレンチレストランが開かれた。このクリエイションZAG(名古屋市東区)で催された晩餐会は、ソムリエがオーナーであるレストランの開業の予告と料理の試行を兼ねていた。友人の近藤マリコ氏が企画したもので、カミさんと食事を楽しんだ私は、食後のコーヒーを担当した。自宅で焙煎してきたモカ・マタリを、会場で淹れて供したのである。同年の後日、ソムリエの那須亮氏は、‘翡翠’(カワセミ)を店名に冠したレストランを名古屋市千種区に開いた。
 
あの一夜限りのレストランから17年が過ぎた2017年3月18日、私はカフェ・バッハ(東京都台東区)でシュークリームをおやつにしながらコーヒーを飲んでいた。そのコーヒーは中国雲南省瑞麗の江東農園のもので‘翡翠’(ひすい)という名が冠せられていた。私は数日前に受けた近藤マリコ氏の依頼を思い出した。曰く、「那須亮氏が還暦を迎え、それを言祝ぐ晩餐会を店とは別の場所で一夜限りで催す。ついては食後のコーヒーを供せよ」と。‘翡翠’を飲みながら、那須氏が生まれた「昭和32年」をドレスコードとする晩餐会で担うべきコーヒーを練った…
 
 翡翠のコーヒー (1) 翡翠のコーヒー (2) 翡翠のコーヒー (3)
2017年4月16日、「那須亮・還暦祝ディナー」が催されている会場の太洋ビル(名古屋市東区)に闖入(?)し、食後のコーヒーを担当した。ドレスコード「昭和32年」に関しては、中南米のコーヒー生産7ヵ国の輸出割当協定「メキシコクラブ」が1957年7月に結ばれたことに因んで、7ヵ国から選んだ豆をブレンドしたコーヒーとした。ティジュコ(ブラジル)とブエナヴィスタ(コロンビア)とセントタラス(コスタリカ)とモンテクリスト(ニカラグア)とサンタリタ(エルサルバドル)とマリランディア(グァテマラ)を等分に、協定の開催国産であるシエラミステカ(メキシコ)は倍量に、7種類の生豆を手廻し釜で混合焙煎したものを用意した。抽出は、ヤグラ掛けしたネル布での「打ち返し」(二度濾し)、それも「半返し」を披露することにした。デザートのシュークリームとワインが供された後に、「メキシコクラブ」や「打ち返し」、そして昭和32(1957)年の喫茶店でのコーヒーの値段が1杯50円(ラーメンは45円、映画観覧は140円)だったことなど雑話を晩餐会の参加者に説いてから、コーヒーを淹れて供した。
 翡翠のコーヒー (4) 翡翠のコーヒー (5) 翡翠のコーヒー (6)
 
晩餐会の終了後、ロールアップしたパンツの下から赤い靴下を見せていて正に‘翡’(カワセミ)姿の那須亮氏と歓談、それから会場を去った。‘翡翠’の那須亮氏と企画した近藤マリコ氏が関わる晩餐会での17年ぶりのコーヒー提供は、60年前の国内外のコーヒー事情を改めて考証することにもなった。私自身のコーヒー探究にとっても好い機会だったなぁ…帰宅後、土産に頂戴したワインと菓子を取り出しながら、「メキシコクラブ」と「打ち返し」で懐古と優美が合い立つ一夜限りの‘翡翠’のコーヒー、その味わいを想い返した。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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