コーヒー界のアップル

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2015 [2015年01月28日 01時00分]
「青瓶帰れ」…私は2015年の正月2日に、Web書道で書き初めた。だが、ブルーボトルコーヒーは来る(日本1号店2015年2月6日開業予定)。創業者ジェームス・フリーマンが《日本の喫茶文化に魅了されながら発展してきた》などと繰り返し嘯きながら、ブルーボトルコーヒーは日本へ来る。ブルーボトルコーヒーは、“コーヒー界のアップル”なのか?
  コーヒー界のアップル (1)
 
 《私は日本が大好きなんだ。京都も3回行ってる。日本のライフスタイルには学
  ぶ点が多い。(略)祝宴は銀座の老舗の寿司屋で行なわれた。カウンターの
  向こうにいたのが、その店の店主。(略)魚を切り、寿司を握る。店主の技術と
  情熱はすばらしかった。彼は魚のそれぞれの性質を知り尽くし、魚に対して尊
  敬の念を抱いていた。私はその日、人生で最高の寿司を食べることができた
  んだ(略)店をでるとき、私は直接店主にお礼が言いたくて、彼の姿を探した。
  でもどこにもいないんだ。仕方なく私は店の外に出た。その日はとても寒く、
  外には雪が舞っていた。私が用意された車に近づくと、すっとドアを開けてく
  れたのが、寿司屋の店主だったんだ。彼は私に深々と頭を下げた。彼はずっ
  と車の前で私が来るのを待っていたんだ。寒い中、コートも着ないで。(略)客
  に対する礼儀と尊敬。(略)アメリカで失われていたものを日本で見つけた。》
  (「私が銀座の寿司屋で学んだこと」/『TITLE』 2001年8月号/文藝春秋:刊)
  コーヒー界のアップル (2)
この発言は、ジェームス・フリーマンのものではない。スターバックスコーヒーを乗っ取ったハワード・シュルツの言である。再進出した日本での200号店(立川伊勢丹店)オープンを祝って来日した2001年時点でのエピソードである。その頃のジェームス・フリーマンは、食えないクラリネット奏者からの転身を計って、コーヒー屋でも始めようかと画策していた。それは、アップルに復帰した創業者スティーブ・ジョブズが、食えないコンピュータ屋からの脱出を、携帯音楽プレーヤー(ipod)で計っていた頃でもあった。だから、ブルーボトルコーヒーは、“コーヒー界のアップル”なのであろうか?…いずれにしても、ジェームス・フリーマンの空世辞など、ハワード・シュルツの親日リップ・サービスの周回遅れでしかない。
 
 《スターバックスと並び、シアトルを代表する企業と言えばマイクロソフト。シアト
  ルで生まれ育った生粋のシアトルっ子のビル・ゲイツは、郊外のレドモンドに
  会社を建て、高級住宅街メダイナに自宅を所有している。(略)さて、世界一の
  大金持ちとして名を馳せたビル・ゲイツだが、弁護士である父ビル・ゲイツ2世
  もまた、シアトルでは有名人だった。ここに不思議な縁がある。スターバックス
  会長ハワード・シュルツは、スターバックスを退職し、コーヒーショップの経営
  をしていたことがある。そして、1987年にスターバックスを買収するチャンス
  が訪れた際、投資家との大切な会談に同行したのが、ビル・ゲイツ2世だった
  のだ。》 (「ビル・ゲイツとスターバックスのエキストラホットな関係」/『TITLE』
  2001年8月号/文藝春秋:刊)
  コーヒー界のアップル (3)
アップルがガレージで創業したというデタラメを真に受けて、借りたガレージでコーヒーを焙煎して創業した、だからブルーボトルコーヒーを“コーヒー界のアップル”と呼ぶ…これには無理がある。アップルのipodを開発したジェームス比嘉が、ブルーボトルコーヒーに投資した、だからブルーボトルコーヒーを“コーヒー界のアップル”と呼ぶ…これにも無理がある。しかし、マイクロソフトとの《エキストラホットな関係》によって、スターバックスコーヒーを“コーヒー界のマイクロソフト”と捉えた場合には、どうであろうか?そのスターバックスコーヒーをジェームス・フリーマンは忌み嫌い続ける、だからブルーボトルコーヒーを“コーヒー界のアップル”と呼ぶ…これならば無理もない。以前に私は、《シュルツの返り咲き 急激に悪くなったサービス 久々に見た顔つき 死ぬ直前のジョブズと瓜二つ》と歌ってスターバックスコーヒーとアップルの相関を、《「ブルーボトルの夢」は、実は「スターバックスの夢」を追いかけているだけではないのか?ブルーボトルは“コーヒー界のスタバ”》と語ってブルーボトルコーヒーとスターバックスコーヒーの相関を、指摘した。そして今般、ブルーボトルコーヒーを“コーヒー界のアップル”と呼ぶべきか?…どうでもよい話である。 
  コーヒー界のアップル (4)
ブルーボトルコーヒーが日本へ来る、それは何を意味して、何がもたらされるのであろう? ブルーボトルコーヒーに対してメディアやコーヒー業界がみせる破廉恥で見苦しい狂騒に、“One bad apple spoils the barrel.”、“The rotten apple injures its neighbors.”という俗諺を想いだす。やはり、ブルーボトルコーヒーは、“コーヒー界のアップル”なのか?
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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