おかしな映画

ジャンル:映画 / テーマ:映画感想 / カテゴリ:観の記:映面 [2011年07月24日 23時00分]
出来損なったお菓子な映画『洋菓子店コアンドル』の次に期待していたお菓子な映画
館に貼ってあるポスターを見れば「文部科学省選定(少年向き、家庭向き)」とある…
この無粋で余計で興醒めする「選定」制度には反感しか覚えない私は意気阻喪だ。
まぁ文化芸術振興費補助金の助成を受けたヒモ付き映画なので已むを得ないのか?
 おかしな放浪 おかしな放浪 (2) おかしな放浪 (1)
 
『エクレール お菓子放浪記』 観賞後記
 
感化院、養母と映画館、旅回りの一座…主人公の少年アキオが移り過ごしていく話、
原作小説のクドクドとしつこい感じに反し、映画は駆け足に流され軽薄な描写で残念。
 
アキオを演じた吉井一肇、歌声は良しとしても、「覚えた台詞を言うだけで精一杯」な
感じの発声は、気の抜けた芸人のコントのようで物語世界への没入を妨げ不愉快。
だからといって、やたら情細やかに表現する最近のウマイ子役に替えてもダメだろう、
ここはやはり、性根の曲がった手に負えぬクソガキを殴り倒しながら演じさせるべき。
カワイ気のありすぎる吉井一肇クンによって、感化院も戦争も人の死も人の悪意も
カワイ気があって怖くない…「お菓子はやさしさを運んでくる。」という惹句はアタリ?
 
養母フサノを演じたいしだあゆみもマズマズ良いが、竹内都子が演じた映画館の
オーナー(?)トミ子が存外と良かった(同じシーンを3回も映すので印象も強いが)。
 
映画全体を通じて、喋っていない役者を入れた情景描写は美しくて好いのであるが、
人物描写の会話劇となると昭和期のTVドラマのように安い感じで全くつり合わない。
さらにクライマックスシーン後の原作に無い映画独自のエピローグは最悪であった。
それでも、菓子「エクレール」と歌「お菓子と娘」を話中でしつこく使っているのは好い、
お菓子な「映画」としては出来損なっているが、「お菓子な」映画としてはマズマズだ。
 
辛く評したようでも、作品自体の存在価値は充分にあるように私には思えた、但し、
今般この作品を上映展開するにあたって、必要以上に東日本大震災と結びつけた
解釈が後付けされている風潮には首を傾げたくなる。確かに私自身、観る以前から
「作品は作品として充分に楽しんだ後…製作関係者やエキストラの中に既に物故者も
いることを想いながら…」と記していた。しかし、関連配布されているチラシなどで
「映画『エクレール お菓子放浪記』が、今の時代に語ろうとしたテーマ…それは<支え
合う人の心のやさしさ>だったのでは…」とまで言われると、嫌悪すら感じてしまう。
完成後の震災により作品自体の価値をムリに裏付けることは、映画を冒瀆している。
ほろ苦くも美味しそうな「お菓子な映画」を、浅薄な解釈の風評で「おかしな映画」に
落して「おかしな放浪」をさせるなヨ、エクレールをムシャムシャと食べながら思った。
 おかしな放浪 (3)
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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