意表くさぐさJCS集会・後編

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年11月30日 05時00分]
2010年11月28日
  
【学会への長い道(3)~畏標かたがた】
 
南千住駅から歩くと、東京スカイツリーが告知通り正対するが想いの外視野に大きい。珈琲屋バッハでドンパチ農園(パナマ)を飲む、ゲイシャ種特有の酸味が太く強いなぁ。挨拶を受けた後にママ(田口文子氏)から衝撃(?)の報…本日学会に山内秀文氏は欠席! マスター(田口護氏)とバッハのセミナー会場へと向かい、受講者4名に紹介され、結局プロ用セミナーで畏友・田口護氏を標(しるべ)に放談する私、畏標を意表に遊んだ。
 
【学会への長い道(4)~意表くさぐさ】
 
「日本コーヒー文化学会(JCS) 第17回年次集会」 (於:学士会館)
 
集会は講演2題とDVD鑑賞、その後に分科会だが焙煎抽出委員会は中止だろうなぁ。受付で楠正暢事務局長から「チョット話が…山内さんも中川さんも欠席…知ってる?…で焙煎抽出の分科会は中止…なのだけれど、中止を止めて急でやってもらえない?」焙煎抽出委員会の代役進行の緊急依頼、無定見で勝手でよければと了承し集会に参加。
 
 JCS2010年次集会 (7) JCS2010年次集会 (8) JCS2010年次集会 (9)
講演Ⅰ 「可否茶館、カフェ・パウリスタ、カフェ・プランタン
    ~その事跡探究と歴史的意義~」 柄沢和雄
DVD鑑賞 NHK 「極める! 石井正則の珈琲学」より
講演Ⅱ 「コーヒー栽培の科学と化学」 山口カルロス彰男
 
柄沢氏講演に評すべき内容はそもそも無い、独特の声色と話運びに風韻ある「柄沢節」、これを久方ぶりに拝聴し、加わる枯淡な味わいに喝采と憂慮を感じた期待通りの演芸。但し、実質はJCSから離れていた柄沢氏が今般登壇した本意を私には看破できない。
 
25分4回分の番組を15分に圧縮編集した大胆さにだけ「極める!」感を覚えつつ、出演している重鎮理事の大半が欠席しているJCSの倦怠ぶりが露呈したDVD鑑賞?
 
山口氏講演に評すべき内容はそもそも無い、講師に罪はないが今回もネタ使い回しだ。無施肥無農薬をイタズラに盲信する者に正しく趣意が届いたかは不明で哀切を感じた。聞き手(?)圓尾修三氏の独擅解説で時イッパイ、質疑無く閉められ私の疑問は未解消(セラード珈琲の樹上完熟乾燥に、栽培の品種・地勢などの連関実態を質したかった)。
 
講演前後で「焙煎抽出委員会は予定の内容中止、他の委員会へ振り替え自由」と重ねて会場広報され、講演集会の流れ解散後に分科会へ。ゲゲッ! 予定通りの人員が着席! 本来予定の内容が「コーヒー、深煎りについて考える」という表題しかわからないので、その題を借りた即興談話を私から切り出し、その後テーマも自由の論議として進める。
 
[談話要旨:コーヒー焙煎度の潮流は抽出法に規定されたか?]
サードウェイブに代表されるスペシャルティコーヒーの隆盛が、アメリカ市場を主に再び浅煎り潮流を生んでいる。大掴みにはスターバックスに代表されるエスプレッソ(=深煎り?)潮流からの脱却と言われるが、果たしてその捉え方で良いのだろうか? 古くターキッシュ系統の抽出に目を移しても、今でも一部のエジプシャンコーヒーが極浅煎り豆を使用していることからも、必ずしも抽出法と焙煎度合は一対ではない。いわゆるイタリアンロースト(極深煎り)がエスプレッソ抽出と結びついた背景には、20世紀初頭前後の「耐病品種ロブスタの発見と伝播」が大きく影響している、と思う。ロブスタ種を使わざるをえないイタリアの社会事情が、イタリアンローストという深煎りと、エスプレッソという抽出法とを強固に結びつけたのであり、自由選択の中で感性によって焙煎度の潮流が生み出されてきたと考えるのは、浪漫的だが浅薄。イタリアンローストも、その後のアラビカ種志向によって徐々に焙煎度が浅くなり、本場イタリアの豆も「イメージほど深くない」と日本で言われる風潮に変化してきた。このように、我々が身近に置いて考える様々な焙煎度や抽出法は、長いコーヒーの歴史の中でも、実質はたかだか約100年余の中で確立してきている途上であり、「どの焙煎度が良いのか」というコーヒー焙煎度の潮流は、単なる抽出理論などよりも意外と時々の経済事情や市場動向に影響されていることを無視できない実態がある。
 
自由論議では、「深煎り好きは深煎りの何が良いのか?」、「深煎り独特の苦甘さの正体は?」、「焙煎中の煙は香味に影響するか?」など多種多様な質疑が出されたが、大坊勝次氏も岡希太郎氏も談論の輪に抱えたまま進行するのは、結構難しいなぁ(笑)。
 
 JCS2010年次集会 (10) JCS2010年次集会 (11)
今般私の2日間は確かに「意表」の連続ではあったが、最も楽しみにしていたテーマをJCS分科会で「聴く」ハズが自ら「話す」に変ったトドメの一撃は、厳しく面白い(?)体験。これは「意表」なのか「偶有」なのかもわからないな、土産を食べつつそう考えていた。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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