不都合な不実

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2010 [2010年03月27日 22時00分]
良かれと思った(?)啓発が迷惑千万という記事を発見した。

 「濃いコーヒーは実は胃によい」という研究結果
  (ライフハッカー:2010年3月26日
    Jason Fitzpatrick 原文/訳 松岡由希子)

2010年3月21日のアメリカ化学会(ACS)第239回全国大会で、
「深煎りのコーヒーは、焙煎過程で生成されるNメチルピリジウム(NPM)が
より多く含まれ、この含有成分が胃酸の増加を抑えるため、胃にやさしい」
という発表された内容を記事にしたものだが、このヘッドラインは酷すぎる。

トンデモ1
「胃によい」といえば「異常な胃を正常にする」とか「胃をより健常にする」
などを意味すると解釈するのが一般的であろう。
しかし実際には、いかに誇張して発表内容を意訳しても「胃に悪くない」が
精一杯であり、しかも直接的な実証は今からである状態で「実は」も早過ぎ。
まるで「ガン誘発物質を抑えるかもしれない」を「ガンを治す」と表現する
ようなもので、ここまで下卑た誇張は信義にもとる、猛省すべきである。

トンデモ2
「濃いコーヒー」といえば「液体として濃度が高いコーヒー」を真っ先に
思い浮かべるのであり、「焙煎度が深い=深煎り」とは意味が全く違う。
‘dark’は当然に「色が濃い=深煎り」という意味であるが、
訳者は記事中でも「濃い目のコーヒーは…」と語を使っていて、どうも
焙煎度と液体濃度を区分して解釈できていないようだ。これは読者側にも
同様の混同や誤解を誘うもので、迷惑千万な曖昧、猛省すべきである。

ACS News Release の
 ‘Dark-roasted coffee contains stomach-friendly ingredient’
が、
WIRED SCIENCE の
 ‘Why Dark Coffee Is Easier on Your Stomach’
になり、
Lifehacker の
 ‘Drink Darker Coffee for a Happier Stomach’
で真実から離れ、
ライフハッカー日本語版の
 「濃いコーヒーは実は胃によい」
で不実に変態完成…
こうも間違ったヘッドラインでは折角の記事本編も全く真実味が無くなる。
コーヒー愛好家には請け売りして欲しくない「不都合な不実」を嘆くばかり。
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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