翡翠のコーヒー

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年04月17日 23時00分]
2000年3月18日、フランスの風景を中国の古墨で描いた日本画の企画展の会場で、一夜限りのフレンチレストランが開かれた。このクリエイションZAG(名古屋市東区)で催された晩餐会は、ソムリエがオーナーであるレストランの開業の予告と料理の試行を兼ねていた。友人の近藤マリコ氏が企画したもので、カミさんと食事を楽しんだ私は、食後のコーヒーを担当した。自宅で焙煎してきたモカ・マタリを、会場で淹れて供したのである。同年の後日、ソムリエの那須亮氏は、‘翡翠’(カワセミ)を店名に冠したレストランを名古屋市千種区に開いた。
 
あの一夜限りのレストランから17年が過ぎた2017年3月18日、私はカフェ・バッハ(東京都台東区)でシュークリームをおやつにしながらコーヒーを飲んでいた。そのコーヒーは中国雲南省瑞麗の江東農園のもので‘翡翠’(ひすい)という名が冠せられていた。私は数日前に受けた近藤マリコ氏の依頼を思い出した。曰く、「那須亮氏が還暦を迎え、それを言祝ぐ晩餐会を店とは別の場所で一夜限りで催す。ついては食後のコーヒーを供せよ」と。‘翡翠’を飲みながら、那須氏が生まれた「昭和32年」をドレスコードとする晩餐会で担うべきコーヒーを練った…
 
 翡翠のコーヒー (1) 翡翠のコーヒー (2) 翡翠のコーヒー (3)
2017年4月16日、「那須亮・還暦祝ディナー」が催されている会場の太洋ビル(名古屋市東区)に闖入(?)し、食後のコーヒーを担当した。ドレスコード「昭和32年」に関しては、中南米のコーヒー生産7ヵ国の輸出割当協定「メキシコクラブ」が1957年7月に結ばれたことに因んで、7ヵ国から選んだ豆をブレンドしたコーヒーとした。ティジュコ(ブラジル)とブエナヴィスタ(コロンビア)とセントタラス(コスタリカ)とモンテクリスト(ニカラグア)とサンタリタ(エルサルバドル)とマリランディア(グァテマラ)を等分に、協定の開催国産であるシエラミステカ(メキシコ)は倍量に、7種類の生豆を手廻し釜で混合焙煎したものを用意した。抽出は、ヤグラ掛けしたネル布での「打ち返し」(二度濾し)、それも「半返し」を披露することにした。デザートのシュークリームとワインが供された後に、「メキシコクラブ」や「打ち返し」、そして昭和32(1957)年の喫茶店でのコーヒーの値段が1杯50円(ラーメンは45円、映画観覧は140円)だったことなど雑話を晩餐会の参加者に説いてから、コーヒーを淹れて供した。
 翡翠のコーヒー (4) 翡翠のコーヒー (5) 翡翠のコーヒー (6)
 
晩餐会の終了後、ロールアップしたパンツの下から赤い靴下を見せていて正に‘翡’(カワセミ)姿の那須亮氏と歓談、それから会場を去った。‘翡翠’の那須亮氏と企画した近藤マリコ氏が関わる晩餐会での17年ぶりのコーヒー提供は、60年前の国内外のコーヒー事情を改めて考証することにもなった。私自身のコーヒー探究にとっても好い機会だったなぁ…帰宅後、土産に頂戴したワインと菓子を取り出しながら、「メキシコクラブ」と「打ち返し」で懐古と優美が合い立つ一夜限りの‘翡翠’のコーヒー、その味わいを想い返した。
 
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シン・コシラ

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年04月16日 01時00分]
映画『シン・ゴジラ』(2016年)は「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」などという惹句を掲げていたが、コーヒーの世界に必要なものは虚構の‘ゴジラ’ではなくて現実に‘コシラ’(拵)えることだ。時に新たに、時に神へ、常から真に、手間(てま)隙(ひま)をかけて材を用い形を整え意を注いで作る…「シン・コシラ」こそ欲するべきなのだ。
 
 《あまりにもぶざまだ。11日、東芝は2度にわたって延長していた20
  17年3月期の第3四半期決算(16年4~12月)をようやく発表した。
  だが、監査法人の承認を得ていない前代未聞の決算発表となった。
  東芝の綱川智社長は、「あらためて(期限を)延長しても(監査法人
  から)適正意見をもらえるメドが立たない」と泣き言のような説明を
  した。》 (『日刊ゲンダイ』 2017年4月12日)
 シン・コシラ (1)
 《パナソニック株式会社は、1月19日発表のコーヒーサービス事業
  「The Roast」についてサービス開始日を次の通り延期させていた
  だきます。 〈当初〉2017年4月上旬 → 〈変更〉2017年6月上旬 
  スマートコーヒー焙煎機本体の一部部品において、調達上の課題
  が発生したため当初設定していましたサービス開始日程を延期し
  ます。》 (パナソニック株式会社 プレスリリース 2017年4月12日)
 
あまりにもぶざまだ。パナソニックは1月19日発表のコーヒーサービス事業「The Roast」について、《焙煎機の開発ではイギリスのベンチャー企業「IKAWA」社と技術提携し、豆の特長を引き出すための、きめ細かな温度・風量制御、さらには使い勝手の良さを実現しました》と言っていたが、焙煎機の部品調達のきめ細かな制御に失敗、さらには手前勝手な販売延期を実現した。《厳しい品質管理と安全基準で選定した世界中の良質なスペシャルティ豆》を提供するはずの石光商事、《1種類の豆に焙煎度の異なる2~3パターンを作成》するはずの後藤直紀、これら提携した者も、事業発表の時には自ら喧伝したが発売延期については沈黙している。あまりにもぶざまだ。東芝を他山の石として、パナソニックらは泣き言のような説明を止めてコーヒーサービス事業から撤退した方がよい。コーヒーの世界を拵える資格がないのだから。
 
 《…デンバーのBext Holdings Inc.は、これらの農家が豆の公正な
  価格に見合う代金を容易にかつ迅速に得られるようにしたい、と考
  えた。同社は、見たところ高級な秤(はかり)に見えるモバイルのロ
  ボットを作った。バイヤーはこのロボットを農家の農地で使ってコー
  ヒー豆の品質を分析し、計量する。ロボットは一回分(30~40ポン
  ドの袋に詰める)の豆をサイズで選り分けて、良品の比率を計算す
  る。そして優・良・可などのマークをつける。もちろんそのマークは、
  バイヤーと農家の両方に見える。そして彼らは、Bext360のモバ
  イルアプリを使って公正価格を交渉する。同社のアプリとクラウド上
  のソフトウェアは、Stellar.orgのブロックチェーン技術を使って、豆
  の生産者生産地、バイヤーと支払い金額、などを記録する。CEO
  のDaniel Jonesによると、コーヒーを飲む人も、カップ一杯ごとに、
  コーヒーの産地や、農家が公正な代金をもらったかどうかを、分か
  るべきだ、という。“そうすれば、消費者はこれまでになく啓蒙される。
  そしてコーヒー業界の企業は、彼ら消費者の高いスタンダードを満
  たそうとする”、と彼は語る。》 (Lora Kolodny 「コーヒー豆の等級
  分けロボットとブロックチェーンを使って生産農家に公正な支払いを
  するBext360」 岩谷宏:訳/Webサイト『TechCrunch』日本版
  2017年4月12日)
 シン・コシラ (2)
 
あまりにもひどい。ロボットに《優・良・可などのマーク》で選別される生産者。モバイルアプリで《農家が公正な代金をもらったかどうか》を確かめながら飲む消費者。農民は誰のために何に向かってコーヒーを作っているのか? 喫する者は何のために誰と向き合ってコーヒーを飲むのか? コーヒーを拵える道理も、コーヒーを嗜む意義も、ダニエル・ジョーンズはわかっていない。あまりにもひどい。Bext360は設置されるごとに破壊された方がよい。コーヒーの世界を拵える資格がないのだから。
 
 シン・コシラ (3)
コーヒーの世界に必要な「シン・コシラ」は、どこにいるのだろう? 恰好だけの‘クール’は要らない。流行だけの‘スタイリッシュ’も要らない。それらは空疎を隠す欺瞞だから。手間(てま)隙(ひま)をかけて共に謀って拵える「シン・コシラ」のコーヒーを私は飲みたい。勿論「シン・コシラ」の菓子も食べたい。
 
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再発見の新梢 後篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年03月22日 01時00分]
コーヒーの世界を再び発見する者は、‘フラヌール’(flaneur:風来人)なのか? そこに新梢はあるのか?
 
【集会当日の新梢】 2017年3月20日
 
 再発見の新梢 (15)
連泊した宿「ホテル アクセラ」をチェックアウト。バッハブレンドとバタートーストで朝の「カフェ・バッハ」に憩う。トレセンへ行って中川文彦氏らと談話…「あ、もう行かなきゃ!」。三ノ輪から日光街道を都バス乗り継ぎで北上、催事の会場へ。
 
 再発見の新梢 (16) 再発見の新梢 (17) 再発見の新梢 (18)
富士珈機の東京支店セミナールームを会場とした日本コーヒー文化学会の焙煎抽出委員会の催事、ディスカバリー焙煎機の実技を交えた集会は、2015年2月15日(再発見の風来)、2015年11月14日(再発見の逆襲)、2016年3月5日(再発見の覚醒)、2016年9月11日(再発見のコク)と続いての5回目、テーマは「焙煎と香味」。まずは、山内秀文委員長のオリエンテーション。続いて、山口崇氏の発案による「焙煎時の排気気体の湿度計測実験」を高木誠氏が代行プレゼンテーション(この発案には焙煎の雰囲気の捉え方に課題があるので、厳しい意見を私は述べた)。そして、今般の本旨であるリントン・ラスナの焙煎の計画と実践、ねるっこ抽出での試飲、焙煎の意図と実際の検証、意見交換を開始。過去4回の集会では毎回2人1組で計20釜だったが、(事前の私の意見も汲み取ってもらい)今般は5人1組で計8釜の焙煎。その釜数を減らした分、意図と検証の意見交換に時間を割いた。私も大坊勝次氏と同じ組に参加、5人で話し合い、深煎りの釜は大坊さんが、浅煎りの釜は私が焙煎役に。前半の火力を抑え過ぎて2ハゼをかなり低い温度帯(摂氏207度)で引っ張った大坊さんの焙煎は、意図よりも酸が残って燻りも強いものになって残念。私は皆が討議中でも火力と排気の設定を割り出しておいて、最初から最後まで火力一定(0.65)ダンパー固定(3.5)の‘一本焼き’。投入後はほったらかしで穏やかな焙煎曲線を描く推移、摂氏192度で約18分半の焙煎終了。予想通りの焙煎工程で思った通りの香味特性が出てシメシメ。他の組でも、私の‘一本焼き’を模す者、大坊さんの焙煎に倣う者、それらと真逆に走る者など、ワイワイと談じながら挑んでガヤガヤと談じながら味わって盛会。単に香味がどうなったかではなくて、どんな設定やどれくらいの調整がどういう香味に結びついたのか、という言が増えてシメシメ。閉会後に参加者の大半が「ジェントル・ビリーフ」へ移動、毎度の立食の懇親会でも賑々しい雰囲気は続く。私も延々と喋って…「あ、もう行かなきゃ!」。別れを告げ、地下鉄と新幹線を乗り継いで帰途に着く。
 
 再発見の新梢 (19)
帰宅後、買った「カフェ・バッハ」の焼き菓子と「PRANA CHAI」のチャイティー、貰った厦門産の釣魚臺紅茶と大坊さんのブレンドコーヒー、土産を荷から取り出しながら思う…今般の分科会催事は、意図と実際の差違、嗜好や官能の差異、そこを互いに認識しあう時空としては好かった、と。パルミエを食べながら、「予想通りとはいえ、綺麗な酸味が強く広がって渋みは残らない浅煎りが‘一本焼き’でできて好かったなぁ」と「再発見の新梢」を独り呟いた。‘フラヌール’(風来人)が遊び歩きを続ける限りは、コーヒーの香味もまた新たに芽吹いていくのだ。
 
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再発見の新梢 前篇

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年03月21日 01時00分]
コーヒーの世界を再び発見する者は、‘フラヌール’(flaneur:風来人)なのか? そこに新梢はあるのか? 日本コーヒー文化学会(JCS)の焙煎抽出委員会による分科会催事、その集会に参加するべく東京へ。コーヒーの世界に‘再発見’(rediscovery)の新梢を求めて遊び歩く、つまり「再発見の新梢」…
 
【集会前前日の新梢】 2017年3月18日
 
 再発見の新梢 (1) 再発見の新梢 (2)
春の彼岸は三連休初日の昼下がり、道路渋滞で到着が遅れた高速バスをバスタ新宿で降りる。乗り疲れたので、新宿駅東南口駅前広場で満開を迎えたコヒガンを花見して憩う。腹が減ったので「BERG」(ベルク)へ。ジャーマンブランチのビアセットを立ち飲み立ち食い。
 
 再発見の新梢 (3) 再発見の新梢 (4)
中央線快速で移動して東京駅で降りると、目の前に中央本線の0kmポスト。駅舎内の「東京ステーションギャラリー」で企画展を観る。北口ドーム部の回廊から人波を眺めつつ、高遠から桜を移したり起点でない駅に起点標を移したりする忙(せわ)しなく危うい都市‘東京’を笑う。
 
 再発見の新梢 (5) 再発見の新梢 (6) 再発見の新梢 (7)
今般に連泊する宿「ホテル アクセラ」にチェックイン。徒歩1分で、「café Bach」(カフェ・バッハ)へ。久しぶりにカウンター席へ座り、シュークリームをおやつにしながら、中国の瑞麗は江東農園の「翡翠」を飲む。「濁りが無くて味わいが深いなぁ」などと山田康一氏と談話。空いたところで喫煙席を借りて、一服しながら中川文彦氏とも談話。戻った宿の部屋でヱビスの桜デザイン缶を晩酌にしながら、「雲南でも中南米やアフリカに匹敵するコーヒーが採れるようになったんだなぁ」と「再発見の新梢」を独り呟いた。
 
【集会前日の新梢】 2017年3月19日
 
 再発見の新梢 (8)
日の出とともに遊び走り、宿からスタート。今般は写真撮り無しで隅田川の橋を眺めながら、題して「ギリシャの犬ラン」(御手洗潔シリーズの小説「ギリシャの犬」による)。往路は、白髭橋を渡らずにカモメと戯れながら右岸の隅田川テラスを南下する。合流する神田川の柳橋を渡り、霊岸島の水位観測所から佃大橋を眺める。中央大橋を渡って石川島公園を駆け、派川の相生橋を渡って越中島公園を抜ける下流域での周回走。復路は、レガッタが川面を走るのを見ながら左岸の隅田川テラスを北上する。「ケルンの眺め」を眺めて小名木川の萬年橋を抜け、吾妻橋で浅草へ渡ってから、吉野通りで宿へ戻って約20kmを2時間17分でフィニッシュ。
 
 再発見の新梢 (9) 再発見の新梢 (10) 再発見の新梢 (11)
カフェオレとチョコケーキで朝の「カフェ・バッハ」に憩う。ママ(田口文子氏)と談話しつつ、インディアAPAも喫する。青山の国連大学前広場で催されている「TOKYO COFFEE FESTIVAL 2017 Spring」へ。相変わらずの大盛況。目をつけていた「PRANA CHAI」(プラナ チャイ)を試飲、牛乳では塩と蜂蜜を、アーモンドミルクでは生姜や胡椒を強く感じて面白い。会場内で上映されるコーヒー映画を観る。
 
 再発見の新梢 (12) 再発見の新梢 (13) 再発見の新梢 (14)
「Mi Cafeto C'est Délicieux ! AOYAMA」(ミカフェート 青山店)でグランクリュのコトワ(カトゥーラ)とアマンディーヌを味わう、美味い。「Gentle Belief」(ジェントル・ビリーフ)でトマトソースのパスタとイタリアンブレンドを味わいながら、浅野嘉之氏と談話。戻った宿の部屋でヱビスのジョエル・ロブション華やぎの時間缶を晩酌にしながら、「コーヒーフェスでコーヒーを一切飲まなかったので、以前と違って胸やけ無しだったなぁ」と「再発見の新梢」を独り呟いた。
 
花は咲き、起点は移り、滑稽は孵り、人は駆け、街に集い、世は流れる…‘再発見’の遊び歩きは続く…
 
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十円ハゲの変

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年03月17日 01時00分]
いまさらだが、ハゼよりもハゲが気になる。そういえば、二ハゼを延々とピチピチいわせる大坊勝次氏も、38年間続けた店を閉めるに思い悩んで脱毛を嘆いていた時があった。コーヒーのハゲ(禿)とは何だろう?
 十円ハゲの変 (1)
 
 ♪ コーヒー豆を深煎りした時 一部が丸く剥離した
 ♪ みんなの前で呼ばれたあだ名は ・・十円ハゲッ!
 ♪ どうして~? どうして~? どうしてハゲができたの~?
 
巷間では、「水抜きがうまくいかず表面だけ乾いたから」とか「1ハゼ以降の火力が強いから」とか「急速に焼くから」とか「時間をかけすぎるから」とか言われているし、「渋味やえぐみの原因」とか、「おいしく焼けた証拠」とか、百家争鳴、甲論乙駁、五里霧中だ。
 十円ハゲの変 (2)
 
 ♪ あのハゲ膨張するゆて 嘘ついて爆ぜてきたん!
 ♪ ハゲは嫌いが1万に対し ハゲの味方は30!
 ♪ どうして~? どうして~? どうしてそんなに剥がれたの~?
 
ハゲた豆だけを集めれば確かに‘えぐい’感じもするが、‘explosion’(破裂)してできたものなのだから、「エグスプロージョン」として時々みかける程度ならば、コーヒーの十円ハゲも好いのではないか? だが、変に思えるところもある。
 十円ハゲの変 (3)
 
 《二ハゼ中に煎り止めして豆を取り出すと、手網の外でもしばらくハゼ
  が続きます。これを注意深く観察すると、ハゼ音と同時に、胚芽の
  真上あたりから、小さな楕円形の豆のかけらが剥がれて飛んでい
  るのがわかるでしょう。よく見ると、すでにその部分が剥離した豆が
  たくさんあることがわかります。(略)なお剥離が起きる胚芽の真上
  は、豆組織が特に薄いので、ここから壊れやすいのだと考えられま
  す。》 (旦部幸博 『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか
  pp.188-189/講談社:刊)
 
コーヒー豆の《胚芽の真上あたり》、いわゆるキャップの部分が《豆組織が特に薄いので、ここから壊れやすい》という旦部幸博氏の説。しかし、キャップ以外の外部内乳の表面部分が《剥がれて飛んでいる》豆も多い。このハゲはどうしたことだ? 変かもしれない。
 十円ハゲの変 (4)
 
 ♪ 多くな~い? 多くな~い? ハゲてる箇所が多くな~い?
 ♪ いや多くな~い! 多くな~い! 薄いとこしかハゲてな~い!
 ♪ 変じゃな~い? No! 変じゃな~い!
 ♪ 変じゃな~い? No! 変じゃな~い!
 ♪ 変! 変! 変! 変! 変! 変! 変! 変! 変
 ♪ これが 十円ハゲの変 十円ハゲの変 十円ハゲの変 十円ハゲの変
 ♪ 十円ハゲの変 十円ハゲの変 十円ハゲの変 十円ハゲの変
…諸説あり
 
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広がらないスプレッド

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年03月07日 01時00分]
「人はパンのみにて生くるにあらず」と聖書は説く。神の言葉で腹ができるわけでもないが、確かにパンのみでは生きられない。パンにスプレッドをたっぷり塗りつけたいし、パンに添えたコーヒーも飲みたい。では、コーヒーのスプレッドをパンに塗ったらどうか? それは、コーヒーの世界に‘spread’(広がり)をもたらすのだろうか?
 
 《…若い人から年配の方まで幅広い世代に人気の「雪印コーヒー」。
  『雪印コーヒーソフト』はそのおなじみの「雪印コーヒー」の風味が
  手軽に味わえるパンスプレッドです。ちなみに今年、「雪印コー
  ヒー」は発売55年目を迎えます。そんな節目の年に発売される
  『雪印コーヒーソフト』。ぜひトースト、パンケーキ、フランスパン、
  カステラ等いろいろなパンやおやつにぬって、今までに体験した
  ことのない至福の「雪印コーヒー」の世界を味わってください。》
  (雪印メグミルク株式会社 商品リリース 2017年2月16日)
 
 広がらないスプレッド (1)
「雪印コーヒーソフト」は、雪印メグミルクグループの甲南油脂株式会社(持株比率51%)の名義で製造されているが、実質は加工油脂メーカーの植田製油株式会社によるパンスプレッドである。2000年にはそれまでに体験したことのない最悪の集団食中毒事件を起こした雪印メグミルク(当時は雪印乳業)から、《今までに体験したことのない至福の「雪印コーヒー」の世界を味わってください》と言われてもなぁ。その「雪印コーヒー」も、2013年に生誕50周年記念で始めた「オレたちのゆきこたんプロジェクト」が2年後の3rdシーズンに尻切れ蜻蛉に終って、至福の世界はひろがっていない。では、「雪印コーヒーソフト」はどうか?
 
 《開発者 「ネオソフト」を若い人たちにアピールするためいろいろ
  と検討していたところ、弊社の看板商品である「雪印コーヒー」と
  合体させれば一石二鳥なのではという安直過ぎる思い付きが発
  端です(笑)》 (福田瑠千代/「ねとらぼ」 2017年3月1日)
 
 《再現度でいうと、塩味のせいもあり「そのまんま雪印コーヒー」と
  いうことはなく、コーヒー風味のマーガリンといったところ。これの
  おかげでパンとの相性は抜群なのだが、あの甘さを求めている
  人からすると、ちょっぴり物足りないかもしれない。》 (中村あさか
  /「おためし新商品ナビ」 2017年3月1日)
 
 《コップに注いだ雪印コーヒーと見比べると雪印コーヒーソフトの方
  が、かなり色は薄い。(略)濃い甘みやコーヒー感を期待してい
  る方は物足りなく感じるかもしれないが、マーガリンのように日
  常的に使っても食べ飽きない味が好印象だった。》 (K.ナガハシ
  /「ロケットニュース24」 2017年3月1日)
 
 《甘みはそれほど強くなく、味の印象は薄いです。印象が強いのは
  「あの」雪印コーヒーの香り。ぼわわわーんと鼻の奥に広がって
  いきます。(略)特徴があるのは、味よりも香り。「あの」雪印コー
  ヒーの香りが、口からのどを伝わって鼻の奥に広がります。》
  (高橋ホイコ/「ねとらぼ」 2017年3月4日)
 
 広がらないスプレッド (2) 広がらないスプレッド (3) 広がらないスプレッド (4)
実際に「雪印コーヒーソフト」を買って食べてみよう。《安直過ぎる思い付き》で、自作のコーヒーのスプレッドを対照に用意する。「雪印北海道バター 食塩不使用」と食塩と黒糖と自家焙煎したコーヒーの微粉と濃い抽出液、これらを適当に練り混ぜたものだ。パンは、あえて甘みの強いコモオリジナル食パン(株式会社コモ)にした。試食。「雪印コーヒーソフト」は、概ねで前記に並べた先行の感想の範疇に留まった。そのまま食べても、食パンに塗っても、トーストしてから塗っても、「雪印コーヒー」の香料の臭いが《ぼわわわーん》と広がるだけで、味は《ちょっぴり物足りない》。ただ、「雪印コーヒーソフト」を塗ってから加熱したトーストでも香料の臭いは弱く残る。対して自作したコーヒーのスプレッドはどうパンに合わせた場合でも、香料に頼らない分だけ臭いがかなり弱いが、口に含んだ味わいはコーヒーが強く効いている。商品としての完成度は「雪印コーヒーソフト」の方が良いが、口中に残る風味は自作したスプレッドの方が圧倒的に好い。
 
「人はパンのみにて生くるにあらず」…パンにスプレッドをたっぷり塗りつけたいし、パンに添えたコーヒーも飲みたい。だが、コーヒーのスプレッドをパンに塗っても、《今までに体験したことのない至福の》世界は広がらなかった。広がらないコーヒーのスプレッドでは、コーヒーの世界に広がりをもたらすことはできない。人は神の言葉で腹ができるわけでもないが、広がらないスプレッドで腹ができるわけでもなさそうだ。
 
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ちょっと白けるコーヒーの話

ジャンル:グルメ / テーマ:コーヒー / カテゴリ:珈琲の記:2017 [2017年03月03日 05時00分]
コーヒー本の新刊が絡んだ、“OCWave”(おしえて=おいしいCoffeeウェイブ)を再び転載しよう。
 ちょっと白けるコーヒーの話 (1) ちょっと白けるコーヒーの話 (2)
 
[質問] コーヒーの本を読んでもわかりません。コーヒーについて教えて下さい。
 
《アメリカで一番有名な珈琲愛好家は日本人女性だった!》というキャッチーな帯の言葉に惹かれて、岩田リョウコさんの『シアトル発 ちょっとブラックなコーヒーの教科書』(ガイドワークス:刊)を読みました。読んで面白いとは思いましたが、友達や会社の人に「ねぇねぇ知ってた? コーヒーってね…」という感じで誰かにコーヒートリビアを話そうにも、ちょっと信憑性が薄い感じがしてためらってしまいます。
 
最もわからなかったのは「ミツバチもコーヒーが大好きだった!」の話です。《ミツバチは私たち人間と同じ理由でコーヒーを摂取している》というのは、本当でしょうか? その《同じ理由》として記憶力と効率性とおいしさの中毒性の3つが挙げられていますが、私は記憶力や効率性のためにコーヒーを飲んではいません。また、コーヒーの花だけに憑かれたミツバチだけがそんなに元気になるのならば、他のミツバチはどうしているのでしょう? ミツバチが急にいなくなってしまう事件が世界中で報告されていますが、いずれ地球上にはコーヒーから蜜を集めるミツバチだけが生き残るのでしょうか? ニンゲンもコーヒーが好きな人だけが元気に生き残るのでしょうか?
 
私はただただコーヒーを飲むのが好きというだけで、コーヒー農園の人でもバリスタでもコーヒー批評家でもありません。みなさんも一度は考えたことがあるような素朴な疑問を持つただのコーヒー好きです。コーヒーに詳しい方にはちょっと白けるコーヒーの話かもしれませんが、教えてください。
 
 
[回答No.2] (質問者が選んだベストアンサー)
 
私も読みました。ミツバチの話に限らず、この本全体に信憑性はありません。信憑に足りないというよりも、《ちょっと科学的なことなどをイラストにして簡単に説明してみようと思ってできあがった》ら整合性に欠けたウケ狙いのトンデモ本になってしまったのでしょう。ほとんどが根拠のないたわ言ですし、著者が《科学的》と称している話題でも「風が吹けば桶屋が儲かる」的な説明ですから真に受ける必要はありません。
 
「ブラック」には暗澹たるとか厄介なとか悪質なとかいう意味もありますから、『シアトル発 ちょっとブラックなコーヒーの教科書』もブラックジョークというよりも曲解と詭弁のこじつけ集だと捉えましょう。それより「ホワイト」には潔白とか汚名を雪(そそ)ぐという意味がありますから、「ねぇねぇ知ってた?」をためらって白ける質問者さまの方がマトモだと思います。どうかコーヒーを飲んで元気に生き残ってください(笑)
 
 
[回答No.4]
 
もちろんコーヒーのミツバチが最強に決まっている。コーヒーを食べるルアクがジャコウネコの中では最強だし、コーヒーを食べるジャクーが鳥類最強。たぶんコーヒーを齧るコウモリがその仲間では最強だし、コーヒーを食べさせられている象なんかマンモスよりも強いぜ。サルもコーヒー食べている奴が仲間うちでは最強だろうけど、ニンゲンでは岩田リョウコが霊長類最強だな。未来の地球には、こいつらしか生き残っていねえよ。
 
 
[回答No.3]
 
私も『ちょっとブラックなコーヒーの教科書』を読みました。アメリカで先行して出ていた原著『Coffee Gives Me Superpowers』も読んでいました。私が気になったのは、ミツバチよりウンコです。原著にも《コーヒーを飲むとトイレ(大)に行きたくなる》話がでてきましたが、日本語版のボーナスページはさらにウンコだらけです。ウンコ好きなんでしょうね(笑)
 
 
[回答No.1]
 
本を読むと「イケてないコーヒーのオーダーをする6タイプ」の中に「最近コーヒーを覚えたカフェインに弱いタイプ」ってありますよね。岩田リョウコさんは「最近コーヒーを覚えた科学に弱いタイプ」なんですよ、きっと。信憑性? 素朴な疑問を正しく解いているコーヒーの本は、ブルーバックスの『コーヒーの科学』だけです。
 
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kisanjin

Author:kisanjin
鳥目散 帰山人
(とりめちる きさんじん)

無類の珈琲狂にて
名もカフェインより号す。
沈黙を破り
漫々と世を語らん。
ご笑読あれ。

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